徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

殺人の追憶

2008年03月12日 | ★★★★



殺人の追憶
おすすめ度
製作:韓国 2003年
製作:チャ・スンジェ ノ・ジョンユン
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ シム・ソンボ
出演者 ソン・ガンホ キム・サンギョン パク・ヘ

1986年から1991年に掛けて華城市近辺の小さな村で起こった10件の連続強姦殺人事件をモデルに製作された「殺人の追憶」です。

1986年、ソウル近郊の小さな村で手足を縛られた女性の変死体が発見されます。地元刑事のパク(ソン・ガンホ)が捜査に当たりますが、手がかりのないまま、新たな犠牲者を出してしまいます。ソウル市警からソ刑事(キム・サンギョン)が派遣されるも、パクとソは、捜査方法の違い、容疑者を特定できない焦りから衝突ばかりです。その間にも犠牲者は増え続け、やがてパクたちは有力な容疑者が浮上します。

この作品、映画と暮らす、日々に暮らす。の管理人、vivajijiさんにオススメしていただき、早速鑑賞させていただきました。

うーん。スゴイ。同じ未解決事件でもゾディアックブラック・ダリアとは大違い。実に人間臭~い、湿度の高~い作品でした。

村中を走りまわし容疑者を拘束し強引な尋問を繰り返すパク。
現場の状況を分析し、犯人像に迫る冷静なソ。
全く性質の異なるふたりの刑事は衝突しながら犯人を逮捕する糸口を探し続けます。
そんな努力を嘲笑うかのように繰り返される殺人。
心身ともに刑事たちは追い詰められていきます。

じりじりと迫る緊張感は一度も途切れることがありませんでした。
最後までハラハラさせられっぱなしの130分。
観終わったころには、思いっきり肩がこっていました。

唯一の「和みキャラ」だったキャンホを演じたパク・ノシク。
インパクト大でした~。
(次長課長の河本さんに見えて仕方なかったです ぷぷっ。)

書きたいことは山盛りありますが、サスペンスものなのでこの辺で。

殺人の追憶@映画生活
前田有一の超映画批評



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それでもボクはやってない

2008年03月06日 | ★★★★



それでもボクはやってない
おすすめ度
製作:亀山千広 関口大輔 佐々木芳野
監督・脚本:周防正行
出演:加瀬亮 瀬戸朝香 役所広司 もたいまさこ 山本耕史 鈴木蘭々

「青い部屋の女」の次がこれって・・・・。我ながらこの節操のないセレクトにどきどきです。さてさて、今日は周防監督の10年ぶりの意欲作「それでもボクはやってない」です。2007年の映画賞総なめでしたねー。

金子徹平は、ある会社の面接試験に向かうため、朝の通勤ラッシュで大混雑する通勤電車に乗りました。徹平が目的の駅で降りると、女子中学生から身に覚えのない痴漢容疑を掛けられ、周囲の乗客から取り押さえられて駅員に引き渡さてしまいます。訳もわからないまま駅の事務室へ連れて行かれますが・・・。

加瀬亮さんのフツーぶり。
すごいなあ、この俳優さん。
まるで水のような人です。
最近ちょいちょい友人と話題になるんですが、彼は男前かそうでないか。私は「普通っぽいけど男前」だと思うのですが、友人は「ギリでなし」だそうです(笑)・・・あ。話が反れました。

3年間にわたり日本の裁判について徹底的に取材し製作されたというだけあって、すごくリアリティのある作品でした。刑事、裁判官、弁護士、傍聴マニア、別の痴漢冤罪事件の被告人・・・・本当にこんな感じなんだろうなあ。リアルすぎて怖い。

この作品のモデルとなった方(確かその方は冤罪を勝ち取ったような記憶があるんですが・・・)のドキュメンタリーを見たことがあるんですが、裁判って本当に大変なんですね。しかも痴漢に対しての有罪率は99.9%!恐ろしや~(大汗)駅で捕まった段階でほぼアウトなんだそうです。

こういう不幸に出くわさないよう世の男性の方、お気をつけ下さい。そして、女性の方も同じくお気をつけください。(でもまあ、実際に痴漢するヤツが一番最低なんですけどね・・・)

判決が出たあとの主人公の最後の言葉が印象的でした。

それでもボクはやってない@映画生活
前田有一の超映画批評



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バレエ・カンパニー

2008年02月25日 | ★★★★


バレエ・カンパニー
おすすめ度
原題:The Company
製作:2003年 アメリカ ドイツ
製作:デイヴィッド・レヴィ ジョシュア・アストラカン ネーヴ・キャンベル ロバート・アルトマン クリスティン・ヴァション パメラ・コフラー
監督:ロバート・アルトマン
脚本:バーバラ・ターナー
出演:バーネーヴ・キャンベル マルコム・マクダウェル ジェームズ・フランコ バーバラ・ロバートソン ウィリアム・ディック

ロバート・アルトマン監督がバレエの世界を描いた群像劇「バレエ・カンパニー」です。

シカゴに本拠地を置く名門バレエ・カンパニー“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”。ダンサーのライ(バーネーヴ・キャンベル)は同僚で恋人のフランキー(サム・フランク)の浮気が発覚し別れたばかり。そんな彼女にチャンスが到来します。世界的な振付家ラー・ルボヴィッチの新作の練習中に主役の怪我により彼女が代役を務めることになりました。今まで以上に練習に打ち込むライ。そんなある日レストランのシェフであるジョシュ(ジェームズ・フランコ)と知り合い、お付き合いが始まります。彼の存在は彼女の心の支えとなっていくのでした。美術監督のミスターA(マルコム・マクダウェル)が予算獲得に追われる中いよいよ「青い蛇」が完成します。

ダンサーや監督などバレエ団に関わ人々の姿を描いたアルトマンお得意の群像劇です。優美で華やかなイメージのバレエの裏側の世界が繰り広げられます。本番に向け、公演を切り盛りする美術監督、実力至上主義の現場、ダンサーの厳しい現実、などなどスタッフやダンサーの姿がドキュメンタリータッチで見事に表現されています。

しまった・・・。
冒頭からやられました。
この作品は劇場で観るべきだった・・・。心から後悔しました。
ステージのパフォーマンスが本当に素晴らしいんですもん。最後の「青い蛇」は、衣装、舞台、表現に釘付けです。恥ずかしながら私、バレエ観賞を一度もしたことがないんですが、この作品を観てすごく興味がわきました。ソロを任された期待のダンサー、ライを演じたネーヴ・キャンベルの代役なしのダンスシーンも素敵でした。




バレエ・カンパニー@映画生活
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キャラバン

2008年02月24日 | ★★★★



キャラバン
おすすめ度
原題:Caravan
製作:1999年 フランス ネパール イギリス スイス
製作:ジャック・ペラン
監督:エリック・ヴァリ
脚本:エリック・ヴァリ オリヴィエ・ダザ
出演:ツェリン・ロンドゥップ カルマ・ワンギャル ラプカ・ツァムチョエ グルゴン・キャップ カルマ・テンジン・ニマ・ラマ
標高5000メートルのオールロケで製作された感動大作「キャラバン」です。

北ネパールのドルポ地方。ここに住む村人たちは、厳しい冬を生き延びるため、ヤクの背に塩を乗せて運び、食料の麦と交換するキャラバンを行なわねばなりません。村の長老ティンレ(ツェリン・ロンドゥップ)は、長年、村人を率いてキャラバンを続けてきたカリスマ的存在。しかし、キャラバンから戻ったとき、彼の長男ラクパが死んでしまいます。ラクパ亡き後のキャラバンの指揮には、息子の友人でもあるカルマ(グルゴン・キャップ)が適任と思われましたが、ティンレは、自分が隊列を率いると言い張ります。いよいよ次のキャラバンの日が神託で決定しますが、カルマは嵐が来るからもっと早く出掛けるべきだと主張し、決定日より前に村の若者たちと大多数のヤクを率いて出発してしまういますその後、占いどおりティンレの率いるキャラバン隊も出発。厳しい自然をくぐり抜け、やがてティンレの隊はカルマたちに追いつきますが更に、彼らには過酷なヒマラヤの試練が待ち受けていました。


壮大で厳しい大自然とそこで生き抜く人々を描いたヒューマンドラマ。
・・・なんて。とっても月並みな言い方ですね・・・(呆)

スゴイ!
としか言いようのない映像でした。
映し出されているものは人とヤクと山だけ。
とってもシンプルな作品です。
でも、スゴいんです!(ボキャボラリー少なっっ!!)
厳しい自然と共に力強く生きる人々の姿がリアルに描かれています。
原始的でなんともシンプル。
そこで生きるために必要な強靭な精神と肉体。
脈々と受け継がれる伝統を守ると同時に必要とされる開拓精神。
世代交代。

本来人間が生きていく為に必要なものがギュッと凝縮されたような作品です。
冒頭と、エンドロールに流れる僧の朗唱するマントラが印象的で、観終わった後の余韻が心地よい作品でした。

キャラバン@映画生活
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あなたになら言える秘密のこと

2008年02月20日 | ★★★★



あなたになら言える秘密のこと
おすすめ度
原題:The Secret Life of Words
監督・脚本:イザベル・コイシェ
製作:エステル・ガルシア
出演者 サラ・ポーリー ティム・ロビンス ハビエル・カマラ ジュリー・クリスティ レオノール・ワトリング

「死ぬまでしたい10のこと」でおなじみのイザベル・コイシェ監督作品「あなたになら言える秘密のこと」です。

イギリスのある工場で働くハンナ(サラ・ポーリー)。彼女は、無遅刻無欠勤の働き者ですが、無口で誰とも関わらず生活を送っています。ある日、彼女は上司から呼び出しを受けます。「真面目すぎる」彼女に組合から苦情が出たという事で、半ば強制的に休暇を取るように勧められたのです。という事で1ヶ月がっつり時間のできたハンナ。とりたててすることもない彼女はふらりと宛のない旅行へ出かけます。旅先で立ち寄った中華料理屋で食事をしていると、目の前で「至急看護婦がほしい」と携帯で話す男を見かけ、ハンナは自分は看護婦だと申し出ます。ハンナは油田掘削所で起こった事故で、重傷を負った男性(トム・ハンクス)を看護することになりました。

ぶっちゃけ、全く期待せずに観ました。
何しろ「死ぬまでにしたい10のこと」のイメージを思いっきり引きずって観ていたので。主演もサラ・ポーリーだし・・・。

個人的には、本作の方が断然好きです。
「あー。こう来たかぁ。」という意外性も込みで。
心に傷を負いながら生きる続ける人の姿がなんとも痛々しく
静かな作品でした。

タイトルどおり、ハンナの抱える「秘密」が物語の鍵になっているんですね。
なので、あまり詳しく書きませんが、結構含みも多い作品だなと。
ナレーターをしている人は誰?とか、ハンナの過去、など、全てを説明していないところが良いですね。油田掘削所の仲間達のバックボーンなんかも気になるところです。語られていない「隙間」を想像したり、また、他の方の解釈を見て感心したり、観た後も結構楽しめました。

あなたになら言える秘密のこと@映画生活
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オール・アバウト・マイ・マザー

2008年02月18日 | ★★★★



オール・アバウト・マイ・マザー
おすすめ度
原題:Todo sobre mi madre
制作:1998年 スペイン
制作:アグスティン・アルモドバル
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:セシリア・ロス マリサ・パレデス ペネロペ・クルス エロイ・アソリン アントニア・サン・フアン フェルナンド・フェルナン・ゴメス

ちょいベタですが、ペドロ・アルモドバルの「オール・アバウト・マイ・マザー」です。

マヌエラ(セシリア・ロス)は、臓器移植コーディナーターとして看護士の仕事をしながら女手ひとつで息子を育てています。17歳を迎えた息子の誕生日にふたりは、観劇に出掛けます。息子は雨の中、大女優ウマ・ロッホ(マリサ・パレデス)にサインをもらおうと出待ちをしますが、車は走り出してしまいます。それを追い、道路に飛び出した息子は事故死してしまうのです。悲しみに沈むマヌエラ。意を決した彼女は、息子の死を別れた夫に知らせようとマドリードからバルセロナへ向かいます。

この話、私の中で「スペイン版ガープの世界」なんですよね。
(え?違う??)
母性の塊のような包容力のあるマヌエラ。
何かが欠落している大女優ウマ。
世間知らずのお嬢で修道女のロサ。
女になりたい男アグラード。
ものすごく濃~い人たちの集まり。

ありえない設定なんだけど、結構重厚なヒューマンドラマ。観てるだけでかなりカロリーを消費する作品です。出演している女優がみんなそれぞれ主張しながらも絶妙なバランス。笑ったり、感動したりとなんとも人間臭いドラマです。それぞれの女性達が一生懸命に生きる姿がとっても素敵。

エンディングの「この映画をすべての「女優」に捧げる」というクレジットは、なに気に感動的です。

オール・アバウト・マイ・マザー@映画生活
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レッド・ドラゴン

2008年02月13日 | ★★★★


レッド・ドラゴン
おすすめ度
原題:Red Dragon
制作:2002年 アメリカ
製作:ディノ・デ・ラウレンティス マーサ・デ・ラウレンティス
監督:ブレット・ラトナー
原作:トマス・ハリス
脚本:テッド・タリー
出演:アンソニー・ホプキンス エドワード・ノートン レイフ・ファインズ ハーヴェイ・カイテル エミリー・ワトソン

おさらいはこれでおしまいです。映画シリーズ3作目「レッド・ドラゴン」です。クラリスに出会う前のお話なので小説では一番最初の作品になるようです。

ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)を命懸けで逮捕ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)。その後精神的に疲れ果てた彼は一線から退きます。そんなグレアムの元にかつての上司ジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)が訊ねてきます。連続殺人事件の捜査への協力依頼でした。しぶしぶ承諾したグレアムは、アトランタの現場へ向かいます。その後ボルティモア州立病院精神科へ向かい、事件解決の糸口を得る為レクター博士と対面します。

おっ。持ち直しましたね~。前回の奇天烈路線から、サイコスリラーな雰囲気に戻ってきました。よかった、よかった。今回の脚本は「羊たちの~」と同じテッド・タリー。何となく納得。どんなに原作がしっかりしてても、やっぱり脚本で随分違ってくるんですね・・・。

この「レッド・ドラゴン」はクラリスに出会う前のお話ということもあり、年齢設定は、「羊たちの~」より更に8年前に遡ります。1作目の発表から11年経った段階から更に8年ってことなので、役者さん的には20年近い年月を遡るかんじになるってこと??く・苦しい・・・。アンソニー・ホプキンスも「老い」てましたが、チルトン博士演じるアンソニー・ヒールド氏がお顔がしわっぽくて若干ファットな感じでした。役者さんって大変ですね。

さてさて。
次回はいよいよ今回の本命「ハンニバル・ライジング」。
昨年の作品なので正直先入観ばりばりあります。
どういう風に感じるんでしょうか?
わくわくします。

レッド・ドラゴン@映画生活
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ぼくを葬る

2008年02月09日 | ★★★★


ぼくを葬る
おすすめ度

制作:2005年 フランス
制作:フィデリテ オリヴィエ・デルボスク マルク・ミソニエ
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ダニエル・デュヴァル マリー・リヴィエール

オゾン監督の「死についての三部作」第二弾「ぼくを葬る」です。恥ずかしながら私、「まぼろし」未見でございます。近いうちに観たいと思いますが・・・。

新進気鋭のファッションカメラマン、ロマン(メルヴィル・プポー)は現場で突然のめまいに倒れこみ病院で検査を受けます。後日医者から余命3ヶ月という宣告をされ打ちひしがれるロマン。様々な感情が交錯する中、彼は同棲中の恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)と別れ、家族に秘密にしたまま残残された時間を過ごすことを決めます。そして唯一の理解者である祖母ローラ(ジャンヌ・モロー)に会いに行きます。彼はローラにだけは自分の身体のことを告白していたのです。ある日行きつけのカフェに勤めるジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)に意外な相談を持ちかけられます。

メルヴィル・プポーの端正な顔立ちがどんどん翳っていくのが切なかったです。あのガリガリぶりは、「マシニスト」のクリスチャン・ベイルぶりです。

とにかく美しい作品でした~。
主人公ロマンが自分の死と真摯に向き合い、受け入れていく姿が静かに描かれています。海辺のラストシーンが美しくて悲しかっです。

決して家族を撮らなかった彼が大切な人達をこっそりカメラにおさめていくシーンが痛々しくて切なかったです。彼の死後あの写真を見た人達はどんな気持ちになるんでしょうね。結局彼はローラ以外には誰にも真実を告げずたった一人で最後を迎えます。

若くして消えようとしている生命
新しく芽生える小さな生命
残された時間をどのように過ごすか
生きた証に何を残すか

私ならどう過ごすだろう。
3ヶ月なんてきっとあっという間だろうな。
意外と何もできずに終っちゃうかもね。


ぼくを葬る@映画生活
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異常心理分析官

2008年02月08日 | ★★★★




異常心理分析官

おすすめ度
原題:CHAIN OF EVIDENCE
制作:1999年 ドイツ
脚本:ティモ・ベルント
出演:クラウス・レヴィッチュ イェニファー・ニッチュ ミヒャエル・ブラントナー オリヴァー・コリットケ オリヴァー・シュトコウスキ

レンタル屋さんでいつも見かけては「また今度」と気になりつつ先延ばしにしていた「異常心理分析官」です。GyaOで発見して、ここぞとばかりに飛びつきました~。

腕利きの犯罪心理分析官デビッド(クラウス・レヴィッチュ)が、ある猟奇殺人の解決の為、人を集め講義をし被害者の写真を公開します。デビッドの思惑通り犯人はその中にいたのです。その逮捕のときに揉み合いになりデビッドは犯人を警察のボールペンで突き刺してしまいます。

そしてまた新たな事件が発生します。女性の口をテープで塞ぎ、警察のボールペンが突き刺さっていたのです。その後も同じ手口の犯行が続き、被害者は3名になります。警察関係者しか入ることのできない場所に保管してある備品が犯行に使われている事から身内の人間の犯行と断定。捜査を進めるうちにデビッドに二重人格になった過去があることが判明します。

異常心理分析官だなんて、タイトルを見るだけでわくわくします。レビューをちら見したとき「展開が見え見えでおもしろくない」っていうご意見が結構多かったんですが、私は、製作者の思うツボだったみたいで結構最後まではらはらできて楽しめました。でも。ドイツ映画なのに思いっきり英語だったのが残念。吹き替えだったんでしょうかね?

あんまり書きすぎちゃうとこの手の作品は全く楽しめないので、(と言いつつ、既に書きすぎちゃってる??どきどき)こ・今回はこの辺で。


前田有一の超映画批評



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化石

2008年02月04日 | ★★★★



化石
おすすめ度
制作:1975年 日本
制作:佐藤正之 岸本吟一
監督:小林正樹
原作:井上靖
脚本:稲垣俊 よしだたけし
出演:佐分利信 小川真由美 栗原小巻 杉村春子 中谷一郎 岸恵子 井川比佐志 山本圭 佐藤オリエ 宇野重吉 加藤剛(ナレーション)

黒澤明、小林正樹、市川昆、木下恵介の「四騎の会」製作の「化石」です。監督は小林正樹氏が勤めています。この作品、井上靖の同名小説をテレビ・ドラマ化したものを映画用にに再編集したものなんだだそうです。

建設社長の一鬼太治平(佐分利信)は、これまで仕事一筋に生きてきました。妻を亡くし男手一つで育て上げた二人の娘(小川真由美・栗原小巻)も嫁ぎひと段落した一鬼。そんなある日、社員の船津(井川比佐志)を連れて保養のためにヨーロッパへ旅に出ます。旅先であるパリの町を歩いている途中に美しいの日本人女性(岸恵子)とすれ違います。一鬼は何となくその女性が気になりましたが特に話しかけることもなくその場を後にしました。後に、その女性が、マルセラン夫人であることを知ります。その日の夜、一鬼は体調を崩してしまい、翌朝医者に診てもらうことになりました。数日後、船津あてに、病院から検査結果の知らせが入ります。たまたま船津は不在で、一鬼は自分を船津だと偽って結果を聞きます。何と病名は「癌」。余命は一年とのこと。動揺する一鬼ですが、数日間1人で過ごすことで何とか落ち着きを取り戻します。そんなとき、若い日本人の岸夫婦(山本圭・佐藤オリエ)に、パリ近郊のブルゴーニュ地方にあるロマンの寺の見物に誘われます。そしてその旅先で、一鬼の「同伴者」と名乗る喪服を着たマルセラン夫人瓜二つの女性が現れます。

ええもん観ました~!200分。随分長い作品でしたがまったく長さを感じませんでした。仕事人間の男が、自分の「死」を知ることによってこれまでの生き方、そして残された時間をどう生きるか悩み、苦しみながら自分の人生を見つめなおす、という内容。「私ならどうするだろう・・・?」と考えてしまいました。


(・・・きっと私は「身辺整理」。自分のモノは殆ど捨てちゃいます。たぶん。でも、この作品の主人公とは背負うものが違うから発想は、まったくちがいますね・・・(汗)。)

そしてそしてこの作品。演者・スタッフ共に物凄く豪華。「これでもか!」という面子にびっくりです。しかも舞台の8割は海外。当時、ここまでのロケって珍しいんじゃないのかな?重厚感のある加藤剛さんの「いかにも」なナレーションも最高です。

登場人物の所作や言葉の美しさがとても心地よい作品でした。最近の映画にはない言葉の響きに、「日本語の美しさ」を再確認できました。

見所満載の作品です。
あー。本当にええもん観れたな~。

化石@映画生活
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ジェラシー

2008年02月03日 | ★★★★



おすすめ度
原題:Jealousy. Itarian Style
制作:1970年 イタリア
制作:ピオ・アンジェレッティ アドリアーノ・デ・ミケーリ
監督:エットレ・スコラ
脚本:フリオ・スカルペッリ アジェノーレ・インクロッチ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ モニカ・ヴィッティ ジャンカルロ・ジャンニーニ マヌエル・ザルゾ

恋愛至上主義の中年男の暴走を描いたシニカルな恋愛コメディ「ジェラシー」です。1978年のジェラシー(Bad Timing)ではありません。

ある晩共産党の集会のあと片づげに行ったレンガ職人オレステ(M・マストロヤンニ)はビラの屑の中で眠ってしまいます。暫くして目を覚ますとそこには美しい女性が添い寝していました。彼女の名前はアデライデ(M・ビッティ)。花屋の売り子だという彼女から「以前からあなたを知っていた。あなたは私の運命の人だ」と告白されます。同情で結婚した年上の妻アントニア(J・セラトーザ)との関係はもうすっかり冷え切って味気ない日々を送っていたオレステ。アデライデとの日々は彼にとって何より大切なものとなります。完全に周りが見えなくなったオレステは浮かれまくり、ついには妻に浮気バレてしまいます。怒り狂ったアントニアは花屋に乗り込みアデライテは病院送りの大怪我をします。その事件を機にオレステは妻と別れアデライテとの再出発を決心するのでした。間もなく退院となりお祝いで行ったレストランでピッツァ職人のネロ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)からハート型のピッツァを出され口説かれるアデライテ。そのピッツァ職人ネロこそ後にオレステの親友であり恋敵となる男なのでした。

いいですね~。久しぶりにテンションの高い作品に出会いました。こういうの好きです!マルチェロ・マストロヤンニって、黒沢年雄さんにしか見えなかったんですが、今回初めていいと思いました(←失礼)。あとモニカ・ヴィッティ!可愛いかった・・・(嬉)ファッションやインテリア車なんかがいちいち素敵でウキウキしました。登場人物のキャラもたっててみんな生き生きしてとっても楽しい作品でした。さくさくテンポよくすすむ物語も小気味好い!ラストまであっという間の102分でした。あー。楽しかった。

前田有一の超映画批評



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知恵の木

2008年02月02日 | ★★★★



知恵の木
おすすめ度
原題:The Learning Tree
制作:1969年 アメリカ
制作・監督・原作・脚本:ゴードン・パークス
出演:キール・ジョンソン アレックス・クラーク エステル・エバンス ダナ・エルカー マイラ・ウォータース ジョエル・フルーレン マルコム・アタベリー リチャード・ワード ラッセル・ソーソン ペギー・レイ

写真家ゴードン・バークスの初の長編劇映画「知恵の木」です。ハリウッド劇場映画初の黒人による監督・原作・脚本・制作作品だそうです。2年後に制作された黒人私立探偵のハードボイルド映画「黒のジャガー」が有名だそうですが、こちらはまだ観たことがありません。

時代は1920年代半ばのアメリカ。15歳のニュート(キール・ジョンソン)は、賢く優しい母(エステル・エバンス)と包容力のある父に大切に育てられています。身近な知人であるギャンブラー、カーターの死、ガールフレンドのアーセラ(マイラ・ウォータース)との恋と別れ、様々な出来事を通じ逞しく成長していきます。

黒人少年が様々な障害を乗り越えながら、成長していく様を丁寧に描いています。監督自身の自叙伝が原作なだけにリアリティのある演出で最期まで集中して鑑賞できました。特に終盤。主人公ニュートが鍵を握る裁判のシーンは思わず手に汗を握って観入ってしまいました。この作品の舞台から80年経過していますが、まだまだ人種問題は根強く残っています。いつかこの作品を観て「こういう時代もあったんだね」と言える日がくればいいな。

主人公ニュートを演じたキール・ジョンソン君はもちろん素敵でしたが、屈折した少年マーカス役のアレックス・クラーク君がすごくよかったです。悲しみや憎悪を抱えながら、もがき苦しんでいる姿を熱演してます。マーカス少年のエピソードだけでも不条理なことがまかり通っていた当時の風潮を感じることが出来ます。

ただ、派手な演出は全くないので人によってはものすごく退屈な作品かもしれません。

前田有一の超映画批評



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真夜中のカーボーイ

2008年01月30日 | ★★★★




真夜中のカーボーイ
おすすめ度 
原題:Midnight Cowboy
製作:1969年 アメリカ
制作: ジェローム・ヘルマン
監督:ジョン・シュレシンジャー
脚本:ウォルド・ソルト
出演:ダスティン・ホフマン ジョン・ヴォイト シルヴィア・ミルズ ジョン・マクギバー ブレンダ・ヴァッカロ

御年 70歳になるダスティン・ホフマンが20年ぶりの来日を果たしたという事でDVDの棚から引っ張り出してみました。「真夜中のカーボーイ」です。久々のアメリカン・ニューシネマです。

ジョー・バック(ジョン・ヴォイト)は、自分の体ひとつで、セレブ相手に一攫千金を夢見てテキサスからニューヨークへ出てきます。まず最初に彼が「仕事相手」に決めた女性はキャス(シルヴィア・マイルズ)。でも彼女自身も娼婦だった為、逆にお金を巻きあげられてしまいます。所持金も少なくなり落ち込むジョーに脚の悪いペテン師ラッツオ(ダスティン・ホフマン)が声を掛けてきます。「この商売はマネージャーが必要だ」という彼の言葉を信じ、紹介されたオダニエル(ジョン・マクギバー)会いに行きますが、なんと彼は「男性専門」だったのです。だまされたと気づいたジョーは、必死に彼を探し当て問い詰めますが、最後にはラッツォに同情してしまい結局何も言えませんでした。行くあてのない事を悟ったラッツオはジョーに自分の部屋へ来るように誘います。

言わずと知れた名作。観て今更なにもいう事はありません。

いいですねえ。しょっぱいです。やっぱりいいです。5年ぶりくらいに観ました。ダスティン・ホフマン若いです。若さ故(?)に暴走する若者。悲しい最期。退廃的なこの感じがたまりません。ダスティン・ホフマン演じるラッツォがどこまでもみじめで悲しくていいです。テーマ曲のニルソン「噂の男」。これまたいいですねえ。絶妙なタイミングで流れるこの曲。心に残ります。

気のいいバカ(失礼)が必死にもがく姿が悲しくて、切ない。けど愛しい。何度観ても何とも言えない気分にさせてくれます。いやー。「男の友情」っていいですね。「●ルマゲドン」は苦手ですが、この作品は大好きです。


真夜中のカーボーイ@映画生活
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少女ヘジャル

2008年01月27日 | ★★★★


少女ヘジャル
おすすめ度
原題: BUYUK ADAM KUCUK ASK/BIG MAN, LITTLE LOVE/HEJAR
制作:2001年 トルコ
制作・監督・脚本:ハンダン・イペクチ
出演:シュクラン・ギュンギョル ディラン・エルチェティン フュスン・デミレル ユルドゥス・ケンテル

爺さん&子供モノ。いけません。こういう設定は。大抵ハマってしまいます。トルコ語しか話せない老人とクルド語しか話せない少女のちょっと良い話「少女ヘジャル」です。

トルコの内紛で孤児になった少女へジャル(ディラン・エルチェティン)。その後親戚の家へ預けられますが、クルド人分離独立派の拠点地だった親戚一家は、突入した警官に殺されてしまいます。奇跡的に生き残ったヘジャルは、アパートの隣家に逃げ込むと、そこは75歳の元判事ルファト(シュクラン・ギュンギョル)が居ました。クルド語しか話さない頑固なヘジャルを疎ましく思うルファトでしたが、いつしか心を通わせるようになります。

ちょっと「アルプスの少女ハイジ」的な匂いのするこの作品。頑固な爺さんと少女のハートウォーミングなお話に私が嫌いなはずはありません。ただ、ハイジと大いに違うのは、人種差別という大きな社会問題がテーマになっているところです。正直この作品を観るまでクルド人問題なんて今まで気にした事がありませんでした。本国トルコではかなりデリケートなテーマだそうで、公開されるや否や一時上映禁止になったという問題作。

クルド人問題は未だ解決していませんが、いつか皆が平穏に暮らせる日がくることを願います。


少女ヘジャル@映画生活
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サバイビングピカソ

2008年01月26日 | ★★★★


サバイビング ピカソ
おすすめ度
原題: Surviving Picasso
製作年:1996年 アメリカ
制作:イスマイール・マーチャント デイヴィッド・L・ウォルパー
監督:ジェームズ・アイヴォリー
脚本:ルース・プラヴァー・ジャブヴァーラ
出演:アンソニー・ホプキンス ナターシャ・マケルホーン ジュリアン・ムーアジョス・アクランド ピーター・アイアー

伝記モノです。アンソニー・ホプキンスがピカソを熱演した「サバイビング ピカソ」。生涯7人の女性を愛したピカソの愛人のひとりフランソワーズ・ジロー目線で描かれた作品です。

舞台は1943年のパリ。22歳の画学生フランソワーズ・ジロー(ナターシャ・マケルホーン)は、61歳の天才画家パヴロ・ピカソ(アンソニー・ホプキンス)とあるレストランで出会います。38歳の年齢差を越えて彼を愛する事をきめたフランソワーズ。しかしピカソには長く別居中のロシア人の妻オルガ(ジェーン・ラポテア)以外に、2人の愛人マリー=テレーズ・ワルテルと芸術家であるドラ・マール(ジュリアン・ムーア)がいることを知ります。


ピカソの自由奔放、波乱万丈な生き様はまさにザ・芸術家。
そんな生き方と同様、作品も目まぐるしく変化します。
素晴しい芸術家だと思いますが、自分の人生には絶対関わってほしくない人だな~・・・。

マチス、ブラックなどの芸術家との交流、彼を支えた女性達とのエピソードなどがとても分かりやすく表現されいましたが、これを観て興味がわいたのはピカソ自身より、むしろ彼を愛した女性達でした。

今回特にクローズアップされていたのはフランソワーズ・ジロー。なんでも、ピカソを「捨てた」女性は彼女ただ1人だったそうです。なので個人的にはあのラストに小さなカタルシスを感じました(笑)金銭的にも、女としてもピカソに頼らず自立した女性だったフランソワーズ。素敵すぎます。

1921年生まれの彼女は今年で87歳。まだご存命なのでしょうか?芸術家としてもちゃんと評価され、のちに結婚もされたそうです(2回)。ピカソの下を去った後も彼女は彼女であり続けたんですね~。

楽しめました。


前田有一の超映画批評



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