もうかれこれ25年も前になるか。結婚した5才年上の姉の家に遊びに行った時、椎名 誠の「
岳物語」読みたいが子供の面倒を見なければならず、本屋に行けない。ちょっと行って買ってきて となった。
当時、私は学生時代の本仲間たちとかなり椎名にはかぶれており、また椎名好きの姉が「岳物語」を読んでいないことに驚き、すぐに本屋へ走った。熱い夏の午後だった記憶がある。
本屋に着き冷房が効いた店内で椎名 誠の棚を見てもお目当ての本がない。「続岳物語」はあるのに肝心の「岳物語」はない。なぜだ。椎名教信者としては、半分怒り気味に本屋の店員に
「岳物語はないんですか」
と聞いたものだ。店員は
「あ~、岳物語ですね。こちらです」
案内されたのは入口正面だった。そこには台に平積みになった「岳物語」があった。
「んーーー、新刊でもないのに何で平積みにしてるんですか」
さっきの半怒りはどこへ、はてなマークでいっぱいになった頭で聞いた。
「この本は名作でしょ。今、夏休みだから子供たちの読書感想文用に読んで欲しいと平積みにしているんですよ」
怒りどころか ""ここにも椎名教の信者がいた"" と嬉しくなった。おそらく店主なのだろう。
「で、売れますか」
と私。すると店主は
「いや、ぜんっぜんっ売れない。でも良い本だから子供たちに読んで欲しくて、毎年夏にには平積みにしているんですよ」
と笑顔で言っていた。うれしくもあり、本屋というのは凄い仕事だと思ったもんだ。
それからというもの本屋の仕事に純粋に興味があり、店内のポップや陳列など気にして見るようになった。そういった下地があって「日刊ゲンダイ」の文庫本紹介欄でこの本を知り、購入に至った。
前置きが長くなったが、書きたかったのは前置きのほうなので勘弁して下さい。
で、本の内容については、書店の仕事の中身には少し近づけた気がして中々良かった。書店員の情熱っていうもの、本への愛情が伝わる。気をわず読めるのも〇
この作家の本をまた読みたいかと言われれば?だが、ピンポイント的に読むにのには良かった。
また、本を読む時間を出来るだけ作っていきたい。