日本橋高島屋の美術画廊で開催中の中村翠嵐展。交趾の新作茶道具80点余が並んでいる。
4月11日(水)~17(火)まで。
中村翠嵐という名前、私は存じ上げなかった。
昭和17年、京都生まれ。 陶磁器上絵付業を営む家に生まれ、父初代翠嵐に師事して、昭和49年二代翠嵐を襲名。交趾焼の技術の上に他の要素を加えた茶陶としての交趾作品を一貫したテーマとした茶陶家。
皆具、水指、蓋置、香合、花入、茶碗、建水、手桶、中次など、ありとあらゆる茶道具が並んでいた。
浅黄、青、浅青、紫、紫紺、赤、黄の地に、美しい柄、色、彩金された道具で埋め尽くされた、華やかな展示会です。柄は宝尽くし、鶴亀、季節の花、干支などベーシックなものから、東京の風景を描きとったものや、花火など現代的なものもありました。
私の目を引いたのは、宝袋の形をした水指と、紫紺の地に金彩された花火の平茶碗、古代黄の地に四君子宝袋の描かれた茶碗、紫紺に銀彩された落ち着いた上品な皆具。
「交趾」とは、現在のベトナムあたりを示す呼称で、その辺りを経由して日本にやってくる貿易船をかつて「交趾船」と称し、その「交趾船」で運ばれる焼物を「交趾焼」と呼ぶようになったとか、発祥地である広東省の五嶺以南の地域を昔は「交趾」と呼んでいたから「交趾焼」と呼ぶ、など諸説あるようです。
実際の生産地は、近年実施された福建省の発掘調査で、交趾焼香合を焼いた窯跡が見つかり、ベトナムではなく中国南部で焼かれたものと推測されています。時期は明代末~清代初。
当時は香薬品の容器として渡来したのが、その美しさから茶人に香合として取り立てられ、発展しました。日本人の美的センス、見立てに合致した渡来品だったわけです。
江戸時代に「形物香合相撲」という相撲の番付に似せて、型(形)物香合の評価を示す一覧が刊行されたことは以前ご紹介しましたが、その中でも64点が交趾焼香合で占められ、当時、交趾焼が茶の湯の世界で、いかに高い評価と関心を得ていたかがわかります。
交趾焼香合とは、押し型で型抜きしたものを一度素焼きし、その上に黄・緑・紫の三彩釉を掛け分けて再び焼成したもの。
今回の展示会でも、東の大関 交趾大亀がありました。いつか手に入れたいものです。
茶道における香と香合の歴史
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/29a997e1c4f6db9d23f3d81cb4a2423e
形物香合番付表 東/西
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/987ed933f6c5ea5be3de54e999988263
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/a2d5fe42840882cd219d39b44813914d
土の焼物の方が好きな私ですが、交趾焼や京焼なども見るとその美しさに心が華やぎます。華やかなものと侘びたもの、その時の自分の状況や気持ちによって、引き寄せられ方が違うのも面白いものです。こんなにたくさんの交趾焼を見る機会も少ないですから、お近くの方は是非いらしてみて下さい。
4月11日(水)~17(火)まで。
中村翠嵐という名前、私は存じ上げなかった。
昭和17年、京都生まれ。 陶磁器上絵付業を営む家に生まれ、父初代翠嵐に師事して、昭和49年二代翠嵐を襲名。交趾焼の技術の上に他の要素を加えた茶陶としての交趾作品を一貫したテーマとした茶陶家。
皆具、水指、蓋置、香合、花入、茶碗、建水、手桶、中次など、ありとあらゆる茶道具が並んでいた。
浅黄、青、浅青、紫、紫紺、赤、黄の地に、美しい柄、色、彩金された道具で埋め尽くされた、華やかな展示会です。柄は宝尽くし、鶴亀、季節の花、干支などベーシックなものから、東京の風景を描きとったものや、花火など現代的なものもありました。
私の目を引いたのは、宝袋の形をした水指と、紫紺の地に金彩された花火の平茶碗、古代黄の地に四君子宝袋の描かれた茶碗、紫紺に銀彩された落ち着いた上品な皆具。
「交趾」とは、現在のベトナムあたりを示す呼称で、その辺りを経由して日本にやってくる貿易船をかつて「交趾船」と称し、その「交趾船」で運ばれる焼物を「交趾焼」と呼ぶようになったとか、発祥地である広東省の五嶺以南の地域を昔は「交趾」と呼んでいたから「交趾焼」と呼ぶ、など諸説あるようです。
実際の生産地は、近年実施された福建省の発掘調査で、交趾焼香合を焼いた窯跡が見つかり、ベトナムではなく中国南部で焼かれたものと推測されています。時期は明代末~清代初。
当時は香薬品の容器として渡来したのが、その美しさから茶人に香合として取り立てられ、発展しました。日本人の美的センス、見立てに合致した渡来品だったわけです。
江戸時代に「形物香合相撲」という相撲の番付に似せて、型(形)物香合の評価を示す一覧が刊行されたことは以前ご紹介しましたが、その中でも64点が交趾焼香合で占められ、当時、交趾焼が茶の湯の世界で、いかに高い評価と関心を得ていたかがわかります。
交趾焼香合とは、押し型で型抜きしたものを一度素焼きし、その上に黄・緑・紫の三彩釉を掛け分けて再び焼成したもの。
今回の展示会でも、東の大関 交趾大亀がありました。いつか手に入れたいものです。
茶道における香と香合の歴史
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/29a997e1c4f6db9d23f3d81cb4a2423e
形物香合番付表 東/西
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/987ed933f6c5ea5be3de54e999988263
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/a2d5fe42840882cd219d39b44813914d
土の焼物の方が好きな私ですが、交趾焼や京焼なども見るとその美しさに心が華やぎます。華やかなものと侘びたもの、その時の自分の状況や気持ちによって、引き寄せられ方が違うのも面白いものです。こんなにたくさんの交趾焼を見る機会も少ないですから、お近くの方は是非いらしてみて下さい。
先生に「こうち焼き、っていうのよ」と教えていただいて、帰宅してから、「交趾焼き」と書くのだと知りました。
確か、こんなにたくさんの交趾焼きに出会える機会はそうないかも、、、
たまごさん、ありがとうございました。会期中にぜひうかがってみます!
以前、茶道具屋さんの主催で翠嵐さん指導の絵付け教室に参加しました。
蓋置を作りましたが、下絵が出来ていて、塗り絵のようなものでしたが、それでも、半分は翠嵐さんが、仕上げてくれました。
翠嵐さんは、当代の永楽善五郎さんと友達なので、先代(即全さん)が存命のころ、伺った折、
即全さん「何をやっているの?」
翠嵐さん「交趾です」
即全さん「よく、あんな手間暇かかることをやるね。 私もやるが、手間ばかりかかって、大変だ」
と、言われたそうです。
なお、即全さんの個展で黄交趾の水指に400万円の値段が付いていました。
綺麗で お茶会とかにも 映えると思うのですが、お値段が高すぎて 買えません。
↑の方、毎年買われるなんて、うらやましいです。
こうちやきって初め聞いた時、どんな字ですかってまず聞きました。色によって美しさも味わいも違いますよねー。
もういらしたかしら。いらしたら日記に感想書いてくださいねー。
毎年干支の茶碗を購入とは並べたら素敵でしょうね。
翠嵐さん指導の絵付け教室というのも魅力的。やはり京都でしょうか?
翠嵐さんと永楽善五郎さんの逸話ありがとうございます。交趾焼、美しいものは手間もかかるのですね。
>なお、即全さんの個展で黄交趾の水指に400万円の値段が付いていました。
今回もお値段もご立派でした。
お茶碗、香合くらいなら買えるかなぁ。でも、これだけ美しいのが一つあっても他との取り合わせが難しそうですね。
翠嵐さんは、今人気なんですか~~。
綺麗ですが、とりあわせとお値段考えるとホイとは買えませんね。
いいお道具を拝見して目の保養になりました♪
そのせいか3月の生田神社献茶式では薄茶席のお菓子鉢のほとんどが翠嵐さんの色鮮やかな交趾焼きでした。
きっと担当の先生方が購入されたものかと・・・
とっても綺麗でしたよ♪
神戸でもやっていましたか。
あの色合いは本当に美しいですね。私は紫、紺紫、古代黄がとても気に入りました。