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茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

而妙斎家元好み物展

2008-04-10 10:11:55 | 美術館・展覧会
 4月2日~7日まで横浜高島屋で開催されていた表千家家元の古稀記念展示会に行ってきました。思ったよりお道具が多く、後に予定が詰まっていた私は後ろ髪ひかれながら慌てての拝見となってしまいました。

 而妙斎宗匠は10年毎に高島屋で好み物展を開いているそうです。会場には、千家十職と、十職と家元とのコラボの作品が並べられていました。個人的には、コラボ作品よりもやはり職人だけの感性で作られたものの方が洗練され、惹かれるものが多かったです。家元の手作りというのは茶道を習う者には何物にも代えがたい魅力ではあるのでしょうが、美術品としてのセンスや価値とはまた別ということでしょうか。その家元と自分の好みが合うかどうかというのもありますね。
 今回は、友湖のふくさ、帯や、浄益の皆具や灰匙など、あまり普段目にすることのない脇役の道具に目が行きました。灰匙や火箸など、すっきりとして、凛とした緊張感のある姿で、見ていると引き込まれそうで、自然と背筋も伸びました。それぞれの道具には小さな説明札が置かれているのですが、それを裏返すと、価格が書いてあります。友湖のふくさは7万円でした、私たちが使う上等なふくさが7、8千円で買えることを考えると破格です。でも、きっと使い心地も格別なのでしょう。茶碗1つでも百万円から、いいなあと思うものもありますが、自分がもっている道具を考えれば、あまり格の違う道具は取り合わせようがありませんし、もったいなくてしまいこんでしまいそう。
 竹細工師の黒田正玄氏の作品は、以前も高島屋で拝見しましたが、美しい。竹が職人の手によってこれほど自在に変化するものかと感心します。
 焼き物の松ぼっくりが永楽、金具が大西清右衛門、塗りが宗哲の合作の松子松葉風炉先屏風もありました。そういう作品もあるのかと興味深く拝見しました。こういう場合は一緒にデザインを考えるんだろうか、出来上がるまで時間がかかりそうですね。
 家元の手作りの茶杓がたくさん出ておりましたが、どれも太くてびっくり。こんなに太い茶杓は初めて見ました。而妙斎宗匠の特徴なのでしょうか。胴の部分を削っているようには全く思えず、すぱっと竹を縦に切り落として、櫂先だけを整えたような姿です。
 家元の書も多かったのですが、表具に使われている布(一文字の部分)が宝珠のもの多い気がして、これも家元毎に決まりや好みがあるのかしら、と思ったり。
 道具そのもの以外に、表千家で催される茶会での取り合わせも紹介されていました。初釜、二条城観桜茶会、祇園祭、名残り茶会など。初釜は新年らしく、おめでた尽くしで、観桜茶会は、春の野花の描かれた旅箪笥を使って、祇園祭では、祇園護符を象った蓋置が珍しく楽しみました。道具そのものも感動しますが、取り合わせを拝見すると勉強になります。

 展示会の一角では表千家茶の湯歳時記というビデオが流されており、表千家での1年間の行事を見ることが出来ました。毎年の儀式をきちんと執り行うこと、荘厳で緊張感がありながらも温かみのある日本の風景を見た気がします。これまた見ごたえがありました。

 ビデオを見終わったところで、タイムアップ!ああ、残念。会場には美術画廊の方と思しき方もたくさんいらして、お話したいことがたくさんあったのです。
 道具自体についてもですが、家元手作りという場合、どこまでを持っていうのか。例えば、茶杓なら櫂先を家元が少し曲げればいいのか、とか、茶碗なら絵を描くだけ、形を作るだけでそうなるのか、書は書いただけで表具には特に関わらないのか。どういう経緯でコラボを作ろうということになるのか、その場合、デザインは一緒に考えるのか、お道具を入れる箱書きはどうなっているのか、などなど。ご存じの方いらっしゃいましたら教えて下さい。美術画廊の方はとてもよく勉強していらして、家元や道具師の方と直接お話ししていることが多いので、お話を聞くと色々なことを教えて下さって、とても勉強になるのです。今回は本当に残念でした。

 表千家では、毎月一日に千家十職が集まって、お茶を飲みながら、現在のお道具の動向やお茶のことについて話し合うといいます。この風景はビデオの中にも出てきました。その為か、道具自体も表千家に卸されるものの方が多いと聞いたことがあります。集まってコミュニケーションをとることでいい道具が生まれていくのでしょうね。一方裏千家では毎月一日は一日稽古と称して、弟子に稽古をつけて下さる日になっているとか。昔は十段稽古と言って、相伝十段を伝授していたようですが、現在では普通にお稽古になっているとか。いらしたことがある方は様子を教えて下さい。

 表千家のHPに今後の高島屋での展覧会予定が記載されていました。大阪、京都方面の方はご参考までに添付します。
表千家 今後の高島屋での展覧会予定
□島屋大阪店       4月23日(水)-28日(月)
□島屋京都店       5月 7日(水)-12日(月)
http://www.omotesenke.jp/chanoyu/kousin.html

古稀記念
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/401878be5b1314d1d1c11f9c2ffd1e7d
千家十職
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/dd55a417ec66f1e271d4a53cf1ca86de
永楽
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/dd55a417ec66f1e271d4a53cf1ca86de
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4 コメント

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千家十職 (Akatsuki)
2008-04-11 08:44:42
おはようございます。
ついに?行かれましたね。
日本橋で観てよかったので、横浜で再度見直そうと思いつつ、時間がとれず行けませんでした。
家元と職人のコラボ、確かに多かったですね。
少しでも家元が手を出されたら、コラボになるような感じですかねぇ。
いわば“素人”の家元が手を出しても、品質的には逸品となるように“お膳立て”?は綿密に準備されているように感じました。
もっとも、長い長い付き合いの中から生まれるコラボなので、それなりに味はあったのではないかと、私はそう思いました。
返信する
古希記念展 (グランマ)
2008-04-11 16:36:44
詳しくUP下され有り難うございます
田舎に住んでいますと拝見する機会が中々作れず
いつも残念な思いをしております。
昔から[好む][好み物]といわれているものは
その家元の生きた時代、背景、が読みとれると聞
いています。職家さんと(あうん)の呼吸から出
来上がったこれらの物が百年後どんな評価を得て
受け入れられるのか覗いてみたいきがいたします

十職のお一人金工の十一代中川浄益様は1月
15日御逝去と伺っておりますのでご遺作に
なりました。


返信する
千家十職 (m-tamago)
2008-04-12 18:41:18
Akatsukiさん、こんばんは。
ついに、行きましたよ。もう少し時間が欲しかったです~。思ったより作品数も多くてびっくりしました。

>家元と職人のコラボ、確かに多かったですね。
多かったですね。あれだけコラボを見られる機会もなかなかありませんよね。
二人の思いが重なり合った作品は、それこそ世界で1つしかないわけで、一期一会のお道具ですね。
返信する
古稀記念展 (m-tamago)
2008-04-12 18:44:30
グランマさん、こんばんは。

>昔から[好む][好み物]といわれているものは
その家元の生きた時代、背景、が読みとれると聞
いています。
確かにそうですね!今は新しいコラボ作品も、作者がいなくなっても受け継がれ、大事にされていくんですものね。どう育っていくのか、どう受け入れられるのか、想像すると楽しいですね。

>十職のお一人金工の十一代中川浄益様は1月
15日御逝去と伺っておりますのでご遺作に
なりました。
そうだったのですか。ビデオで十職の中で一番初めの席にお座りになっている姿を拝見し、年齢が上でいらっしゃるのだなとは思いましたが。
凛として美しい作品でした。
返信する

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