学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

競争をどう捉えるか

2009-06-01 | 教育
私たちが,子どもたちを駆り立てている競争,
特に勉強における競争とはどのようなものかを考えてみたい。

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今まさに,それぞれの子どもたちが
これからはじまる長い競走の
スタートラインにつこうとしている。
幼い子どもたちである。
観客席では,親たちが我が子の勝利を信じて,
一所懸命応援している。

子どもたちも,自分こそは勝者になれるのだと
純粋に信じ込んでいる。

しかし,よくみると…,
子どもたちの姿が妙なのである。

ある子どもは,
親から買ってもらった最新型のウェアに,
最新型のランニングシューズを履いて,
いかにも走りやすそうである。
ある子どもは,
なんと全身,鎧をつけている。
ある子どもは,
骨折でもしたのであろうか,
松葉杖をついている。
ある子どもは,
裸で裸足である。

そんな,もろもろの格好をした子どもたちが,
いまスタートラインについている。
しかも,自分の姿には,
だれも気付いていないようである。
ただ自分が勝てることだけを信じて,
今まさにスタートを切ろうとしている。

親もコーチも,
「がんばれ,やればできる」と声をかける。
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さて,どう思われたであろうか?
馬鹿げた戯画に過ぎないと思われるだろうか?

確かにその後の走りっぷりによっては,
逆転も可能であろう。
しかし,もともとの走力や装備に差はあるのである。

このとき,賢明な教師であれば,
この競走を,他人との競走ではなく,
自分との競走であると位置づけるであろう。
「昨日よりは今日,今日よりは明日へと前進する」,
他人との比較ではなく自分の位置をより前へ進めること,
これが,競争に臨む者への唯一無二の励ましなのである。

競争を,
他人に勝つことではなく,
自己の成長の証と捉えることだけが,
競争を非教育的なものにしない方法なのである。


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