ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその367-ローラ

2019年08月07日 | ヨーロッパ映画
女性の初恋とは。

「初恋」
誰でも経験する、人生の中でも甘美な時期。
しかし、初恋が成就するのは稀である。
普通の人は、初恋は記憶の中に留められた、自身の道程である。
今回紹介する映画は「ローラ」
切ない男女のラブストーリーである。
ストーリーを紹介しておこう。

ローラはキャバレーの踊り子。
彼女には、初恋の人、水兵のミシェルとの間にもうけた息子がいる。
彼女はシングルマザーとして気丈に働いているのだ。
一方、遅刻が原因で会社を解雇された男ローラン。
彼はローラと幼馴染で、彼女に恋心を抱いていた。
ある日、ローラとローランは街中で偶然に出会う。
ローランは、昔年の思いをローラに告げ、つい会いたいと告白する。
しかし、ローラはそれを断り、必ず自分を迎えにくるミシェルを待つと言うのだが.......

ローランは、ローラのためにもと次の働き先を探す。
やっと見つけた働き先は、ダイヤモンドの密輸の手伝いと言う裏社会の仕事。
それも、仕事をする前に、ボスが逮捕され、また職を失う。
全ての物を失ってしまったローラン、悲しみの中に埋もれてしまう。
その頃ローラは、信じて待っていたミシェルが果たして現れて、家族三人の生活を新たに始めようとする。
この二人の現実の差に、観る者は心を痛めるだろう。
それとこの映画を観て気が付いたのだが、この映画は音楽(BGM)を使う場面が多い。
普通ヨーロッパ映画と言えば、音楽はあまり使わない、静かな印象があったのだが。
しかし、そこは音楽監督を務めているのが「ミシェル・ルグラン」である。実に見事で綺麗なメロディーが一層映画を盛り立てている。
さすが、フランスが世界に誇る作曲家、その音作りは見事のひと言である。
そしてラスト、この胸かきむしる程に切ないラストを、かって私は知らない。
残酷であるも、この美しいラストシーンは数ある映画の中でも白眉と言って良いだろう。
ジャク・ドゥミ監督の長編処女作である「ローラ」
観ていない方には是非観ることをお勧めする。

1961年、フランス・イタリア合作、モノクロ、88分、監督:ジャク・ドゥミ