ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその188-映画「ターミネーター・ジェニシス」

2015年12月23日 | アメリカ映画
シリーズ物の難しさ。

映画には様々なシリーズ物がある。
最も有名なのは、ギネスにも登録された日本の「男はつらいよ」シリーズではないだろうか。
海外の映画でも「007」シリーズは長く続くシリーズ物である。
しかし、どちらのシリーズ物も主人公は変わらず、物語が変化することで作品を作りあげている。
最近では「Xマン」シリーズが物語に無理があるものの、シリーズ化をめざしているとおぼしい。
今回紹介する映画は「ターミネーター・ジェニシス」ターミネーターシリーズの5作目にあたる作品である。
ストーリーを紹介しておこう。

2029年、ジョン・コナー率いる人類は、スカイネットの機会部隊との戦いに勝利する。
苦肉の策として、スカイネットはジョンが誕生しないように、母親のサラ・コナーを抹殺すべく、1984年にターミネーターをタイムマシンで送り込む。
それを知った人類側もそれを阻止するため、部隊の隊員、カイル・リースを同年に送り込む。
サラを守るべくタイムマシンで1984年に送り込まれたカイルだったが、彼はそこで思わぬ光景を目の当たりにする......

実際に思わぬ光景を目の当たりにするのは、ターミネーターの一作目を観たことのある観客である。
タイムマシンでターミネーターが1984年に送られるところのシークエンスは一作目とまったく同じである。フィルムをコピーして編集したのではないかと思うほど、忠実に再現している。
しかしそこからが問題だ。ターミネーターを追って、タイムマシンで1984年に到着したカイルはいきなりターミネーター2で現れた「液体形ロボット」に襲われる。
一作目を観た観客は「いったいなにが起こっているのか」混乱してしまう。
結局は同年の別の時間軸に到着してしまったらしい。
その時間軸では既にターミネーター1号(シュワルツネッガー)がサラの守護人として存在していたのだ。
かなりストーリーが進まないと、この映画は内容が理解できない。
前述のシリーズものであれば、単に物語を変え、登場人物を変えれば映画はつじつまがあい、完成できる。
しかし「時間軸」などというものを設定の中心にしてしまったために、この映画は失速する。
私はターミネーターシリーズを4以外全て観ているが、これほど酷い脚本はない。
謎の多い結末も、陳腐で納得がいかない。

一説にはこの映画は、ターミネーターの新シリーズ物としての一作目となるように製作されたらしい。
しかしこの内容では、二作目以降の製作は難しいだろう。
最近期待して観た映画の中では、駄作の部類である。
それでも試しに観て観たい方は、ご覧いただきたい。

2015年、アメリカ製作、カラー125分、2015年日本公開、監督:アラン・テイラー

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