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焦点:気候対策遅れるロシア、極東で野心的な「ネット・ゼロ」始動

2021年02月24日 08時34分17秒 | ネタ
[サンクトペテルブルク(ロシア) 19日 トムソン・ロイター財団] - 豊かな化石燃料資源を抱えるロシアは、気候変動対策におけるリーダーとは思われていないかもしれない。だが極東ロシアでは、当局が意外な実験に着手している。炭素排出量取引を試行し、2025年までに温室効果ガス排出量の「ネット・ゼロ」、つまり吸収分も含めて実質的な排出量ゼロを達成しようという取り組みだ。

日本の北方、太平洋に浮かぶロシア領サハリン島に置かれた州政府は、電気自動車を対象とした優遇税制、充電ステーション及び専用駐車場の整備に加え、2035年までにガソリン・ディーゼル燃料車の全面禁止を予定している。

サハリン州当局者が明らかにしたところでは、「ネット・ゼロ」に向けたロードマップがロシア連邦政府による承認を得た後、サハリン地域では、石炭火力発電所は環境負荷が低めの天然ガスに切り替えられ、水素燃料を用いる旅客列車が展開されるという。

ロシア政府は、環境保護団体やアナリストから気候変動対策の目標設定は消極的すぎるとの批判を浴びているが、この1月、国内初となる炭素排出量取引スキームの試行に向けたサハリン州政府の提案に承認を与えた。

<投資誘致と生活・環境の改善を両立>

約50万人が生活するサハリン州の経済の柱は、石炭を含む化石燃料の生産である。

サハリン州の「ネット・ゼロ」計画では、8月までに州内での温室効果ガス排出量と自然環境による炭素回収能力を洗い出した上で、2022年半ばの運用開始をメドに排出量取引制度を構築する。

ロシアのマクシム・レシェトニコフ経済開発大臣は公式声明のなかで、「この実験によって、炭素(排出量)規制に向けたさまざまな措置を試し、後日の全国レベルでの展開に向けて有効性を評価できるようになる」と述べた。

さらにレシェトニコフ氏は、「投資家が『グリーン』プロジェクトに関心を持ち、気候変動対策のより積極的な目標に前向きな企業が、この実験に参加する意欲を持つよう期待している」とも述べている。

トムソン・ロイター財団の取材に応じたサハリン州のビャチェスラフ・アレンコフ副首相によれば、この取り組みは同州の主導によるものであり、投資誘致の強化、生活の質の改善、環境問題解決への寄与を狙っているという。

サハリン州では、排出量取引と電気自動車の利用拡大だけでなく、炭素排出量の少ない天然ガスによる石炭の置き換え、ブルー水素(生産に化石燃料を用いるが、排出される二酸化炭素は回収される)、グリーン水素(生産にも再生可能エネルギーを用いる)の生産、州内の広大な針葉樹林帯の持続可能な管理の推進をめざしている。

アレンコフ副首相によれば、州内で採掘される石炭全体の約97%は州外に輸出されており、石炭産業の環境負荷を減らすテクノロジーが導入されれば、今後も石炭は州内における備蓄用燃料として残る可能性があるという。

<「再生可能エネルギーの島」への変身は可能か>

アレンコフ副首相は、現在、住民の約3分の1に留まっている輸送・家庭用天然ガスの利用を推進していくほか、クリル諸島を中心に、再生可能エネルギーを開発する計画もあると話している。

山がちの地形のサハリン州は90近い島々で構成されており、小規模な水力、風力、太陽光、さらには地熱発電にも適している。アレンコフ副首相によれば、まだ開発は進んでいないものの、これらの資源によってエネルギーが利用しやすくなる可能性があるという。

再生可能エネルギー開発の可能性については、必要なテクノロジーや予算も含めて評価されており、今年中に最初の報告が行われる予定である。アレンコフ副首相は、すでに投資家からの関心も寄せられていると話す。

またアレンコフ副首相は、サハリン州では中国、日本、そして恐らく欧州連合といった他国・地域の排出権取引制度との提携を推進し、同州の炭素排出権について「国際航空のためのカーボンオフセット及び削減スキーム(CORSIA)」の認証獲得をめざしている、と述べた。




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