万福寺 大三島のつれづれ

瀬戸内・大三島 万福寺の日記です。
大三島の自然の移ろいと日々の島での生活を綴ります。

10月の法語

2013年09月30日 | Weblog
                          


 10月入ってもまだ日中には30度位に気温が上がっています。さすが夜明け頃の気温は涼やかになりました。

今、野々江地区の報恩講にお参りしております。法語カレンダーのことが気になりながら早や4日となりました。

 10月の法語は石川県松任市でご活躍の浅田正作師の念仏詩集『骨道を行く』から選出されているお言葉です。

      世の中が便利になって
      一番困っているのが
      実は人間なのです

 実に厳しく人間社会の現実を見透かしている言葉です。人間は何万年と云う時間を掛けて様々な道具を作り出して来ました。そ

の様々な便利の良い道具の恩恵に私共はあずかって来ました。そしてこれからもその中で生きて行くわけなのですが、それらの人

間が作り出した道具類の存在が100㌫全てに恩恵を与えているかと云うと、そうではなくて中には泣いている者もいるし、犠牲

になって耐えている者もいる。憎しみや腹立ちの情念を起こしている者すら居るのです。早い話が、この度の福島の原発事故を考

えますと、正しく浅田正作師が申される通りです。(人間も動植物も虫や魚類も細菌類も石や山も川も海も一切が調和してこそ)

 人間の考えることや、創造するものはどこまでも人間中心であり、身内中心であり、自我中心でしかありません。

 ですが、その営みを止めることもできず、それらのことで世界の経済や力関係のバランスの基が成り立っているのですから、な

んとも悲しい限りですし、罪悪深重としか云えない存在が人間と言えましょう。 

 お釈迦様が、野に咲く草木の花とブンブンと飛び回る蜜蜂とをもってお話になられています。

 蜜蜂が花から花へと働けば働くほど、草木の実りは多いのです。蜜蜂の利が多ければ多いほど草木の実り、利は多いのです。

この関係を「自利利他円満」(じりりたえんまん)といいます。と、お話になっておられます。

 このような関係が人間の創造物には少ないようです。


   浅田正作詩集より

          いのち
         夜空を彩る花火は
         一瞬のうちに燃え尽きて
         何も残らない美しさを
         教えてくれる

         私もあの大輪には
         及ばないが
         一瞬のいのちを
         あのように燃焼したい

                 他力の信
              生きてゆく自信など
              うたかたの
              幻想にすぎなかった
              
              他力の信なくして
              どうして
              自らを信じられようか

                           ほんもの
                         いつこわれるかも知れぬ
                         幸せよりも
                         雨あり
                         風あり
                         嵐ありの日ぐらしこそ
                         ほんものの幸せ
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