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武子夫人短冊
今日から丁度20日前の2月7日は42才で早世された九条武子夫人のご命日「如月忌」でした。昭和3年にお亡くなりになられたのでしたが、今でも京都や東京に於いて武子夫人を追慕する法会「如月忌」が行われています。大正12年9月に関東地域を襲った「関東大震災」の罹災者救援に身命を顧みず尽くされ、その過労のため倒れられたのだと聞かせて頂いております。
昨年の3月11日に三陸海岸を襲った地震と大津波から1年が経とうとしております。少しづつ復興への兆しが感じられるようになって来たようですが、まだまだこれからで難題が山積みのようです。
今から90年前の関東大震災の折の救援と復興も大変であったに違いありません。今のように救援ボランテイア組織などのない頃でしたから困難を極めたに違いありません。そう云った状況下で武子夫人は仏教婦人会の組織に働きかけて救援活動の先頭に立たれたのでした。
この短冊は古書店で見つけ、そのお歌の心にひかれて求めたものでした。もう20数年も前のことです。
つわどもにをのことられてさびしくも
わらやにひとりおうなのこれり 武子
このお歌の作られた時代は明治の日露戦争の頃のお歌であろう推察されますが、関東大震災の救援活動と共通した一貫したお心と拝察されます。
申すまでもなく九条武子夫人は本願寺21世大谷光尊(明如)上人の次女として生まれられ、九条良致氏と結婚されましたが生涯ご法義の宣布、そして女子教育と女性の地位向上に尽力されたご生涯であったように伺います。
歌人としてはつとにご高名であられます。よく知られているお歌をご紹介しておきます。
あはれわれ 世々生々の悪をしらず 慈眼の前になにをあまゆる
いだかれてありとも知らず おろかにもわれ反抗す大いなるみ手に
大いなるものゝ力にひかれゆく わが足あとのおぼつかなしや
(義姉大谷籌子裏方への追悼歌)
たまの声わすれえぬかないくめぐり はるはゆくとも花はちるとも