11/9(金)午前10時20分頃広島から定期バスでアーサー・ビナードさんが来山されました。大三島バスストップより今夕
グリンピア玉川でのアーサーさんの講演会の実行スッタッフのM.Yさんが車でご案内下さってご来山されました。また、朝日新
聞の今治支局駐在のM.T記者も来られ取材されました。
アーサー・ビナードさん著写真詩集『さがしています』に原爆死した私の兄綜智の被爆軍手が目に留まり作詩され収載されまし
た。私にとっては大変な驚きで、兄の最後の事を小冊子としてまとめてみる大きな機縁となったのでした。
そのアーサーさんがご来訪下さるとのことで楽しみに待たせていただいていました。
拙寺に着かれると、直ぐさま十年の知己に会ったように会話の関が切られ次々と話題が出て来ます。新聞記者さんや今
治の平和活動の女性も加わっていますから話は高度に盛上がって行きます。
アーサーさんは『さがしています』の著作で綜智さんの「被爆軍手」が重要な意味を持っています。広島市内の中学や女学校の
1、2年生が7千人以上も犠牲になったことを象徴しているのが綜智さんの「(少年用の)軍手」と云えます。と語られました。
時の経つのも忘れて語り合い午後2時頃、講演の会場地今治玉川へ向かわれました。
私も家内と二人で開演時間の6時頃、グリンピア玉川に向かいました。
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本堂にお参りくださり、襖絵の前で撮影させていただきました。女性の方は講演会スタッフのM.Yさん。
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アーサーさんは流暢な日本語で2時間タップリお話になられたのです。有難し、
アーサーさんの講演は日本の古い諺「這っても黒豆」から導入しました。会場の一人を除いて誰も知らない諺をアーサーさんは
見事に使われます。この諺の意味するところは「間違っていても間違いを認めない頑固者」を意味しているのです。
地面に丁度「黒豆」のような黒い物があって、ある人はそれを「黒豆だ!」と云いました。もう一人の人は「黒豆?黒豆にし
ては一寸おかしいですよ・・・」と思案していると、その黒い物体はゴソゴソ動き始めたのです。しかし黒豆と云った人は「黒豆
だ!黒豆だ!」と這っているのに「これは黒豆です」と頑固に言い張ると云う諺だと説明されました。
今、原子力発電の大問題について云えば東北地震の大津波で福島原発が制御不能となり原発は危険極まりないものであるこ
とが露呈しているにも係わらず、原発は安全なのだと言い続けている人達がいることをこの諺で揶揄されました。
アメリカにおける秘密裏に進められた原子爆弾開発のこと、国民市民は全く知らされないままにウラン爆弾、そしてプルトニュ
ーム爆弾が作られ識らぬ間に広島、長崎に投下され、大戦後そのことを正当化して夥しい原爆、水爆の保有にいたったことなどな
ど、語られました。私には目から鱗が落ちるようなお話で目が皿のようになったことです。
アーサーさんはもう一つ諺をを使って話されました。これも初めて聞く諺「鼻唄三丁、矢筈斬り」と云う諺です。どのような意
味かと云いますと。切れすぎる刀を打ち上げる刀鍛治がいました。彼が打った刀を持つとどうしても人を斬りたいと云う衝動にか
られてしまい、ついつい辻斬りをしてしまうのです。闇に出会い頭「さっ、さっ」と斬られた男は切られたことも気が付かず、同
じように鼻唄を歌いながら三丁も歩いてバッタリと倒れると云うのです。それほどに切れ味がいいと云う譬えなのです。
放射能の被爆は目にも見えず、被爆して直ぐどうこうと云うことではないにしても何年か後に遺伝子が犯されて大変な状況が現
出すると云うことを警告して使われた諺でした。
分かり易く、聞きやすくお話いただき本当に有難うございました。厚くお礼申し上げます。