memory of caprice

浮世離れしたTOKYO女子の浮世の覚書。
気まぐれ更新。

松本記念音楽迎賓館

2015-10-27 06:43:48 | 旅行
旅行と言うほどでもなく、近場での休日に訪れたいと思ったスポットのご紹介。

2015年10月16日朝日の首都圏ナビで、パイオニア創業者松本望氏の居宅だった館が音楽ファンの「隠れ家」として一般公開されているとか。


*音と陽光の交わる「隠れ家」*

 富士山をのぞむ東京・世田谷の国分寺崖線の住宅地に、音楽ファンの集まる「隠れ家」がある。知っていても通り過ぎるほど奥ゆかしく立つ「松本記念音楽迎賓館」。
音響・映像機器メーカー「パイオニア」の創業者、松本望(のぞむ)さんの居宅だった館だ。
 木々に囲まれた約1千坪の敷地に、手入れの行き届いた日本庭園。あちこちにスピーカーが配され、茶室もある。大きな扉を開くと、琴や1800年代のオルゴールが出迎える。
     
 私がここを最初に訪れたのは数年前。友人に誘われパイプオルガンとチェンバロのコンサートを聴き、一度で気に入り、時々、訪れるようになった。
 2階を改築した小さなホールに入ると、美しいステンドグラスが目を引く。差し込む光が、後方のパイプオルガンを彩る。ベルギーのオルガン製作所で手作りされたものだ。脇には、18世紀のフランスのものを再現した2段式のチェンバロ。ベーゼンドルファーの創業170周年記念モデルのピアノも。50席ほどのいすが並ぶ小さな空間が、素晴らしい響きを一層身近に感じさせる。
 館の主だった松本さんはキリスト教牧師の家に生まれた。少年時代から楽器の音にひかれ、スピーカーに興味を持つ。楽器店などで働いた後、独立して日本初のダイナミックスピーカーを開発。1938年にパイオニアの前身、福音商会電機製作所を創業した。一大メーカーとなった後もいい音を追い求め続けた。
 当時のままに保存された地下の工作室や、膨大な音楽資料がある資料室からは、その情熱がわかる。音楽の教育・研究の目的なら、資料の閲覧もできる。

 もう一つ、松本さんが力を注いだもの。それは「音楽教育」だ。
 ホールの隣のオーディオルームに入った。1メートル以上あるスピーカーはTAD。LPレコードが鑑賞できる設備もあり、音楽のレクチャーに使えるという。1階のサロンには、SPレコードが楽しめる蓄音機と、日本ではめずらしく演奏できるプレイエル社のランドフスカ・モデルのチェンバロ(クラヴサン)がある。
 松本さんは、日本の音楽鑑賞教育の先駆けとなる「財団法人・音楽鑑賞教育振興会(現在の公益財団法人・音楽鑑賞振興財団)」を設立した。音楽好きな子を育てるためには、惜しみなく尽力してきた。亡くなった後、遺族が居宅を財団に譲ったのも「音楽教育に広く役立ててもらうため」。当初は、音楽教師の学習会や小中学生の鑑賞や見学会もよくあった。
 だが、年々その回数は減っている。「先生たちが忙しくなりすぎたせいでしょうか」と横田堯(たかし)館長。現在は、プロ、アマチュアを問わずコンサートやレッスン、音楽愛好家の集いや、お茶会にも使われる。「ただ一つお願いしたいことは、ここに一歩足を踏み入れたら、それまでより音楽が好きになって帰ってほしい」(宮坂麻子)
     
 〈松本記念音楽迎賓館〉 だれでも利用・見学できるが、事前予約が必要(水・木曜以外。目的別利用料有り)。25日にチェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバなどのバロックアンサンブル、11月8日には小川園加チェンバロリサイタル開催。
世田谷区岡本2-32-15
☎03・3709・5951


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