♦️269の8『自然と人間の歴史・世界篇』自営農地法(1963、アメリカ)

2021-03-10 22:03:44 | Weblog
269の8『自然と人間の歴史・世界篇』自営農地法(1963、アメリカ)

 アメリカの開拓者精神を可能にした法的枠組みとしては、よく知られているように「公有地の事実上の入植者に自営農地を取得させる法律」(自営農地法)があり、その第1項には、こうある。

 「何人も、一家の長か21歳に達した者で合衆国市民である者、または合衆国市民たらんとする意志を合衆国の帰化法の定めに従って表明した者で、かつ合衆国に武力で敵対した合衆国政府の敵対者に援助を与えたりしたことがない者は、1863年1月1日以降、一区画として存在し、公有地の正式な分割法に合致し、測量の完了した土地であって、同人がすでに先買権の請求をおこなっているか、あるいは申請時において1エーカー1ドル25セントまたはそれ以下の価格で先買権の対象とされている4分の1セクション(160エーカー)またはそれ以下の面積の未占有の公有地、あるいはまた、1エーカー2ドル50セントの価格で80エーカーまたはそれ以下の未占有の公有地に入植する権利を認められる。

 ただし、ある土地を所有し、またはそこに居住する者が、本法の規定によって同地に隣接するとを取得し占有している土地と合わせて160エーカーを超えてはならない。(中略)

第2条
 (前略)申請者は、この宣誓書を登記係官または会計係官に提出し、10ドルを支払うことによって、特定の土地へゆ入植が許可される。ただし、この登記の日から5か年を経過するまては、いかなる権利証書とその土地について発行されることはない。
 
第8項
 本法のいかなる規定も、本法第1項の適用を受けた人物が、法律により定められた他の事例と同様、入植した土地について、5か年の経過以前に先買権を付与する現行の法律の規定にしたがって定住と耕作の事実を証明し、最低価格またはその変更された価格を支払うことによって政府から公有地譲渡証書を取得することを妨げるものではない。」

 これにあるように、政府は、5年にわたる当該の土地への居住と開墾耕作を条件に、160エーカーまでの公有地の取得を認める。
 そうはいっても、第8項のただし書きには、「この登記の日から5か年を経過するまでは、いかなる権利証書とその土地について発行されることはない」とあり、5年を待たずに先買権への切り換えを認めているのは、投機をもくろむ業者たちがこの規定を拠り所に暗躍する可能性を秘めており、事実そのようになった事例も数々あったようだ。


(続く)

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