♦️389の1『自然と人間の歴史・世界篇』ケインズの有効需要論とインフレ率

2021-03-17 09:17:41 | Weblog
389の1『自然と人間の歴史・世界篇』ケインズの有効需要論とインフレ率

 ケインズは、有効需要という概念を考えて、それが足りない時になにが起きるか、それが度を越したときどうなるかを考えた。その後者の場合につき、こんなふうに述べている。

 「有効需要が、さらに増加してももはや産出高は増加せず、有効需要の増加と正比例に費用単位の増加をもたらすに過ぎない場合に、われわれは真のインフレーションの状態とほぼよい状態に達する。
 この点に至るまでは貨幣膨張の効果はまったく程度の問題であって、それ以前にはわれわれが割然たる一線を引いてインフレーションがはじまったと宣言することのできる点は存在しない、それ以前の貨幣数量の変化はすべて、それが有効需要を増加させるかぎり、一部分は費用単位を増加させ、一部分は産出高を増加させることによってその影響力を消失するに至るであろう。」(ジョン・メイナード・ケインズ著、塩野屋九十九訳「雇用・利子および貨幣の一般理論」第21章「価格の理論」)


(続く)


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○69『自然と人間の歴史・日本篇』東大寺二月堂の修二会(752)

2021-03-17 08:36:59 | Weblog
69『自然と人間の歴史・日本篇』東大寺二月堂の修二会(752)

 東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)の模様がテレビで写し出された。一般には、またとない、映像を通じての有意義な観賞だったのではないだろうか。
 この法会は、現在では3月1日より2週間にわたって行われているという、しかし「修二会」と呼ばれていることからもわかるように、もとは旧暦の2月1日から行われていたのだと。


 分かりやすいところから紹介すると、行中の3月12日深夜(13日の午前1時半頃)には、「お水取り」といって、「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式があったらしい。なんでも、若狭井(わかさい)という井戸から観音菩薩にお供えしたのだという。


 その馴れ初めは、いつのことだったのだろうか。これについては、はっきりしていて、752年(天平勝宝4年)、東大寺開山良弁僧正(ろうべんそうじょう)の高弟、実忠和尚(じっちゅうかしょう)が指導して創始されたのだという。以来、2012年までに1261回を数えたというから、単純計算ではほぼ毎年のことになろう。


 ところで、この修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」といって、ここに十一面悔過とは、われわれが日常に犯しているさまざまな過ちを、二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の宝前で、懺悔(さんげ)することを意味するというのだと説明される。

 それにしても、そのような懺悔の考えが仏教にあったのかと、いぶかしい気持ちにもなろう。だとすれば、それはどのような触れ込み、成り行きであったのだろうか、興味深い。


 いまその頃の社会を振り返れば、修二会が創始された古代では、仏教を取り入れての「鎮護国家」の類いなのだろうか。それは国家(朝廷)が、万民のためにということで行う宗教行事としてある。いわく、天災や疫病などを意識したもの。そうした災いを取り除いて、安寧な世の中を実現したい。公式には、鎮護国家、天下泰安、風雨順時、五穀豊穣、万民快楽などを願う行事とされたのだと。

 なにしろ、東大寺は、この島国においてはながい歴史を持ち、二度までもその大伽藍の大半が焼けたことこあるという、そんな中でも、修二会だけは「不退の行法」として続けられてきた訳なのだ。


(続く)

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