明光義塾金剛グループ スタッフブログリレー

明光義塾のスタッフが日替わり?で日記を書いていきます。
ルールもないので業務と逸脱することのほうが多くなります。

早くも10月末!

2014-10-25 15:50:16 | 富田林
早いもので10月も下旬。
富田林教室から下出がお送りいたします。
富田林教室は中3と高3を合わせ、受験生が80人近くいたわけですが・・・・そこからもう1年弱。
・・・・時が過ぎるのが早すぎて泣けてきますね。
『二階堂』のCMとかを見ていると号泣してしまいそうになりますよね(爆)



さて、お題は好きな歴史上の人物。
下出の後の担当の中津留さんが「それはオレ」とか書いてくれそうで期待しているのですが、流石に下出にそこまでの胆力はありません。
ちなみに下出は高校の時、世界史選択でした。受験も世界史です。
もちろん日本史も一通り習っていますが、やはり世界史の方が得意です。
が、相変わらず世界史は不人気なので(笑)、生徒の歴史選択は日本史を選ばせることが多いです。
学校の友達も日本史を選ぶことが多いはずなので、いざという時にノートを借りるなどできますからね。
ただ、中には世界史の方が面白いという子もいるわけで、その子には迷わず世界史を推します。
世界史を知っていると、今の世界の問題点の原因が見えます。
パレスチナ問題のほとんどの原因はイギリスじゃねぇか!とか、
欧州がヘタレてるからナチスが台頭したんじゃねぇか!とか・・・まぁ、色々とね。



と、脱線しました。
下出の好きな歴史上の人物は・・・この方。







※安定の土下座。




・・・・・間違えました。この方です。







お分かりになりますか?
これだけで分かる人は結構な人だとは思います。
紀貫之(きのつらゆき)です。
僕の先祖です。
ウソです。
すみません。
勢いに任せて書いてみました。
悪気はなかったんです。
日本史じゃねぇか、という突っ込みも仕舞っておいて下さい。




紀貫之という人は天才だと思っています。
中高でも必ず古典で履修するくらい有名な和歌をたくさん残していることもさることながら、専門的に読み解くと言葉遊びだらけ。
和歌というのは素直に読むだけではなく、そこに皮肉や駆け引きがこめられていたり、さらには似た言葉でつなぎ合わせる、ダブルミーニング(一つの言葉に二つの意味を持たす)を混ぜたりしていました。
特に紀貫之はその傾向が強く、古典が好きだという人は彼の歌で笑いが出るだろうと思います。



さて、では紀貫之がしかけた1000年以上にわたるミステリをご紹介。
有名な土佐日記(完全本が伝存する最古の日記文学)の出だしです。



「男もすなる日記といふものを、女もしてみんとてするなり。」
(男性がするという日記というものを、女性もしてみようと思ってしてみます。)




誰もが高校古典で必ず習う一説です。
が、この一文、それだけで結構な内容がちりばめられています。
そもそも何で女性にしたの?と。
作者は明らかに男性だし、中身を見ても男性じゃないとできないことがたくさん書かれています。
(そもそも土佐=高知にお仕事で出かけるなんて男性しかしません)
しかも、当時はまず日記をつけるのは貴族のみ。
そして、貴族でもほぼ男性に限られていました。帳簿や業務日誌をつけていたと思ってください。
この時点で「女性が」と言って始める意味がないんですよね。
しかもその後の文章では、女性視点では一切話が展開していない。
単純にひらがなで書いてみたかった、道中で娘をなくすので、その悲しみを書くには漢文では硬過ぎる(後述)、などなど言われていますがどうも判然としない。
紀貫之ほどの大作家が何でそんなことを・・・・・?



ここで一つ仮説があります。
男性が文章を書く時は漢文でした。
ひらがなは女性が書く文字であり、男性が書くことはまずありません。そこでカギになるのが、昔の文字の構成=濁点です。
昔の日本語は濁点を表記しません。
「だ」も「た」も同じ。読みながら判別します。
これは第二次大戦後まで続いた風習です。
そのため・・・・ちょっと捻るとこんな解釈も。



「おとこもずなる日記といふものを、女もじてみんとてするなり。」
「男文字なる日記といふものを、女文字(し)てみんとてするなり。」
(男文字=漢字でやる日記というものを、女文字=ひらがなでしてみようと思ってやります。)




見事に化けます(やや強引です)。
これなら確かに納得は行きます。
しかしながら、文法上に疑問は残ります。ちょい苦しい。


・・・・・ただし紀貫之のことです、ここまで想像した上で、僕らが言っていることを全て込めてしまったのではないか、と思っています。
きっと、文学者としてひらがなで書いてみたかったのだと思います。
娘の悲しみを書き表すのに漢文では物足りなかったのだと思います。
しかも叙述トリックで遊びたかったのだと思います。
それこそ1000年経った今も人々が頭を悩ます作品を作るために。
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画よりもはるか前に。
何という策略でしょうか(笑)。
凄いですよね。1000年経っても読まれて話題になる作品なんですから。
そう、1000年経ってもベストセラーなんです。




古典が苦手になる高校生は多いです。
というか、古典が得意だ!と豪語できる子は少ないです。
その中で紀貫之などが用いる「ことばあそび」をどれだけこちらも楽しめるか。
それが古典を読み解くカギです。
※最後だけ学習アドバイス。




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