銀の砂時計

Elegant~美しい旋律に調和する良質な風景・生活空間を求めて

映画「シベールの日曜日」

2014-02-09 17:00:01 | 映像空間
Amazonで注文していたDVDはすぐに届きました。実はブルーレイを購入したのは今回が初めてです。初ブルーレイが「シベールの日曜日」とは・・・ちょっぴり嬉しかったりします。

シベールの日曜日 ブルーレイ [Blu-ray]
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***
この映画は古い作品です。50年以上前の作品になりますが、いま観ても大きな感動を与えてくれる、わたしにとって大切な作品です。

モノクロの映像が美しく(BR-DVDでは少しデジタル臭くなっていますが)、どのように撮影したのか、撮影意図などを考えるのも楽しいです。日曜日、ピエールが修道院の学校を訪れたとき、ミラー越しの映像を使ったシーンには度肝を抜かれた思いがしました。風見鶏のある教会の屋根から俯瞰して撮影しているシーンでも、煙突から出ている煙に味わいがありますね。
#照明の当て方も考えさせられました

控えめで詩的な台詞、静寂の中で淡々とお話が進んでいきます。展開される世界は極めて純粋かつ透明で美しく、そしてこころの通い方に優しさが満ちていて温かいです。しかし同時にどことなく漂う哀しい香りがあり、作品に深みを与えています。

静かで美しい映像に二人の心象心理が描写されていて、観ていて引き込まれてしまいます。水面の波紋、凍りついた水面、霧、クリスマスツリーの小さな箱、そのすべてが台詞以上に多くのことを語りかけてきます。波紋(水の輪)が二人の家というところも好きですし、波紋を見ていると「物語」の始まりを告げる画面効果のユラユラにも感じられます。あの美しい公園(?)は今もあるのでしょうか。

カルロスの鳥かごも象徴的です。鳥かごという閉ざされた世界とピエールの心理、完成した鳥かごの中にいるピエールに向かって「北斎のようだ」という言葉を投げかけたりします。カルロスの部屋は窓ガラスが曇っていないのも気になりました。

他にも、回転木馬前のシーンでは「馬」と「鶏」が正面に来て止まったり、ゴーカートの車体には「13」の番号が振ってあったりします。「馬」と「鶏」は、シベールが気になっている白馬と風見鶏なのかもしれません。

音楽も素敵な使い方をしています。ピチカートで主題の旋律が繰り返されますが、適度な緊張感が漂い、作品に張りを与えています。中でもアルビノーニ「アダージョ」が流れるシーンは一番好きですね。純粋な二人の関係とその後の結末を暗示しているかのようで、なぜかウルウルきます。アダージョの旋律が壊れかけた二人のこころの共鳴音にも聞こえ、聴きなれた曲なのに楽曲に対する印象を大きく変えられてしまいました。


***
ほぼ20数年ぶりに「シベールの日曜日」を観ました。以前に観たときと同様に感動しまくりでしたが、より深く、より悲しく、感情を揺さぶられた気がします。「triste」なのです。美しいモノクロの映像がより感動を引き立てています。
#わたしはモノクロ写真が好きですしネ

台詞の細かい表現を気にしないのなら、日本語の字幕なんて必要ないかもしれません。「こころ」で感じる映画ではないでしょうか・・・それほど自然に入り込むことができた映画です。

シベールを演じたパトリシア・ゴッジはとても愛らしく、「少女」でありながら「女」でもあるという役柄をうまく演じていました。表情の豊かさが良いです。学校の前のベンチで独り座り、寂しそうな表情を浮かべている姿は強烈なインパクトを与えられ、わたしは忘れることができません。ツリーの小さな箱を取るよう促す視線、本当の名前を告げる表情、いずれも美しい世界を印象深く演じています。「シベール」という彼女の本当の名前は、彼女の失われたidentityであり、それを開示することの意味深さ・重さ、そして再び失われたときの深い悲しみ、久々に震えるほど感動しました。


***
わたしはこの作品が好きでたまりません。
これからも繰り返し繰り返し~観ると思います。



ずっとこのまま二人をそっとしていてあげたかった・・・

ふと、そう思いました。



***
おまけ
大好きな番組「Chiquititas」「Carinha de Anjo」は孤児院だったり寄宿学校だったり・・・これらは「シベールの日曜日」とは全く別種類の作品ですし、シベールほど悲しい展開ではないものの、どこか似たような風情を感じています。シベールに再会した後、これらブラジルの作品に接すると、シベールのことを思い出すかもしれませんね。


記憶の中の映画との再会

2014-02-03 10:00:01 | 映像空間
先日、WOWOWを観たら引き込まれるように観てしまった作品がありました。作品としては途中から観はじめることになってしまいましたが、ちょうど女の子(EVA)が出てくるところあたりでした。まず、わたしを惹きつけたのは
「あれ?スペイン映画かな?」
という気づきでした。どうしてもスペイン語を耳にしてしまうとドキドキしてしまうもので・・・それと映像の美しさにも魅力を感じ、強い関心を持ちながら最後まで観てしまいました。
#ヨーロッパの映画は好きなので、体が自然と反応します(笑)
#鬼太郎の妖怪アンテナ並みです(自讃)


この作品はスペイン映画で「EVA」という題名でした。初めて観る作品で、題名のEVA(エヴァ)は観始めたときに登場した女の子の名前でした。ストーリー的にはロボット系のお話で、基本的に興味のない分野のはずでした。しかし、この作品にある「何か」を感じてテレビを消すこともなく、見続けました。特に映画の終わり部分がとても気に入り、少し悲しくなりました。

ただ確かに面白い作品だったのですが、内心では本編から離れた場所に何か違う存在を漠然と思い浮かべてしまい、なんとも不思議な感覚に陥りました。その時は記憶の引き出しを当たっても思い出せず、つかみどころのない曖昧なイメージのかけらだけが残りました。

とりあえずは面白かったのでアマゾンでDVDを買おうと思い、早速パソコンで検索しました。

EVA [Blu-ray]
クリエーター情報なし
松竹



わたしはAmazonで買い物をするときカートに品物を入れる前に「この商品を買った人は、こんなものを買っています」的なリストを見ることにしています。お約束通り今回も見てみました。すると、わたし的にビックリの結果が出ていました。

そのリスト中の映画作品に、わたしの心を揺さぶった作品があったのです。それが
「シベールの日曜日」
です。

シベールの日曜日 ブルーレイ [Blu-ray]
クリエーター情報なし
角川書店



***
20年くらい前、深夜の映画枠で放送され、めちゃめちゃに感激した記憶があります。当時、VHSのテープに録画し大切に保管していました。数年後にカビが発生して、泣く泣く処分せざるを得ませんでした。それから年月が過ぎ、記憶の底に深く沈んだままになっていたのです。それが「EVA」を媒介して「シベールの日曜日」を思い出すこととなり、その時の感動が一気に甦ってきました。

もう一度シベールに会いたい・・・

いつしか購入するDVDが「EVA」から「シベールの日曜日」にとって代わられていました。これほど古い作品がDVD化されていたとは知らず、DVDの存在にも驚きました。


***
わたしが映画の魅力に初めてハマったのはビクトル・エリセ監督「ミツバチのささやき」(スペイン)です。その後はアンドレイ・タルコフスキー、小津安二郎作品などが好きになりました。その流れの中に「シベールの日曜日」があり、わたしにとって大切な作品なのです。DVDでシベールに再会できるなんて夢のようです。届いたら、次の休日にじっくり鑑賞予定です。

そうそう、映画「EVA」のエヴァが着ているコートは、どことなくシベールのコートみたいな感じがしませんか? 「EVA」を観て不思議な感覚を感じたのは、エヴァという女の子からシベールを感じとっていたのかもしれませんね。
#両作品のストーリーは無関係ですし、この感覚は個人的な感想にすぎません。


鑑賞したらこのブログで取り上げる予定です。



久々に良い映画を観ました!

2013-06-06 12:00:01 | 映像空間
昨日昼時にWOWOWを観たら、何やら暗い画面が広がっていました・・・
「なに???」
そう、この暗さは私の好きなヨーロッパトーンの美しい暗さでした。

久々です、この感覚。
心のアンテナが大きく反応してやみません。

全般に静寂が支配した画面に静かな音楽が流れ、そのまま引き込まれるように画面をみつめ、最後まで観てしまいました。


***
その映画は「孤島の王」という映画です。どうやら実際にあった話が元のようで、冷たく静かで美しい雪の景色とは裏腹に、ストーリーは哀しさに満たされた展開が続きます。

クジラと船員の物語・・・

姉の手紙だったことを告白する瞬間・・・

こころに重く響き渡る感動。

また一つ、記憶にとどめておきたい映画に出会いました。
ありがとう。。。

【WOWOW】今すぐ加入で見放題



横浜夜景

2013-01-24 10:01:22 | 映像空間



カメラがD90からD600に変更になりました。

そのD600を持って横浜に行きました。
さっそく横浜の夜景を撮影してみることに。

絵になる場所なので、とりあえずありのままに・・・

いやあ、寒かったです。



NHKラジオ「ポルトガル語入門」

2012-10-19 10:00:01 | 映像空間
「CARROSSEL」にハマったついでに、NHKラジオ「ポルトガル語入門」を聴くことにしました。テキスト・CD両方を入手済みで、CDは一通り聴きました。

テキストの構成はブラジル旅行に役立ちそうな内容になっていますが、「CARROSSEL」の中の単語が分かるようになったのは自分ながら驚きました。頻繁に出てくる
「Bom dia.」
や、
「um dois ・・・」
数字を数えるシーンなど、番組を楽しみながら聞き取った単語を確認できるのが面白いですね。

「あ!!コレわかる!!!」
この瞬間がたまりません。


第24話では、Maria Joaquina が父親に
「por favor」
と繰り返して言うシーンがあって、1回目に観たときはサラッと観ましたが、改めて見直すと、結構ジーン(涙)とくるシーンなのですね。Maria Joaquina の涙、親の思い・・・観ていて、いろいろな思いがよぎりました。同時に
「por favor」
という単純な言葉が、生き生きとした輝きを持ったものに感じられました。

言葉は「生きている」存在なのかもしれません。



大好き「ウサビッチ」

2010-03-30 00:06:18 | 映像空間
毎回のように鋭くわたしの好みを突いてくるアマゾンの「おすすめ商品」ページ。

どのようなプログラムになっているのかよく分かりませんが、アマゾンに仕掛けられたプログラムがはじき出す結果=「おすすめ商品」は、わたし的ストライクゾーンのど真ん中をグサリ射抜いてきます。


***
さて、今回のおすすめ商品で注目したのは、
USAVICH Season3 / ウサビッチ シーズン3 [DVD]

ポニーキャニオン

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です。

このアニメは観たことがありません。でも、絵が気に入ったので調べてみることにしました。すぐに本家のサイト「MTV JAPAN」に行き着き、作品を見ることが出来るのを知り、さっそく・・・

笑笑笑!!

これはイイです。
面白い。
第一話からもう爆笑です!!!

プーチンの動きがかわいいし、キレネンコのキレまくりも最高に面白い。結局、提供されている動画は全て観てしまいました。腰をフリフリするプーチンのBGMが、頭の中でグルグルとエンドレスで流れています。
#アチャー

台詞がない明快なストーリーは、子供でも楽しめるでしょうね。というか、意外と外人にもウケるような予感がします。

あぁ~
そういえば、知り合いの娘さんがぬいぐるみのようなものを持っていたような。ガラの悪いウサギかと思っていましたが、あれはキレネンコだったのね。
(爆)

DVDを購入して、大きな画面で心ゆくまで笑うのがオススメですね。
#アマゾンの「おすすめ商品」はスゴい!



久々にレーザーディスクを

2009-09-13 00:02:46 | 映像空間
それほど多くのライブラリを所有している訳ではないのですが、未だにレーザーディスクを所有しています。一部のアニメ作品はボックスごと処分してしまっています。反面、捨てられない作品もあります。アンドレイ・タルコフスキー監督の映画作品は捨てられそうにありません。特に好きな
「ストーカー」
は手元に置いてあります。

今日は久々に「ストーカー」でも観てみようと思い、しばらく起動させていなかったレーザーディスク・プレーヤーの電源を投入しました。

電源ON!
<ガチャガチャ~>

「???」

<クィーーン>

「???」

いままで聞いたことのない音がするではありませんかぁ。
異変に気づいた途端、勝手にディスクトレイが排出されました。

「エ?」

おかしいです。
何も入っていないのに勝手にトレイが出てきましたよ?

試しにトレイボタンを押してみると・・・
<クィーーン>
<ガシャガシャ>

少しトレイを飲み込んだところで、すぐに排出されてしまいます。
そうです。
トレイが排出されたまま、閉まらなくなってしまったのです!!


***
いやあ、困りました。

だって、レーザーディスクのアノ大きさのトレイが飛び出したままでは邪魔で仕方ないです。何度もトレイボタンを押しても状況は改善しません。オーディオシステムから飛び出した大きなトレイに、改めてレーザーディスクの大きさを実感しましたね。

20分ほど、出し入れの動作を繰り返しましたが、やはりダメ。

こうなったら強制的に押し込んでやるぅ!
電源プラグを抜いて、強制電源断。

ディスクトレイに手をかけ、前後に揺すっても入る気配すらないので、破壊を覚悟して強く押し込んでみました。

カチャン!!
閉まりましたけど・・・
--->カチャリン(内部で何がしかの固形物が落ちたような音)

「やってもうた(T.T)」
(合掌)

<!注!>同様の無謀な取り扱いは、絶対におやめください。真似はなさらないようにお願いします。


***
トレイは収納されたものの嫌な音がしたので、ついに壊してしまったと確信しました。「あの部品が落ちたような&部品が欠けたような音」は、さすがにあかんでしょう。でも、いちおう電源を入れてみようかな。

電源ON!

アレレ?
正常に起動しましたね。
「???」

トレイの動作も問題なく出し入れができるようになりました。変な音がしたわりには、トレイの動作もズムーズで問題ないみたい。
「よかったぁ~生きていた!!!」
「あんたえらいよーヨシヨシ」

再生機能は生きているのかな?
力任せに無理矢理押し込んだし、ピックアップ部に影響が及んでいるかもしれません。さすがにレーザーディスクを入れる気にはなれず、音楽CDを車で使用するためにコピーしたあったCD-Rを入れて、音楽再生。

CD-Rでの再生には問題はみられないようです。各種機能も正常に動作しています。どうやらCD再生では問題がないと思われます。一応、このまましばらくCDで慣らし再生を繰り返して、別の日にレーザーディスクを再生してみることにしました。

映画を観るはずが、音楽鑑賞の日曜日になってしまいました。


<注>
本文中の無謀な取り扱いは絶対におやめください。わたしの場合は運が良かっただけと思われます。




ビクトリ・エリセ監督のDVD-BOX

2008-12-30 00:00:01 | 映像空間
今月初めに注文していたビクトル・エリセ監督作品のDVD-BOXを開封しました。本当はクリスマスに到着していたのですがねえ・・・なかなか観賞する時間も無くて、少し遅れての開封です。




とくに「ミツバチのささやき」に至っては、映画館へ通いつめ、5回も観た作品。LD版は所有(8ミリビデオ版はレンタルで観賞のみ)、DVD版は初めての購入です。わたしにとって特別な存在の映画なので、観てしまった後は、しばらく頭の中が
ボ~~ッ
となってしまうと思いますので、感想などは年明けになってしまうと思います。同時に液晶モニターのレポートも順送りで年明けになってしまうでしょう。

しばし、あの村へ旅をさせてくださいませ・・・
<(_ _)>



ビクトル・エリセ DVD-BOX

紀伊國屋書店

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ビクトル・エリセ監督作品

2008-12-03 23:28:08 | 映像空間
久しく眠っていた映画熱が、永い眠りから目覚めてしまったようで。。。
(^.^;)

自分でもココまで熱意が再燃し始めてしまうとは思いませんでした。暇があればWOWOWの番組表をチェックし、何かよい作品はないものかと、ワクワクしながら探しまくっている今日この頃なのです。

本当なら映画館へ行くべきなのでしょうが、最新作でないのならWOWOWで視聴したほうが効率的に思えます。なにしろ、大きな映画館までは片道数時間かかりますので。それに、ヨーロッパ・トーンの映画がドップリ大好きなわたしにとって、満足できる作品は滅多に無いのですねえ。ならば、数は少ないけどWOWOWでピンポイントで視聴しようかなっと、なるわけです。

とりあえず、いまは
「映画を観たい!!」
というモードが全開になりつつありますね。


***
この状況下で「激震」ともいえるくらいの情報を見つけました。久しく廃盤になっていたビクトル・エリセ監督の作品が、DVD-BOXになってリリースされるとのこと!!!

ビクトル・エリセ DVD-BOX

紀伊國屋書店

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「こりゃ、てぇへんだぁ~」
と、叫びたくなるくらいの事態ですよ。
(☆_★)

エリセ・ファンは
涙涙涙~
の嬉しさでしょう。
(T.T)

ビクトル・エリセ監督とは、2008年12月1日掲載記事でも取り上げた「ミツバチのささやき」の監督です。その監督作品が「ビクトル・エリセ DVD-BOX」となって発売されるとのことなのです。

LD版の「ミツバチのささやき」「エル・スール」は持っているのですが、DVD版はいつのまにか市場から消えてしまい、入手できずにいました。そのDVDが再び流通するというのですから、これは買うしかないです。

も・ち・ろ・ん
予約してしまいました☆彡


***
なぜ、ここまでエリセ監督の作品が好きなのかというと、その詩情性豊かな表現手法が素晴らしいから・・・エリセ監督の作品に出会わなかったら、映画の魅力に気がつかなかったかもしれませんね。

そうそう、そういえば、「ミツバチのささやき」の音楽も印象的でした。父親が出勤(?)するシーンの音楽(アナ、イザベルがベッドの上で飛び跳ねて遊ぶシーンの前だったかな?)が好きで、友人に頼んでメロディーを楽譜にしてもらい、その楽譜からムーバにポチポチ打ち込んで着信音にしていましたね。
(^^)

今年の年末は、ビクトル・エリセ監督の作品に酔いしれて終わりそうな予感・・・



映画「ボーン・アルティメイタム」

2008-12-02 00:12:16 | 映像空間
WOWOWで出会った面白い映画。マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンのシリーズ3作目。

いきなり作品の始まりから逃亡シーンで始まるのですが、このシリーズではお馴染のシーンといえるもの。
「ボーン、また逃げてるの?」
と聞きたくなるくらい、逃げて逃げて、逃げまくります。

追って追われての展開は、いつもながらハラハラドキドキさせられますね。最後の最後まで緊迫した展開の連続なので、観ていて飽きません。おそらく製作者側が妥協を許さず、徹底的にこだわりを持って映画を作っているのでしょう。その熱意を感じます。

その熱意は短いシーンにもみることが出来て、狙撃シーンでのスナイパーの動作、車やバイクのアクションなどにも反映されているのが良く分かります。映像的な完成度は高いように思います。

さらに、2作目の「アノ部分」が3作目の中で矛盾を生じさせずにうまく組み込まれているのは、「なるほど」と思いました。この部分は高く評価したいです。
(^^)


う~ん、ただですね~
3作目を観て感じるのは、やはりCIAや記憶の戻り方の描き方が物足りないです。スピード感、素晴らしいアクションでは存分に楽しめるのですが、ストーリーに厚みを持たせることができなかったところが残念。もう少し、掘り下げて欲しかったです。

しかし、シリーズ全体としてはとても面白い作品に仕上がっていますので、オススメの映画です。
(^-^)v

ボーン・アイデンティティー スペシャル・エディション

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感動の映画「パンズ・ラビリンス」-2

2008-12-01 11:46:48 | 映像空間
「パンズ・ラビリンス」について、追加で語らせてください。

<<<以下、ネタバレご注意>>>


「パンズ・ラビリンス」は内戦後のスペインという設定になっています。同じような時代設定というと、ビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」がすぐに思いつきます。

「ミツバチのささやき」は、アナという少女を主役に、静寂の空間、繊細かつ美しい映像で綴る叙情詩のような作品。幻想的とも言えるくらい美しい映像の裏には、美しさと同じくらい大きな闇があることを暗示的に示し、ドーンと奈落の底に落とされてしまうような感覚を覚えます。

アナと姉(イザベル)の会話は可愛らしくも謎めき、アナの一瞬の表情に深い意味合いを持たせたり、小学校(?)の授業シーンで朗読している詩は子供向けというには重たい内容すぎるなど、一つ一つが多くの意味を包含しています。この深い内容の織り込み方が素晴らしい作品ともいえ、とても好きな作品ですね。

そして「パンズ・ラビリンス」を観ていると、「ミツバチのささやき」が頭の中に浮かんでしまって、両者の接点を自然と探してしまっていました・・・


***
あえて接点を見つけたというのではないのですが、どうしても気になってしまうポイントがいくつもあるのが「パンズ・ラビリンス」でもあります。

○冒頭部分
車・・・主人公のもとに来るのか、あるいは主人公自身が来るのか。

○絵本・映画
絵本を読むオフェリア。映画の中で映画を観るアナ。

○父・母
ヴィダル大尉は義父になるのだけど、両作品とも父・母の関係には冷たい風を感じてしまう。

○懐中時計
大きな意味合いを持っていますね。カチカチと時計の音を強調するか、オルゴールの音を強調するかで、持ち味もかなり違ってみえます。一方の作品ではガラスが割れているし。オルゴールの音に反応するアナの表情は、特に素晴らしい。

○ヒゲそり
アナとイザベルのいたずらは可愛かったのですが、ヴィダル大尉の場合は恐ろしい空気がある。

○コーヒー
メルセデスにコーヒーが煮詰まって不味いと文句をいう大尉。「ミツバチのささやき」では父親のカップが煮詰まって吹きこぼれていました。

○妖精・精霊
その存在について、少女側から大人の女性へ問いかける。

○血
「パンズ・ラビリンス」では、場面ごとに多用されています。「ミツバチのささやき」は、イザベルのシーンで出てきますね。本質的な怖さを誘発するものとしては、イザベルのシーンのほうがスゴイと思います。子供ならやりかねないことだけど、背景にある意味合いを考えると怖いです。「パンズ・ラビリンス」の積み上がった靴なみに、怖い。

○音
寝室で聞く、響くような音。「パンズ・ラビリンス」でも足音には配慮しているように思えました。


簡単にまとめても、これだけありますね。


***
似たような時代設定ではありますが、2つの作品は全く別の作品です。しかし、全く異なる2つの作品は、作品同士が遠い場所でお互いに会話をしているように思えるのです。そこがまた面白いところでもあり、「パンズ・ラビリンス」という作品を奥深いものにしているように感じられます。

「遠くて近い」存在のようにお互いの作品が語り合い、そして観ている人に静かに語りかけてくる・・・

想いの幅を広げ、違った側面からみてみると、より深く「パンズ・ラビリンス」の世界を味わえるでしょう。


パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント

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感動の映画「パンズ・ラビリンス」

2008-11-30 22:31:08 | 映像空間
今日は11月27日にWOWOWで放送された映画を観ました。
#録画していたものです

しばらく映画そのものから離れていたこともあって、この作品は全く知りませんでした。作品を知ったのは、WOWOWの番組表に出ていた写真(主役の少女オフェリアが迷宮の中で振り向くシーン)を観たことがきっかけでした。題名も内容も知らない、その作品の「その一コマ」の写真で、全てを察したような感覚を覚え、久しぶりに1枚の写真から身震いするような衝動を感じました。
「これは観なくては!」


***
「パンズ・ラビリンス」は、映画の始まりからして哀しい。
(T.T)

特にこの始まりのシーンは、2度目に観ると胸が熱くなるのではないでしょうか。2度目以降は冒頭部分だけで作品のいろいろなシーンが走馬灯のごとく回想され、この作品の持つ「重さ」が一気に襲ってきます。そしてその時、より深く作品に触れることが出来ると思います。ぜひ、1度観たら、少し時間を空けて翌日にでも観てみることをお勧めします。
#わたしは昼・夜と2回観てしまいました

さてさて、本編は主役の少女「オフェリア」の織りなすおとぎ話が、作品の主軸になっています。ただ、オフェリアの眼を通して描かれる現実の世界は凄惨かつ、あまりに切なく哀しすぎます。

オフェリアの前で展開される悲しい現実。死、孤独・・・多くの試練に向き合うオフェリアを観ていると、この作品を観ている観客でさえも、おとぎ話の中に展開される「安らぎ」が唯一の救いに思えてしまうほどです。それくらいに観る人を引き込み、強く訴えかけてくる力がある作品といえます。

スペインの内戦に関しては、ドキュメンタリー番組をみたことがあります。とても悲惨なものだったようです。その番組の悲劇的な記憶が強く残っているせいか、「パンズ・ラビリンス」から受ける衝撃はとても大きなものでした。シーンの一部は「PG-12」指定を受けるほどの、目を背けたくなるようなシーンとなっていますが、製作者側として現実を明確に表現したかったのかもしれません。


***
オフェリアが体験するおとぎ話の不思議な世界には、怖そうな怪物(?)たちが出てきます。エヴァンゲリオンに出てきそうな白い怪物も出てきたり、一瞬ドキッとしてしまうところもあります。食卓の天井を飾る恐ろしい絵、積み上げられた靴・・・おとぎ話仕立てになっている空間なのですが、どれも「現実」を想起させる繋がりがあって、とても恐ろしい。特に靴は生々しくて鳥肌が立ちました。本当に怖いシーンです。

作品中、たまらなく好きなのは、母親のお腹の中にいる弟にオフェリアがおとぎ話を聞かせるシーン。このときのスペイン語の響きが味わいがあって好きです。映画冒頭でもスペイン語での「語り」の部分がありますが、この種のシーンではスペイン語がもつ響きの美しさが引き立ちます。

音楽も美しく、なかなか良い仕上がりです。物悲しい子守歌は一度聴いたら忘れられないです。オフェリアが地下の入り口へ降りていくシーンで流れる音楽は、芥川也寸志の映画音楽的な哀愁のようなものが何となく漂っていて、いいですね。


***
映画の終わりに出てくる王宮のシーンは、華麗で美しく作られています。デザイン的にも面白い作りです。しかしその美しさゆえに、現実の世界での悲劇がピンポイントでクローズアップされることとなります。

オフェリアの表情・・・
そして観る人へ重くのしかかるもの・・・
最後に迫り来るもの・・・

作品が語りかけてくる何かを「現実」の世界で深く考えさせられる、素晴らしい作品です。
パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント

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WOWOWで映画三昧

2008-11-18 00:25:16 | 映像空間
NHK-BSでの「名曲探偵アマデウス」だけでなく、WOWOWでも映画を観ることが大幅に増えました。しばらく観ていなかったBS系番組に、いまハマっています。

WOWOWの映画で面白かったのは
「ボーン・アイデンティティー」
「ボーン・スプレマシー」
のシリーズ。CIAや工作員としての描き方が少し物足りないですが、追って追われてのスピード感あふれるアクションは存分に楽しめます。最近流行りの特殊効果で圧倒するのではなく、「追跡」「過去を明らかにする」というストーリー展開により、作品が緊迫した空間に仕上がっているところも好感が持てます。本当に観ていても飽きないですねぇ。

11/29にはシリーズ3作目が放送されるので、今から楽しみです。


ボーン・アイデンティティー スペシャル・エディション

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NHK教育テレビ「しばわんこの和のこころ」

2006-11-03 13:28:44 | 映像空間
深夜、何気なくテレビをつけました。最近の深夜番組は充実しているとは思うのですが、今年は「コレは!」といえるような番組に出会えていません。とりあえず各局へチャンネルを変えてみる・・・

と、そのとき久々にに「スゴイ」と直感しました。
この作品はオススメです。
(^_^)


***
犬とネコがメインで登場するプチ・アニメで、日本文化の「和」を上品に語る、シンプルだけどとても素敵な作品です。柔らかいタッチの絵本のような優しさにあふれた絵が、観る人の心をホンワカさせてくれるところもいいですね。

落ち着いた作風をより味わい深くさせているのが、野際陽子さんのナレーション。作品にマッチした語り口が絶妙です!!

全体としては「ゆる~い」空気が流れていて、古き良き日本の暮らしを背景にした犬とネコのスローな暮らしぶりが、疲れた現代人の心を癒してくるかのよう。もう、私など観ているだけでも心地よくなります。

「ゆる~い」などというと「ゆるかわ」などと言われそうですが、犬は「さたけ」(苺ましまろ)のように可愛く描かれていて、まさに「ゆるかわ」です、ハイ。それに「しばわんこ」って、けっこうお茶目だったりしまして、もうお気に入り決定!

初めて、しばわんこを観た時、
「あっ!さたけ!!」
と声に出してしまったのはヒミツです。
(^^;


***
さて、この作品の題名は
「しばわんこの和のこころ」
というものでした。

早速、ネットで調べると、本が出版されていました!!!
本のほうも「さたけ」みたいな「しばわんこ」がカワイイです。
(*^^*)

ああ、ネコさんもコミカルでカワイイです。
「雷様」でワクワクしちゃって踊っているネコさんは最高です。
o(^-^)o


・絵本ナビ







・楽天市場
「しばわんこの和のこころ」~「楽天市場」検索結果




・アマゾン

しばわんこの和のこころ

白泉社

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しばわんこの和のこころ〈2〉四季の喜び

白泉社

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しばわんこの今日は佳き日

白泉社

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しばわんこの和のこころ〈3〉日々の愉しみ

白泉社

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「苺ましまろ」DRAMA CD Volume 5

2006-08-20 18:48:29 | 映像空間
今週末、いよいよ発売されますね~♪

ドラマCDのシリーズとしてはいちおう終了のようですが、この何とも言えない面白い空気が詰まった作品は、今後も続けて製作して欲しいです。コミックから派生しつつも、会話の「間」で笑いをとれる、今となっては貴重な作品だと思うのです。

今週末が楽しみ~♪♪♪
届き次第、感想を掲載する予定です。



苺ましまろ DRAMA CD Volume 5
ドラマ
フロンティアワークス

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