ミルキーが昼間やってきた。
「ピアノ弾こうっと♪」
生ピアノを買い維持する余裕も置く場所もない我が家では、デジタルピアノがせいぜいだったけれど、文句も言わずに弾く。
ピアノを習うと頭が良くなると信じていたわたしは小さな頃から教室に通わせていたが、ミルキー自身がピアノを弾く事が好きだったようで大学で研究室に入るまで続けていた。
長く習っていたけれど、親の贔屓目で見ても聞いても上手ではない。
この日はパッヘルベルのカノンをつっかえ、つっかえ弾いていた。
ミルキー:「お母さん、この曲好き?」
わたし:「好きだよ」
ミルキー:「じゃあ、お母さんのお葬式の時にミルキーが弾いてあげるよ」
わたし:「喪主、誰がやってくれるの」
ミルキー:「ミルキーだよ」
??どうやらその時マイケルはわたしより先に死ぬか、喪主をつとめられないほど老いているらしい。
子供の弾くピアノ演奏で送られるのも悪くない。小さいお葬式がいいな。で、カノンもいいけれど、もっと曲調の明るい曲がいいな。Tea for twoをリクエストする。
願わくばピンピンコロリ、ピンコロで逝きたい。
