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小磯良平画伯 【My Favorite Artist Vol.6】

2013-10-20 | 絵画

神戸市出身の小磯良平画伯(1903-1988)は、日本の近代洋画界を代表する画家

としてあまりにも有名。肖像画、特に群像を多く手がけたことで知られています。

以前に小磯良平画伯の絵画『斉唱』などの実物を観覧した時の感動が忘れられず、

小磯良平画伯の事を調べ記録しておくために日記にしました。

 

【小磯良平画伯の経歴】

明治36年7月25日、神戸市に生まれる。

当時の神戸は、外国貿易の窓口となっていた旧外国人居留地を中心に発展しており、

小磯は洋館が立ち並ぶ街で自然に「西洋的な空気」を吸って幼年期を送りました。                               

クリスチャンの家庭で育ち、鉛筆と紙を与えておけば黙々と絵を描いて飽きることが                              

なかったと言われています。

 

兵庫県立第二神戸中学校(現 兵庫高校)に進学し、生涯の親友となった竹中郁と出会                           

います。のちに神戸を代表するモダニスト詩人となる竹中の影響もあり小磯の心の眼は                          

ヨーロッパに向けて開かれました。大正10年、倉敷へ一緒に出かけ大原コレクションを

公開した「現代フランス名画家作品展覧会」に感動を覚え、画家への志しを強めます。

 

大正11年、東京美術学校(現東京芸術大学)の西洋画科に入学し、大正14年の                        

第6回帝国美術院美術展覧会(帝展)に出品した『兄妹』で初入選を果たし、翌年には                            

『T嬢の像』が特選に輝きます。当時、美術学校では出品を禁じていましたが23歳の画学生                      

が描いたとは思えない完成度の高さを誇るこの作品で画壇に鮮烈なデビューを果たしたのです。

 

                               『T嬢の像』 

                      

 

昭和2年、規定課題の『自画像』と竹中郁をモデルにした『彼の休息』の2作品で98点という最高

得点をとり首席で卒業。

 

                                『自画像』

         

 

                                『彼の休息』

              

 

卒業の翌年、小磯は念願であったフランス留学に出発し、一足先に到着していた竹中と                    

ともに2年間ヨーロッパを遊学します。絵画技法の習得よりも、各地の美術館をめぐり、アングル、                

コロー、クールベ、マネ、ドガなどの巨匠達の作品を鑑賞することに熱心でした。

ルーブル美術館のパオロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』に衝撃を受け、群像表現を極めることを        

生涯のテーマと決めたのもこの頃だと言われています。

留学中には劇場で踊り子たちの舞う姿を楽しみ、クラシックの音楽に耳を傾けたようです。

 

                     パオロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』

 

昭和13年から1年間、陸軍省嘱託の身分で従軍画家として中国に渡り、帰国後戦争画を製作。         

昭和16年に群像画の傑作『娘子関を征く』と『斉唱』を相次いで発表。小磯は群像を書くため           

精力的に戦争画に取り組んだが、戦後は画集に収録しなかった。戦意高揚のために戦争画を          

書いてしまったことに心が痛むと晩年に語っています。

 

                              『娘子関を征く』

             

 

                                  『斉唱』                   

                            

 

戦後も精力的に絵筆を振るい始めます。優れた素描力を十分に生かしながら、「欧州絵画の           

古典的な技法を日本の洋画に根付かせる」ための研究を根気強く続け、独自の画境を開く            

ことになります。東京芸術大学教授などを務めて後進の指導にあたり、定年退官後も迎賓館           

大広間の壁画『絵画』『音楽』を制作するなど長きにわたり日本の洋画界に大きく貢献しました。

平成4年に創設された「小磯良平大賞展」は国内最高賞金の公募展として知られています。

 

     平成4年11月に神戸市立小磯記念美術館が、緑豊かな六甲アイランド公園内に開館されました。

    

 

小磯良平画伯は親しみやすい女性像を中心としながら、西洋絵画の伝統の中に、市民的でモダンな         

感覚と気品あふれる画風を完成した画家でした。

 

※小磯良平画伯の作品を鑑賞できる動画を作成しました。

 



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