インフルエンザワクチン以外に最近よく話題となるワクチンが、肺炎球菌ワクチンです。肺炎球菌は、肺炎のみならず、慢性気道感染症、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症、髄膜炎などの起炎菌として知られています。日本人の死亡原因の第4位が肺炎ですが、肺炎のなかで一番頻度が高く、しかも重症になることが多いのがこの肺炎球菌によるものです。そこで開発されたのが23価肺炎球菌ワクチンです。
肺炎球菌はさらに細かい型に分類されていますが、そのうちの23種類に対応できるように作製されています(これは日本に分布する肺炎球菌の約80%をカバーします)。接種対象者は、2歳以上で、脾臓摘出者(脾機能不全者)、心臓・肺の慢性疾患、腎不全、肝機能障害、糖尿病などの基礎疾患のある患者、65歳以上の高齢者、免疫抑制剤による治療が予定されている患者です。
このワクチンを接種することにより、健康な人では少なくとも5年間は抗体レベルが上昇した状態が続くといわれています。しかしながら高齢者や免疫機能の低下した人では、抗体レベルの低下が早いことも知られており、初回接種から5年以上経過し、肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険性が極めて高い人は再接種者の対象とされています。
またこのワクチンは不活化ワクチンですから、インフルエンザワクチンを接種した場合でも、6日間以上間隔をおけば接種できます(同時に左右上肢に分けて接種することも可能です)。
このワクチンを接種すれば絶対に肺炎にならない訳ではありませんが、健康管理の一つとしては有効な手段だと思います。ちなみに米国では、65歳以上の高齢者の接種率は70%と言われていますが、日本では公費助成が一般化していないこともあり接種率は低いのが現状です。