よしだハートクリニック ブログ

 院長が伝えたい身近な健康のはなし

人生の終いかた ~ACP(アドバンス・ケア・ プランニング)のすすめ~

2018-11-01 10:28:02 | 健康・病気
今回は、すべての人にいつかは訪れる“最期=死”について考えてみます。
皆様も、「ピンピンコロリと逝きたい」、「家族に見守られて眠るように逝きたい」など漠然とした希望があることと思います。

さて、一般的に死への過程を分類すると、病気で亡くなる『病死』、不慮の事故による『事故死』、あるいは大往生とよばれる『老衰』が代表的です。
一方、”終活”、”エンディングノート”など高齢化社会を迎えたなかで世間でも終末期への関心が高まっています。その一つとして、加齢により徐々に食事量が減り、寝ていることが多くなる生命の終焉では、胃ろうなどの延命治療をせず自然にまかせる『平穏死』という考え方もあります。

最近注目されている終末期医療に、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)があります。これは、将来の意思決定能力の低下に備えて(実際、終末期の7割の方がこの状態になります)、治療方針や療養について、気がかりな点、自分が大切にしてきた価値観を、患者・家族と医療者が共有し、今後のケアを計画する包括的プロセスを指します。
死に方を自分で選択することはできませんが、ACPによりその時の状況に応じて自分の希望に沿ったケアを受けることができます。当クリニックに通院してくださる患者さんの中にも、「私は絶対延命治療は受けたくありません」と意思表示されている方もおられます。皆様も、法事などの際にご家族の方と“人生の終いかた”について話し合われるのもよいと思います。

最後に、人生の最期を考える前に重要なことをお伝えします。
「最期は、家族に迷惑をかけたくない」と悩んでいる母に、「あなたは、生きている限り迷惑だ」といった僧侶の息子さんがおられます。その心は、多くの人の支えがあって初めて生きていることを忘れているというものです。
生かしていただいていることに感謝し、今この瞬間を大切にしたいですね。

    
参考文献:石飛幸三 「『平穏死』という選択」
   厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」



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