「アマンダと僕」
原題 AMANDA
2018年 フランス
【Amazon Prime Video】
突然の悲劇で肉親を失った青年と少女の絆を描くヒューマンドラマ
パリに暮らす24歳の青年ダヴィッド(バンサン・ラコスト)は、恋人レナ(ステイシー・マーティン)と穏やかで幸せな日々を送っていましたが、ある日突然襲った悲劇で姉のサンドリーヌ(オフェリア・コルブ)を失います
サンドリーヌには7歳の娘アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)がおり、一人残されたアマンダの面倒をダヴィッドがみることになります
サンドリーヌとダヴィッドの母親=アマンダの祖母は2人が幼い頃家を出てイギリスで暮らしており頼りになりません
姉を失くした悲しみに加え、7歳の少女の親代わりという重荷を背負ったダヴィッド
一方、アマンダもまだ母親の死を受け入れることができずにいました
それぞれ深い悲しみを抱える2人でしたが、共に寄り添い暮らしていくうち次第に絆が生れていきます
生活が少し落ち着いた頃、サンドリーヌと3人で行くはずだったイギリス・ウィンブルドン
テニスの試合観戦中に突然泣き出すアマンダにダヴィッドは優しく寄り添います
試合中に何故涙かと思ったのですが、突然死という形で愛する人を失う悲しみの深さには測り知れないものがあって、何がきっかけで涙が流れるのかはわからないのかもしれません
その場に同じ悲しみを共有する叔父=ダヴィッドがいてくれたことがアマンダにとって大きな救いになりました
ダヴィッドにとってもアマンダの存在は同じ価値のあるものだったと思います
アマンダ役のイゾールちゃん
特別可愛いわけではないところが親近感を持たせるのか、はじめのうちはそうでもなかったのが、彼女が泣いたり怒ったりするのがリアルで徐々に愛おしくなっていきました
サンドリーヌがダヴィッドに話した『エルビスは建物を出た』が効いてくるラストも良かったです
地味ながら心に沁みる良作でした
「顔たち、ところどころ」
原題 VISAGES VILLAGES
2017年 フランス
【Amazon Prime Video】
フランス映画界の巨匠アニエス・ヴァルダと若手アーティストのJRが共同監督を務めたロードムービースタイルのドキュメンタリー
親子ほども年の離れた2人がフランスの田舎をトラックで巡りながら市井の人々と接し、作品を共に作り残していく旅の様子を記録したものです
そこに残される人の生き様や土地の記憶
斬新です
才能あふれる人の制作過程は観ていてゾクゾクするほどでした
2人の作品のモデルになる人々が実に自然体で皆笑顔が素敵です
2人の持つ力が対象から魅力を引き出すのでしょうか
人前では決してサングラスを外さないJRが、年齢からくる老いに気落ちするアニエスを励まそうと素顔を見せたのにはグッときました
「人生は小説よりも奇なり」
原題 LOVE IS STRANGE
2014年 アメリカ
【Amazon Prime Video】
念願の同性婚を果たしたカップルの悲喜交交を描いたドラマ
39年間連れ添ってきた同性カップル、ニューヨーク、マンハッタンに暮らす画家のベン(ジョン・リスゴー)と音楽教師のジョージ(アルフレッド・モリーナ)
2011年、ニューヨーク州で同性婚が可能になったことで念願叶って入籍した2人ですが、まだまだ周囲の差別や偏見は根強く、ジョージは仕事をクビになってしまいます
さらに、保険、年金、不動産など次々と問題が押し寄せ、長年暮らしていたアパートを出て、それぞれの親戚の家に居候することになり、新婚早々に別居を強いられたうえ新しい環境に馴染めず辛い日々を送らざるを得なくなります
愛する人と同じ屋根の下で暮らせない姿に切なくなりましたが、問題を抱えているらしきベンの姪の息子・ジョーイ(チャリー・ターハン)と2人の心の交流が救いでした
「ザ・ゴールドフィンチ」
原題 THE GOLDFINCH
2019年 アメリカ
【Netflix】
13歳の少年テオはメトロポリタン美術館で爆破テロに遭い母を失くしてしまいます
天涯孤独になった彼は裕福な同級生の家に身を寄せますが新しい生活に慣れ始めた矢先、行方をくらましていたアルコール依存症の父親が迎えにきます
その後も運命に翻弄されながら波乱に満ちた人生を歩むテオでしたが、そんな彼が心の拠り所にしていたのは、あの悲劇の日に美術館から持ち出した名画“ゴシキヒワ”でした
悪の世界に足を踏み入れてしまったテオが、最後には『本物』を大切にする人たちの元へ戻ってこれたのは救いでした
成長したテオにアンセル・エルゴート、裕福な同級生の母親にニコール・キッドマン
イマイチな評価が多かったのですが好きな役者さんが出演しているので観てみました
見落としたところがあったようで「?」な展開があったのですが後でネタバレを読んで納得
一枚の絵画にテオの人生を重ね合わせた良作と思います
テオのティーン時代の友人役にフィン・ウルフハード
テオを悪の道に導いた張本人ですがめっちゃイケメンで素敵!
「僕はラジオ」
原題 RADIO
2003年 アメリカ
【Amazon Prime Video】
アメリカのスポーツ専門誌に掲載された実話を映画化
アメフトが盛んなサウスカロライナ州アンダーソン、ハナ高校のコーチ、ハロルド・ジョーンズ(エド・ハリス)と知的障がいをもつ黒人青年、ジェームス・ロバート・ケネディ、通称ラジオ(キューバ・グッディングJr.)の友情を描きます
アメフト優先の生活に妻や一人娘に真正面から向き合ってこなかったジョーンズ
練習場の周囲をラジオを聴きながらショッピングカートを押して歩いている年齢不詳の黒人青年を見かけます
たまたまカートの中に飛び込んだボールを持ち去ろうとしたため怒った部員たちが彼を苛めるという事件が起こります
事件を知ったジョーンズは部員たちに罰を与え、お詫びとして青年に練習の手伝いを頼むことにしました
そして、ラジオを聴くことが好きであることから“ラジオ”と呼ぶようになります
ラジオはチームに溶け込み“仲間”として成長していきます
ところがチームの成績が下降線をたどり、ラジオの存在を快く思わない町の有力者たちからの圧力で彼を外さなければいけなくなったと校長から言われてしまいます
常にジョーンズとラジオの味方でいてくれた校長の力をもってしても今回は難しそう…
それまでのジョーンズなら圧力に従ったかもしれませんが、「ラジオが学んだことより、ラジオから自分たちが学んだことの方が多い」と集会の場で語り、決して引き下がりませんでした
さらに長年ほったらかしだった家族と向き合うことを決心するジョーンズなのでした
“人のために何かをするのは間違いではない”
スポーツを通して潜在的な差別意識を焙り出し、経験の共有へ持ち込む優しさと愛に溢れたアメリカらしい作品です
全く違う面も持つ国ではありますが…
ラストでジョーンズたちの実際の映像が流れます
2人の友情はその後もずっと続いたのだそうです
校長先生、ラジオのママ、コーチの妻と娘、女性の存在が大きかったですね。
実話ということが、尚更魅力でした。
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