講談社文庫
2015年8月 第1刷発行
2016年10月 第4刷発行
解説・天野篤
326頁
西田敏行さん主演の2時間ドラマを観て原作を読もうと思ってから早3年半が過ぎてしまいました( *´艸`)
事業に失敗し愛する妻子とも別れたダメ中年・城所安男
かつてのクラスメートが経営する小さな会社で細々と営業の仕事をさせてもらっています
給料のほとんどは元妻への送金に消え、恋人・マリからもらう小遣いで何とか暮らしている有様
そんなある日、心臓病を患う老母の状態が厳しい状態にあることを知り、一念発起、母を乗せて天才心臓外科医がいるというサン・マルコ病院までポンコツ車で160km(百マイル)をひた走ります
出来が良く成功している兄や姉との確執は読んでいて辛いです
弟を心配する気持ちはあっても、度々借金を申し込まれたり社会的立場が危機に晒されるような状況を避けたいのは現実なのでしょう
安男という男、羽振りが良かった時はお金を湯水のように使って豪遊したり趣味の悪い豪邸を建てたり、目の前の快楽に身をやつすダメダメ中年なのですが人には恵まれているようでポイントポイントで救いの手が差し伸べられます
恋人・マリのように、這い上がろうとしているダメ男を何とかしてあげたいと尽くし、男が立ち直って自分の前から姿を消しても、それを嬉しいと捉える色恋とは違う無償の愛を捧げる女性
ただただ息子を愛し慈しむ老母
事業の失敗で離婚はしたものの安男の人間性の良さを理解している元妻
女性たちに守られながら前に進むであろう安男の未来が同じ失敗を繰り返しながらでも明るいものであることを望みます
というのが私の感想。
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浅田さんはこの頃がピークだった、と言う人もいるようで。
先にドラマを観ていたおかげで登場人物たちを理解できて最後まで読めた感もあります。