小学館
2012年10月 初版第1刷発行
335頁
弘前が舞台の「津軽百年食堂」、青森が舞台の「青森ドロップキッカーズ」に続く青森三部作完結編
本作の主人公・大森桃子は前2作にも重要な脇役として登場しています
桃子が手にした幸せの物語と縄文の魅力とロマンを融合させた本作
とてもハートウィーミングな物語に仕上がっています
今回の舞台は八戸
眼鏡店の店長・大森桃子、35歳、バツイチ、自虐ネタで周囲を笑わせる姐御肌
人数合わせのために参加させられた合コンで出会った考古学者・佐久間吾朗、40歳
彼も人数合わせ要員だったらしい
吾朗と挨拶を交わした瞬間甦ったのは
合コンに出かける前に見ていた古い時代の夢
それは、不思議だけれど懐かしいような胸騒ぎのする夢で、今また桃子の胸の中をリアルな風が吹き抜けていく
古い時代、そう縄文時代の夢の中で味わった風そのものでした
夢の雰囲気が目の前に座っている吾朗とリンクするような気がしたものの、関係は無いと自分に言い聞かせる桃子
実は、吾朗も桃子に会った時、以前、それもかなり古い時代にどこかで会っているような懐かしい感じを持っていました
出会うべくして出会った二人のその後はなるべくしてなっていくので安心して読めます
現代の桃子の物語と交互に語られるのは縄文の昔・この地に暮らしていたライアというシャーマンの娘の物語です
ライアと桃子には緩いリンクがつけられており、それが小説全体にちょっとした緊迫感を与えています
縄文の人々も平成の人々も、日々の暮らしの中で幸せとは何かを考え、涙を流し、自分の力の及ばない時には祈ります
桃子が誰にも、母親にすら話せなかった自虐ネタで笑い飛ばしてきたバツイチの理由
涙と一緒にきれいさっぱり洗い流して新しい人生を歩み始めた桃子に幸せあれ!
ラスト2頁にもらい泣き
やっぱりやられちゃうなぁ~
本作も映画化されるのかな
でも、その前に「青森ドロップキッカーズ」でしょ
日本の女子カーリング、元気良いしね
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます