中央公論新社
2013年2月 初版発行
289頁
江戸の町
竹林に囲まれたしもた屋で産んではいけない子どもを孕んだ女たちを受け入れ、薬の調合に長けた老女・末音と2人で子堕ろしを行ってきた闇医者のおゑん
彼女の元には、奉公先の若旦那と恋仲になった女中・お春、鬼の子を孕んだと訴える武家の奥方・阿澄、良家との婚姻が整い思い人との間に出来た子を堕ろすよう母親に連れられてきた商家の娘・お鈴、と複雑な事情を抱えた女たちがやってきます
常に苦を背負い子を堕ろすしかないと訴える女たちに、自分の頭で考えて人生を決めてきたのか、流されるまま諦めてきたのではないか、彼女らに優しくも厳しい態度で正面から向き合い、話を聞くおゑん
おゑんは女の身体と心、両方を診る医者なのです
月満ちて生まれてくる赤ん坊を養子に出す手もあると知り産む決心をしたお春
残念なことに流産してしまいますが、そのままおゑんのところで働くことになり、終盤では、今は強く頼りがいのあるおゑんの辛い過去を聞く役目も務めるほどに落ち着いた暮らしをしています
時代は江戸ですが、現代でも全く変わっていない女ゆえの苦しみに真正面から向き合う内容です
女だからって我慢するばかりじゃダメ
甘えていてはダメ
理不尽さに絡めとられないよう、後悔しないよう、自分で考え、選んで生きていかなければならないのです
何より、人にはそういう力があることを忘れてはいけないのです
第2弾、第3弾も出ているようなので、おゑんや末音の活躍と共にお春がどんな女性に成長していくのかを楽しみに読みたいです
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