松本清張シリーズ「けものみち」
1982年 NHK土曜ドラマ
全3話
【BSプレミアム】
時は東京オリンピックの2年前
一人の女の流転の人生を通して政財界の裏にうごめく悪に光を当てながら色と欲に目がくらんだ「けもの」のような人間たちを描きます
元ヤクザでトラブルから背中を刺され寝たきりの夫(石橋蓮司)との暮らしを支えるため旅館の中居として働く女性・民子(名取裕子)
客である一流ホテルの支配人・小滝(山崎努)に持ち掛けられた話にのり、夫を焼殺、政財界を裏で操る鬼頭(西村晃)の世話係として屋敷に入り込みます
夫との暮らしに絶望していた地味な民子が、美容院で髪をセットしてもらい派手な化粧で真っ赤なドレスに身を包み男たちを踏み台に強かな女に変わっていく様が見ものです
もう一人、民子が夫を殺したと疑う刑事・久恒(伊東四郎)の金と権力に対する鬱屈した思いとちっぽけな悪人ぶりも見どころです
連続する不審死、罠、利権、これでもかと描かれる欲に塗れた男女の姿は、最近の軽めサスペンスに慣れた身にはやや重かったですが見応え十分でした
他にも何度か映画やテレビドラマ化されていますが、一番新しい2006年テレビ朝日制作、米倉涼子さん主演のドラマを観てみたいです
「翳りゆく夏」
2015年 連続ドラマW
全5話
【シネフィルWOWOW】
原作 赤井三尋
20年前に起きた新生児誘拐犯の娘・朝倉比呂子(門脇麦)が、大手新聞社に内定したことから、社長直々の命令で過去の事件を追うことになった今は史料編纂室でくすぶっている元敏腕新聞記者・梶(渡部篤郎)が刑事顔負けの足を使った調査と直感、想像力で封印された真実に迫っていくサスペンスドラマ
当時の担当刑事、病院長、唯一の目撃者を訪ね歩き、新たな証言や証拠を繋ぎ合わせていくに従い意外な人物が真犯人として浮き上がってきます
新聞社の人事部長で比呂子の内定を決めた、20年前の事件当時は梶の先輩だった武藤(時任三郎)、その息子で比呂子の大学の後輩・俊治(菅田将暉)らも重要な役どころを演じます
現在と過去が交錯しながら真相に迫っていく描き方は緊張感を保ちながらも繋がりがわかりやすく重い内容の割には見やすかったです
あの人もあの人も、あの後どうなったのだろう、余韻に浸った作品でした
「シリウスの道」
2008年 ドラマW
【シネフィルWOWOW】
原作 藤原伊織
大手広告代理店に勤める辰村祐介(内野聖陽)には明子(大塚寧々)、勝哉(寺島進)という2人の幼馴染がいました
彼らの間には明子の父親(六角精児)の死に関する秘密があり再び会わないと誓い合っていましたが25年後の今になって明子の元に何者からかその秘密をネタにした脅迫状が届きます
その頃、祐介の部署では大型案件のプロジェクトが始動
コンペの勝利に向け立花部長(真矢みき)や部下たち(黄川田将也、栗山千明ほか)と共に邁進する祐介でしたが、そのプロジェクトが自らの過去とある1本の糸で繋がれていることを知ります
大手企業の内部抗争や権力争いはドロドロ醜くて恐ろしいものです
立花部長が役員に抗議するも「何年サラリーマンやってんだ」と一喝されて終わり
大変な世界だな~、と思っていましたが、栗山千明さん演じる若手が思うところをスパッと言い放つシーンには少しだけ溜飲が下がりました
25年ぶりに会った明子が見せる意外な面に言葉もない祐介
25年前に明子にとって良かれと思って起こした行動が実は、というあたり男子は女子に比べて幼かったのです
祐介と勝哉の篤い友情と内野聖陽さんの涙にもらい泣きしてしまいました
薄幸の美女の涙より渋い男の涙のほうがグッとくるものですね
「誘拐」
2009年 ドラマW
【シネフィルWOWOW】
原作 五十嵐貴久
韓国大統領来日を控えた夏
歴史的な日韓友好条約締結を前に警察が国の威信をかけて大統領警護にあたるその裏で、現職総理大臣(石坂浩二)の孫娘(三吉彩花)が誘拐されるという前代未聞の事件が起きます
決して直接コンタクトをとらず一切痕跡を残さない犯人に政府と警察は翻弄されます
犯人からの要求は、日韓友好条約締結の中止と活動資金30億円
犯人の指示通り30億円を積んだ10台の車が高速道路を走ります
犯人はどこでどうやって現金を手にするのでしょう
孫娘は無事解放されるのでしょうか
コロンボみたく
最初から誰が誘拐犯と共謀者か分かっていて、彼らを警察がどのように追い詰めていくかが見どころでしょうか
最後に追い詰められた誘拐犯(三上博史)と捜査チームのリーダー(西島秀俊)の交わす会話にニンマリでした
そこまで考えつくされて実行された誘拐に、なるほどね~
ま、何となく想像はしていたのですけど面白かったです
総理!金で買えないものは、あるのです!!
「死刑基準」
2011年 ドラマW
【シネフィルWOWOW】
原作 加茂隆康
司法試験に合格しながら大学の法学部講師となった水戸裕介(山本耕史)、死刑廃止を支持する弁護士・大伴浩二郎(小澤征悦)、検事の永瀬麻梨子(戸田菜穂)
3人は同じ大学で司法を学びそれぞれ死刑に対する考えを持っています
ある日、大伴の妻が殺害されるという事件が起き、過去に大伴が誘拐殺人犯を死刑ではなく無期懲役に持ち込んだことに恨みを持つ被害者の父親、鯖江申三(柏原崇)が逮捕されます
妻が殺害されたことで被害者側になった大伴はこれまでの考えを覆し鯖江に対し死刑を求めます
レポーター(京野ことみ)はそんな大伴に厳しい質問を投げつけるのでした
このことをきっかけに弁護士に転身した水戸でしたが、最初に弁護することになったのはなんと鯖江で、苦悩する水戸は元裁判官で定年後は農業をしながらのんびり暮らす父親(山本圭)を訪ねます
死刑判決に基準はあるのか
難しい問題です
結論は出ていません
水戸が鯖江の裁判で“真犯人”に向けて語る『かけがえのない命を奪った罪は、かけがえのない命で償う』に納得させられるような違うような…
警察の杜撰な捜査と検察の怠慢が引き起こす冤罪
現実にありそうで怖いです
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます