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高田郁「駅の名は夜明け 軌道春秋Ⅱ」

2023年05月02日 | た行の作家
高田郁「駅の名は夜明け 軌道春秋Ⅱ」

双葉文庫
2022年10月16日 第1刷発行
2022年11月18日 第4刷発行
371頁

鉄道を舞台に困難や悲しみに直面する人たちの再生を描く9つの物語

「トラムに乗って」
幼い娘を病で失った母親・真由子が、娘と一緒に行くと約束したウィーンの街で素晴らしい奇跡を体験します

「黄昏時のモカ」
亡き夫の遺影と共にウィーンにやってきた老女・美津子
日本語の勉強をしたいという青年に観光案内をさせて欲しいと言われ、詐欺を疑いつつ同行を頼みます
「トラムに乗って」の真由子と美津子は同じ飛行機で日本からやってきており少しリンクがありました

「途中下車」
東京に暮らす亜希
中学高校と苛めをうけ、祖父母の暮らす北海道、網走の高校に転校することになります
転校の日、一人で列車に乗った亜希は緊張と不安から体調を崩し、途中駅で下車
オホーツク海に最も近い駅にあるレストラン『駅舎』で介抱をうけ、次の列車で目的の駅へ向かいます

「子どもの世界 大人の事情」
両親が離婚し、母親と大阪に暮らす小学生・圭介
ラジオ番組『私の旅』に投稿した旅のリクエストが通り、一人で網走に向かうことになります
そこはまだ家族が仲良く暮らしていた頃、父親に聞かされていた流氷が見える駅でした
「途中下車」と同じ駅が舞台です


「駅の名は夜明け」
妻の介護に疲れ、行政の支援からも見放された夫は長年連れ添った妻を連れ、死に場所を求めて旅に出ます
偶然降り立った駅の名は「夜明け」
夫は死を思いとどまるのでした

「夜明けの鐘」
東京の中高一貫の女子高で同級生だった翠と杏子
卒業後も時折誘い合って小さな旅を重ねていましたが、結婚や転居、親の介護などで連絡が途絶えがちになっていました
杏子がふた親を看取ったことを知り、思い切って久々の二人旅を計画した翠
目的地は「夜明け」駅です


「ミニシアター」
平日の午後
車両のロングシートに座るのは、孫を連れた老人、古希を過ぎていると思われる女性、男子高校生、眉を書き忘れた若い女性、分厚い学術書を読んでいる30代の女性
よく晴れた五月の陽光が差し込む車内に突然『異臭』が…
それは古希を過ぎた女性の鞄から漂ってくるようでした

「約束」
とんでもない状況で偶然出会った人気作家・南條拓海と立ち食いソバ店で働く・久仁子
久仁子が10歳以上も年上なのと、暮らす世界が違い過ぎますが2人は結婚
当然ながら上手くいくはずもなく…

「背中を押すひと」
19歳で父親と争い実家を飛び出し音信不通だった息子が、父親の病を知り11年ぶりに戻ります
高田郁さんの「初めの一歩」的な作品で、今回加筆修正のうえ今巻に加えたとのこと
しみじみとなる佳い作品です

9編全て、9年前に発表された、前作「ふるさと銀河線 軌道春秋」に磨きがかかった内容で何度も泣かされました

あとがきより
幸せを心から望めども、人生はそう容易くはない。誰しも病や老いから逃れられず、思いがけない災禍に見舞われることもあります。そんな時、声を限りにエールを送られると、却って辛さが増すこともあるでしょう。
NOT DOING,BUT BEING―何もしない、でも傍に居る
九つの物語が、あなたにとって、そんな存在になれれば、と願います
あなたの明日に、優しい風が吹きますように。
九年ぶりの祈りとともに、この本をお届けします。





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