新潮社
2018年5月 発行
214頁
ヴェネツィアから流れ着いた一枚の鏡
その鏡は持ち主の願いを現実のものにすると言い伝えられていました
「泣きぼくろの鏡」
脳病院に身を置く奥さまと看護婦
「ナルキッソスの鏡」
昔気質の鏡研ぎ職人と美青年
「繚乱の鏡」
人気舞台女優と財界の黒幕
「奇術師の鏡」
奇術を嗜む傷痍軍人と戦争孤児の少年
「双生児の鏡」
光と影に身を置く美しい双生児
人の欲望には限りがなく、欲望を満たすためには手段を選ばなくなるのですねぇ
願いが現実のものになったとしても…決して幸福にはなれないのです
少しだけ明かりが見えるのは「奇術師の鏡」で、孤児だった少年は一人前の奇術師に成長し「双生児の鏡」に少しだけ登場します
戦前から戦後を舞台に一枚の鏡を巡る愛憎劇を描く連作短編集
どれも秀逸
後味の悪さは秋吉さんならでは、です
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