会社の先輩(せんぱい)からホームパーティーに誘(さそ)われた。会社に入って間(ま)もない僕(ぼく)は、他の社員(しゃいん)の方と親(した)しくなれるかと思い参加(さんか)した。でも、これが厄(わざわい)の始まりになるとは――。
僕は先輩の部屋に入って驚(おどろ)いた。美味(おい)しそうな手料理(てりょうり)が並(なら)び、室内(しつない)も奇麗(きれい)に飾(かざ)り付けされていた。僕のほかには誰(だれ)もいないようで、まさか一人で用意(ようい)したんじゃないよね。
「今日はありがとうね」先輩は嬉(うれ)しそうに、「食べようか。あたし、お腹(なか)すいちゃった」
「でも、まだ他の人が…」
「誰も来ないわよ。招待(しょうたい)したのは、あなただけだから」
先輩は僕が戸惑(とまど)っているのを見て、「心配(しんぱい)しなくてもいいわよ。取(と)って食(く)おうなんて思ってないから。あたし、肉食系(にくしょくけい)女子じゃないから」
僕は何て答(こた)えたらいいのか分からず、「今日は…、何のパーティなんですか?」
「あーぁ。あたしも、とうとう大台(おおだい)に乗っちゃって。一人じゃ寂(さび)しいじゃない」
えっ、先輩の誕生日(たんじょうび)だったんだ。でも大台って? 先輩、いくつになったのかな? 先輩の私生活(しせいかつ)なんて、まったく分からないし。そもそも、先輩って結婚(けっこん)してたんじゃ? 指輪(ゆびわ)とかしてなかったかな? 僕の頭はぐるぐる回る。
ここは、冷静(れいせい)に対処(たいしょ)しなくてはいけない。まず、年齢(ねんれい)のことにふれるのは絶対(ぜったい)にさけた方がいい。僕にだって、それくらいの空気(くうき)は読(よ)める。でも、これからどうすれば…。
<つぶやき>女性の真意(しんい)を計(はか)るのはとても難(むずか)しいかも。でも、あまり読みすぎるのも…。
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