私は、よくお散歩(さんぽ)に出かける。それも家の近くを歩くんだ。遠くへ行かないぶんお金もかからないし、気分転換(きぶんてんかん)や運動(うんどう)にもなってしまう。
近所といっても、まだまだ知らない所がいっぱいある。歩いていると、通ったことのない道や路地(ろじ)が私に誘(さそ)いかけてくる。こっちへおいで、この先(さき)にはいいことが待ってるよって。私は、ついついその誘惑(ゆうわく)に負(ま)けて、フラフラと入り込んでしまう。その結果(けっか)として、プチ迷子(まいご)になってしまうのだ。
でも、思わぬ発見(はっけん)や出会(であ)いがあることも確(たし)かだ。この間なんか、いつもうちの庭(にわ)に遊(あそ)びに来ている猫(ねこ)に出くわした。
「この子ったら、こんなところまで来ていたんだ。もしかしたら、このあたりのボス猫かもしれないわ」うちの猫でもないのに、何だか誇(ほこ)らしく思えてしまう。
「今度来たとき、何かご褒美(ほうび)をあげなくちゃ」
散歩の途中(とちゅう)で、私はいろんな空想(くうそう)をめぐらせる。道端(みちばた)に咲(さ)いた小さな花や、古(ふる)そうな家やへんてこな建物(たてもの)。青い空に白い雲(くも)が浮かんでいたら言うことはない。私は想像(そうぞう)の翼(つばさ)をひろげて、空(そら)高く飛び立つことだってできるんだ。そして、いろんな登場人物(とうじょうじんぶつ)がはちゃめちゃに飛び回って…。ひとりでクスッと笑ってしまう。
もし誰(だれ)かに見られたら、変な人って思われてしまうかもしれない。でも、私はそんなこと気にしない。だって、これが私の楽しみなんだから。
<つぶやき>誰しも、何かしら楽しみはあるもの。それは、人生を豊(ゆた)かにしてくれるかも。
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