あるところに二人の女がいた。彼女たちは、ひたすら待ち続けていた。
「いつになったら来てくれるのよ? もう、ずいぶん待ったけど、誰(だれ)も来ないじゃない」
「なに弱音(よわね)をはいてるの。そう簡単(かんたん)に会えるはずないじゃない。ここは辛抱(しんぼう)よ」
「でも…。あたし、誰を待っているのかも忘(わす)れちゃったわ」
「私たちが待ってるのはスーパーマンよ。私たちを救(すく)ってくれる」
「えっ、そうなの? なんか、違(ちが)うような気もするけど…」
「忘れちゃダメよ。私たちは、この愛の砂漠(さばく)から救い出してくれるヒーローを待ってるんだから」
「ヒーローって、大げさすぎない? 山田(やまだ)くんとか、斉藤(さいとう)さんでいいじゃない」
「そんな手軽(てがる)なバーゲン品(ひん)でいいわけ。私たちは、そんなんじゃ納得(なっとく)できないはずよ」
「でも、あたしはそれでもいいかなって…。ほら、バーゲン品でもいいのあるじゃん」
「それじゃダメよ。これは、一生(いっしょう)の問題(もんだい)よ。選択(せんたく)を誤(あやま)ったら、取り返しがつかないの」
「それは分かるけど…。手近(てぢか)なところで手を打つのも、ありかなって…」
「あなた、まさか…。なに舞(まい)い上がってるの。あんな男に告白(こくはく)されたぐらいで」
「そうじゃないよ。そうじゃないけど、あの人も悪(わる)い人じゃないと思うわ」
「そうだけど。あの顔よ。出世(しゅっせ)なんか望(のぞ)めないわよ」
<つぶやき>これは誰かさんの心の声かもしれません。良き人生の選択をされますように。
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