みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0155「恋の巡り合わせ」

2018-02-08 19:24:01 | ブログ短編

 私の恋愛(れんあい)は、いつも突然(とつぜん)終わってしまう。なぜだかわからないけど、彼と突然連絡(れんらく)が取れなくなって――。そんなことが何度かあったので、もう恋なんかよそうって思っていた。でも、そんな私にまた恋が巡(めぐ)ってきた。今度(こんど)は、彼の方から好きだって告白(こくはく)されて…。今までに、こういう展開(てんかい)は始めてかもしれない。
 彼とのデートはとっても楽しくて、毎日わくわくしていた。でも、楽しければ楽しいほど、私の心には不安(ふあん)が広がって…。また、いなくなってしまうんじゃないかって。
 ――彼とつき合い始めて一ヵ月ほどたった時。彼が、待ち合わせの時間になっても現れなかった。私、嫌(いや)な予感(よかん)がしたわ。すぐに彼のスマホに電話をしたけど、つながらなかった。私、必死(ひっし)に考えたわ。彼に嫌われるようなことしなかったかって。でも、何も思いつかなくて…。
 私は待ったわ。待って、待って…。でも悪いことは重(かさ)なるもので、雨まで降(ふ)り出してきて。私は気が滅入(めい)るばかり。そんな時よ。遠くから私の名前を呼ぶ声がして。――彼よ。彼が、雨に濡(ぬ)れながら走っていた。私は、涙(なみだ)があふれそうになるのをグッとこらえたわ。
「ごめんね。乗ってた電車が故障(こしょう)しちゃて。で、バスに乗りかえたんだけど、ぜんぜん違う方向へ行っちゃって」彼は申し訳なさそうに言った。「でもね、いいの見つけちゃった」
 彼はポケットからガラス細工(ざいく)の小さな動物(どうぶつ)を私に見せて、「ほら、君にそっくりだろ」
 これって、どう見てもタヌキだよね。私、喜(よろこ)んで良いのかな? 微妙(びみょう)なんだけど…。
<つぶやき>誰しもいろんな恋の巡り合わせはあるもの。それをつかめるかどうかだけ。
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