みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0713「本能」

2019-11-12 18:21:02 | ブログ短編

「別れようなんて…。あたしのこと、きらいになったの?」
「嫌(きら)いとか、そういうことじゃなくて…。なんて言えばいいのか…」
「あたしの、何が気に入らないの? はっきり言ってよ」
「君(きみ)は悪(わる)くないよ。気に入らないとかそういうことじゃなくて…」
「あたしが、月に向(む)かって吠(ほ)えたりするから? それとも、散歩(さんぽ)している犬(いぬ)に…。あたし、これでも我慢(がまん)してるのよ。だけど、どうしようもないの。これは、あたしの本能(ほんのう)だから」
「分かってるよ、そんなことは。分かってるけど…、君といると落ち着かないんだ」
「そんな…。あなたの方から付き合おうって言ったんじゃない。だから、あたし…。あたし、最初(さいしょ)に言ったよね。あたしは、普通(ふつう)じゃないって」
「ああ…、分かってるつもりだったけど…。君の目が…、恐(こわ)いんだ。君に見つめられると、襲(おそ)われるような気がして…。身体(からだ)がこわばってしまうんだ」
「ごめんなさい。あたし、そんなつもりは全然(ぜんぜん)ないのよ。あなたのこと食べようなんて、そんなこと思ったことない。だって、あなたと会う前には、いつもお腹(なか)いっぱい食べるようにしてるの。だから、安心(あんしん)していいのよ」
「そ…、そうなんだ。じゃあ、お腹が空(す)いていたら…」
「お腹が空いてたってそんなことしないわ。あたし、あなたのこと愛(あい)してるのよ!」
<つぶやき>彼女の正体(しょうたい)は何なんでしょうか? でも、彼への愛は本物(ほんもの)だと思いますよ。
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