みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0721「愛情のはて」

2019-11-20 18:19:01 | ブログ短編

「どうして? 何でか教えてよ。あたし、何かした?」
 彼から突然(とつぜん)別れを告(つ)げられた彼女は、動揺(どうよう)して彼に詰(つ)め寄った。彼からの答(こた)えは、
「別に…。何かさ、お前といても、つまんねえんだよなぁ」
「つまらないって…、それ、どういうことよ。信じられない。あたし、あなたのために…」
「ああ、うざい。もういいかな? これから約束(やくそく)があるんだよ」
「約束? 何よ…、誰(だれ)と会うの?」
「お前には関係(かんけい)ねえだろ。もう別れたんだし、俺(おれ)が誰と付き合おうと――」
「やっぱり他にいたのね。二股(ふたまた)かけるなんて最低(さいてい)! 訴(うった)えてやる」
「ふん、なに言ってんだ? 恋愛(れんあい)に二股も三股もありなんだよ。それに、俺は何もしてないだろ。お前が勝手(かって)に、俺のために金を使ったんじゃないか。もう二度と連絡(れんらく)すんなよ」
 彼はぷいと彼女に背(せ)を向けて去(さ)って行った。――彼女は俯(うつむ)いて、声を押(お)し殺(ころ)して泣(な)いているように見えた。だが次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)、彼女の口から笑(わら)い声がもれ出した。それを合図(あいず)に、彼女の背後(はいご)に真っ黒な姿(すがた)の男が現れた。彼女は男に言った。
「契約(けいやく)通りにお願いね。倍返(ばいがえ)しよ。あいつに思い知らせてやる」
 男は暗(くら)い声で、「あなたの怨念(おんねん)は確(たし)かに頂戴(ちょうだい)しました。では、あの男にも同じ屈辱(くつじょく)を味(あじ)わってもらいましょう。それも、倍倍(ばいばい)返しで」
<つぶやき>この男はいったい何者(なにもの)なのか? 憎悪(ぞうお)が生み出した悪魔(あくま)なのかもしれません。
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