心地(ここち)よい眠(ねむ)りから私は目覚(めざ)めた。朝日(あさひ)がさんさんと射(さ)し込んで――。私はぎょっとして枕元(まくらもと)の目覚(めざ)まし時計をつかんだ。何でこんな時間に! 私は思わず叫(さけ)んだ。階段(かいだん)を転(ころ)がるように駆(か)け下りると、妹(いもうと)が美味(おい)しそうに朝食を食べていた。私は妹に言った。
「何で、起こしてくれなかったのよ。もう、遅刻(ちこく)しちゃうじゃない!」
妹はトーストを頬張(ほおば)りながら、「声はかけたわよ。お姉ちゃんが起きなかったんじゃない」
私はあたふたとしながら気がついた。そうだ、私にはあれがあったんだ。それを使えば遅刻することは絶対(ぜったい)にあり得(え)ない。――私は優雅(ゆうが)に食卓(しょくたく)についた。そんな私を見て妹は、
「のんびりしてていいの? 今度遅刻したら…」
「あら、大丈夫(だいじょうぶ)よ。私にはタイムストッパーがあるから。時間を止めてる間に学校へ行けば、何の問題(もんだい)も無(な)いわ」
「そう。でも、時間を止めるってことは電車(でんしゃ)も止まっちゃうってことだよね。どうやって学校まで行くのかしら? 大変(たいへん)そう…、あたしにはムリだわ」
私はハッとした。妹は食べ終わって、カバンを手に出かける姿勢(しせい)。私は妹の腕(うで)をつかんで、「ちょっと待った! 一人で行くなんてずるいわよ。10分だけ待ってて!」
「いやよ。電車に間に合わなかったらどうすんのよ。お姉ちゃんと一緒(いっしょ)に遅刻なんて――」
「大丈夫よ。私には奥(おく)の手があるんだから。瞬間移動(しゅんかんいどう)すれば、あっという間(ま)よ」
<つぶやき>意味(いみ)分かんないです。でも、もしそんなことができたら、良いと思いません?
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