みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1017「耳元で」

2021-01-19 17:52:31 | ブログ短編

「お前、彼女できたんだってなぁ」先輩(せんぱい)が僕(ぼく)の顔を見るなり言った。僕は、
「いや、まだ彼女なんかじゃ…。ちょっといいかなぁって思っただけで…」
「告白(こくはく)してないのか? でも、好きなんだろ。だったら、いいこと教えてやるよ。告白するときは、さり気(げ)なく抱(だ)きよせて、彼女の耳元(みみもと)でささやくんだ。〈好(す)きです〉って」
「そ、そんなのムリですよ。いきなり抱きついたりしたら…」
「だから、さり気なくだよ。彼女に抱かれてると思わせないようにして…」
「意味(いみ)が分かりません。どうするんですか? どうやればいいのかまったく――」
「そんなことは、自分で考(かんが)えろよ」
「でも、彼女とはまだ親(した)しくなったわけでもないし…。いきなりそんなことしたら嫌(きら)われますよ。それに、彼女、格闘技(かくとうぎ)にはまってるみたいで…。噂(うわさ)では、めちゃくちゃ強(つよ)いらしいんです。僕なんか、一発でダウンですから…」
「そりゃすごい。だったら、告白するときは連絡(れんらく)してくれ。講学(こうがく)のために見ておきたい」
「冗談(じょうだん)は止めてくださいよ。僕は、しませんからね。そんなこと…」
「なんだぁ、つまんねぇヤツだなぁ。そんなんだから彼女できないんだぞ。だったら、俺(おれ)に任(まか)せろよ。その彼女と付き合えるように段取(だんど)りしてやるよ。で、誰(だれ)なんだ彼女って?」
「そ、それは…、ちょっと…。でも、大丈夫(だいじょうぶ)です。自分で、やりますから…」
<つぶやき>もしこの先輩に頼(たの)んだら、どうなってしまうのか…。ちょっと不安(ふあん)ですよね。
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コメント
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