1.運動方針 平成19年の東京海上保安部管内における船舶海難総件数は、昨年の31隻から14隻増加の45隻と大幅な増加で、このうち、負傷・死亡・行方不明者を伴う海難は3隻5名であった。又、海難によらない人身事故発生件数は、32件であり、昨年と比べ1件の増加であった。船舶海難隻数を用途別に見ると、プレージャーボート(水上オートバイ3隻含む)が14隻(昨年9隻)と最も多く、レジャーの形態も多様化してきていることから、今後増加する事が懸念される。このため、東京地区においては平成20年度海の安全運動実施計画のとうり、昨年に引き続き船舶海難やマリンレジャー中の事故防止の徹底を図ることとし、海事・漁業・マリンレジャー愛好者等官民一体となった効果的な「海の安全運動」を積極的に展開し、海難防止思想の普及や安全意識の高揚を図り事故防止に全力を期すこととする. 2.実施期間 本運動の実施期間は、マリンレジャーが活発になる平成20年7月1日から同年8月31日までの2ヶ月間とし、このうち7月16日から7月31日までの間は「海難ゼロへの願い」をスローガンとした全国海難防止強調運動期間と重複する。尚、6月は、周知、広報月間とする。
3.重点事項 ①「見張り不十分又は操船不適切による衝突海難防止」~しっかり見張って早めの回避、あなたの安全・家族の安心~ 海事・漁業関係者をはじめ、プレージャーボート操縦者等にたいして、常時適切な見張りと早めの回避等を実践するよう重点的に指導する。
②「事故究明策の確保の徹底」 海中転落した遭難者が無事生還するために有効なライフジャケットの常時着用、連絡手段(携帯電話)の確保、118番の有効活用の三つを基本とする。 4.東京地区運動実施事項及び内容 各実施主体(団体)が定めた活動目標及び活動計画を実行するとともに、次の項目に沿って安全啓発活動を推進する。(1)「見張り不十分又は操船不適切による衝突海難の防止」 ①常時適切な見張りの徹底 (イ)各種船舶乗組員に対し、常時適切な見張りの励行し適切な操船を行うことにより、海難を未然に防止するよう指導する。②適切な避行動作 避行船となった場合の避行動作は、出来る限り適切な操船を行うことにより、海難を未然に防止するよう指導する。(ロ)近年、濃霧による視界制限時における衝突海難が増加傾向にあることから、霧多発期を迎えるにあたり、狭視界時の適切な見張りの励行についても併せて指導する。②適切な避行動作 避行船となった場合の避行動作は出来る限り早期にかつ分かりやすい動作(大幅な動作)をとり、保持船となった場合は、海難をさける為の最前の協力動作をとる事などの海上衝突予防法に規定する適切な避行動作について指導する。③ AIS(船舶自動識別装置)等を活用した船舶間のコミニケーションの促進早期に衝突の危険を回避するには、船舶間の意志疎通と相手船の正確な動静確認を図る事が肝要であり、これには、汽笛、信号等を活用した早期の意思表示やVHF等の無線によるコミニケーションを図ることが有効である。 又AISは、自船の動静情報(船名、船種、位置、針路、速力、積荷、行先等)を自動的に送受信するするシステムであるという特徴から、昼間はもとより、夜間においても航行中の船舶相互において相手船の船名確認や動静把握が出来るほか、AISメッセージによる情報提供やメッセージの受信により衝突予防等の安全航行に十分役立つ事から、これらの有効活用についての周知、活用の促進を図る。