南スウェーデン便り

ときどき南スウェーデンの真ん中のイナカから、ときどき街からお便りします。

散歩が楽しい季節

2022-11-06 09:16:34 | 街便り
 
いつもあっという間に散ってしまう紅葉…かろうじて残ってくれるのは蔦のたぐい。オーガニックカフェの中から向かいの壁を鑑賞。
右下の窓に猫がいる!といつも騙されてしまうのだけれど、これは偽物。北欧はカーテンのない家が多い。
 
 
 
これはルンドの大学図書館の蔦。

 
紅葉ではないけれど…この秋はこういう感じのカラフルな寄せ植えをよく見かける。








新政権

2022-11-05 09:40:16 | 街便り

選挙の結果が出てからずいぶん経ってからやっと新しい政権がスタートした。

時間がかかったのは新しい連立政権のブロックの中で例のスウェーデン民主党をめぐって揉めたため。いろいろと調整した結果、けっきょくこの党には新政権の影響力のあるポストはまわってきたが大臣に就任することにはならなかった。

同時に地方選も行われたのだが同じ問題のために新体制が定まっていない地方自治体もある。旧野党のなかでもまさかスウェーデン民主党がそこまで票を集めるとは思っていなかったのかもしれない。

で、始まった新しい国会で、さっそくスウェーデン民主党の議員エルサ・ウェディングが発言。

 

– 「スウェーデンが気候危機に陥るというのは科学的根拠に欠ける考えです。」
…これは「危機」という語句を強調した発言とも受け取られるので、「え、でも気候変動の問題があることはわかっているんだよね?」と願いながら続きを聞いていると、
 
 
– 「スウェーデンが温室効果ガスの排出をゼロにしたところで地球規模では気温は0.0027度しか下がらないんです。」
…あの~、一国だけで解決できる問題ではないということはとっくにわかっているのでは?? 
 
 
– 「スウェーデンにできることは最貧国の石炭火力発電を財政的に支援して貧困から救うことです。」
…は??
 
彼女の発言には「よくぞ言ってくれた」みたいなコメントがぞくぞくと寄せられている。こういう政党がいまの与党側で一番票を集めたこの国の今後はどうなるのだろう。
 
 
そして、今週は南スウェーデンに新しい原子力発電所を建設する計画があることが発表された。これは新政権の悲願みたいなものなので「ほらやっぱり出た」と思った人が多いと思う。ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー問題が深刻化して以来、今政権についている旧野党は旧政権に対して「原発を閉じたせいで今の電気不足の問題が起こったのだ」と強い批判を繰り返していた。(電気料金は上がっているのは確かだがそれはEUの市場の影響なので正確に言うと「電気不足」があるわけではないらしい。原発を建設することによっていかほどの経済的にメリットがあるのか私にはまったくわからない。)
 
これまで各地で盛んにおこなわれてきた風力発電所の建設に対する反対運動も原発推進派つまり現政権との関係が深いのではないかと言われている。風力発電建設反対運動の唱える牧畜への悪影響や美しい景観を損なう云々の主張はアメリカの反風力発電所運動のものとよく似ているが、アメリカの運動は天然ガス業界と推進派の政治家たちがばっちり後押ししたものだ。
 
イナカの風車。
 
 
 
だから、原発建設の計画が発表と聞いても驚かなかったのだが、予定されている場所が廃炉プロセスがすすんでいるバルシェベック原発(バーセベックと書かれることもある)の近くという話を聞いてええーっと驚く。
 
バルシェベックはここ南スウェーデンにあり、マルモの海岸からでも発電所が遠くに見える距離だし、対岸はデンマークだ。スウェーデンが1980年に国民投票を行って原子炉の廃炉にむけて方針を転換したのはアメリカの原発事故の影響もあるが、バルシェベック対岸のデンマーク人が強い反対運動をしたことも大きい要因になっている。
 
原子力発電を選択してこなかったデンマークにとってもウクライナ侵攻~エネルギー危機による打撃は大きいと思うけれど、それでも対岸に原子力発電所が建設されると聞いたらまた反対運動が起こるのは必至だろう。
 

ファーマーズマーケット

2022-09-26 12:30:57 | 街便り

齧りかけ御免…今日のお弁当



土曜日にファーマーズマーケットで買ったハムとチーズを黒パンに載せた地味なオープンサンド。サラダ菜はうちの畑より。黒パンはチアシードとひまわりの種入り。
 
この季節は毎週ファーマーズマーケットがあり、生産者が有機栽培の野菜や果物、肉やジャム類を売りに来る。このKravというのがスウェーデンの有機栽培の企画でこれに認証されるまでは数年かかる
 
これは食用と言うよりハロウィーンの飾り用。ハロウィーンのかぼちゃのランタンやお化けパーティーみたいな行事はスウェーデンにはなかった(もともとは家族のお墓にろうそくと花を供えに行くお彼岸みたいな日だった)のだが今は定着している由。まあそのほうが子供は楽しいだろう

食用かぼちゃ。このほか日本のくりかぼちゃみたいなものも売っていたので買ってみた。美味しいといいな…

ケール(右側はピクルス用のきゅうり。)
 
ベリー類。まだいちごがあるのが驚き!




選挙

2022-09-18 07:14:15 | 街便り

先週の日曜日はスウェーデンの総選挙。

 

これはショッピングセンター内の期日前投票の会場。ガラガラだった。

 

期日前投票がしばらく前から始まっていて、会場もあちこちにあったので、通りかかるたびに「今時間があるから投票しようかな」と思ったのだけれど「まあ当日でいいか。会場はすぐ近所だし」と思っていざ当日になって会場に行ったら…

 

あらっ…こんなに列なしてる。スウェーデンに来て投票(といっても私の場合は地方選だけ)したことは数回あるけれどこんな列を見たのは初めてだ。

 

あとでニュースを見たら、票を入れる封筒をもらってから投票用紙を自分で選ぶためのブースが追加されていたせいでいつもよりもたついてしまい、全国的に投票に時間がかかり、待ち時間がのびたのだそうだ。

それでも集計はそれほど遅れず、夜遅くにだいたいの結果が出た。下のグラフは確定ではないけれどテレビで報道されている現在の国会議員選挙の結果でプラスマイナスは四年前の選挙との比較

選挙の結果は現与党の社会民主党(グラフではS)が票をのばして一位。現野党第一党の穏健党(M)は三位に転落、代わりにスウェーデン民主党(SD)というひと昔まえまでは弱小だった党が大躍進して二位。

社会民主党は議席を増やすことはできたけれどいまの連立政権を一緒に組んでいるほかの党の結果が今一つふるわなかったので、僅差だが政権交代になる見込みが強い。ということは「スウェーデンの経済を圧迫する移民政策を転換すればすべてがうまくいく」というようなことを言っているスウェーデン民主党と「こんなに電気料金が上がったのは現政権が原子力発電を次々と停止したせいだ」と批判し続けてきた穏健党のマリアージュが初めて実現することになる😢

 

 

 

 

 

 


飼いならされたルピナス豆

2022-09-11 07:24:53 | 街便り

マルメフェスティバルで食べた「ルピナス・バーガー」…

この材料の豆はどうも野の花のルピナスからとれたものではなかったことはホームページを見てわかったのだが、あの後「ギリシャのごはん」のsalahiさんにギリシャのルピナスの毒抜きに挑戦している記事のリンクを送っていただいた。塩水につけて毒を抜くというのはスウェーデンのウェブサイトを見ていた時にも書かれていたのと同じ方法だ!

もう一つsalahiさんが毒抜きした豆でおつまみを作っている記事もあり、とても美味しそう♪ と思いながら読んでいたら、「スウェーデンにも似たような花がある」と私がその記事にコメントを書いているのを発見…五年前のことをすっかり忘れている自分が怖い。

とにかく、私も豆を買ってみようと思い、以前入荷の広告を見た覚えのあるパッケージフリーの店Gramに買いに行く。

この店は食品や洗剤類を量り売りで売る店で、買う人は自分で容器を持って行く。無駄なごみを出さずに買い物ができるだけではなくて品ぞろえも地元産のオーガニックものやフェアトレードものが多く、地球と私たちみんなの未来のためにあるような店なのだが…Covid 19が広がった年から経営がふるわず、今倒産の危機にある。考えてみるとマルメでは大型スーパーのオーガニックものコーナーは年々充実する一方、オーガニック食品専門の店はできてもあらかた数年後につぶれてしまっている。専門店を作るのは難しいのか…ドイツにはもう老舗のように定着したBio Companyというチェーンの店があるのだけれど。

おおオーガニック認証KRAVのついたルピナス豆!もう皮がむかれて豆が割れている。

 

説明書きには8時間水につけてから煮る、と書いてあるだけだったので店の人に「塩水にさらしたりしなくていいのか」と聞いてみたが、いやそんな必要はないという返事が返ってきた。

やっぱり野生のではなくて「飼いならされた」豆なんだなあ…手間がかからないのはありがたいけれど、ちょっとつまらないような気もする。そこらへんに生えているルピナスが外来種だから増やすなというなら、豆をとって食べればバランスがよくなるのでは、などと勝手に思ったのだけれど。

塩で茹でて、途中からにんにくと唐辛子を加えてみた。わりと長く煮たのだが煮崩れずぴかぴかしたままで、固ゆでの枝豆や銀杏のような歯ざわりが特徴があって後を引く。

また買って来よう!