「猫、見に行くぞ。」
「あ、いいね。」
そんな会話の後、二人で出かけた先は、
南阿蘇の山の中である。
無人の小屋に設けられた料金箱に入山料をチャリン。
同時に登山届も提出。
ぬ、
このゲートを勝手に開けて、勝手に入れとな。
では、
ギギギギーーー
暫く林道を登って行くと、登山口に行き着く。
こんな山深き場所で猫探しとは、果たしていったい・・・
登山道は、最初から最後まで急登続き。
ほぼ全域がロープ&鎖場、又は梯子場である。
傾斜がきついのと併せ、湿った地面は滑り易く、結構手強い。
大楓。
樹齢200年だそうだ。
免の石。
由来は後述する。
苔むす岩場を登っていくと、
岩峰が見えてきた。
探し求めた猫は、この梯子の上にいるらしい。
「こ、怖いよ-」
猫を見るには、スリルと言う代償を払わねばならないのだ。
とっとと、上がってこい。
ここ?
猫はいずこ?
洞窟の向こうに明かりが見える。
もしかして、あそこまで行かねばならぬのか?
考えあぐねて、後ろを振りかえると、
あら、いた。
そこには猫の空が広がっていた。
「オイ、後ろを振り返ってみろ。」
「おー!」
私達が見たかった猫とは、『免の石』と言う阿蘇のパワースポットだったのだ。
見づらくて恐縮だが、辛抱して読んで欲しい↓
先ほど転がっていた巨岩は、この猫の鈴が転げ落ちたものだったのだ。
説明書きの写真。
地震以前は、こんな景色だったようだ。
続いて展望台へ。
足元は50mの崖である。
展望台からは、阿蘇の雄大な景色が一望だ。
景観を堪能したら、
「そろそろ降りろうか。」
今度はあの、滑りやすい激坂を下らねばならぬ。
これも猫の代償なのだ。
無人小屋まで降りてきた。
小屋の裏には、鳥の小塚公園と言う展望所がある。
あの巨岩は、双子石と言うらしい。
伝説によると、
その昔、阿蘇が大噴火した折、竜が現われ、二つの卵を生み落とした。
一つは免の石となり、一つはこの双子石となった。
との由。
展望所からは阿蘇の景観とともに、先ほどの猫の洞窟を眺める事が出来る。
え、わからない?
では、拡大して、
さっきまでいた猫の洞穴である。
ここから見ると黒猫だ。
ベンチに座り、回転饅頭をパクついていると、老夫婦が展望台へ近づいてきて、
「猫はどこじゃろか?」
と、困惑しながら呟いている。
それを聞いて、すっくと立ち上がった家内。
「あ、あそこです。」
「あー、あれ。あれですか。へー。」
お節介にも、先程洞穴で撮ったスマホの画像を見せて、熱心に説明をする家内。
「これがその猫です。さっきまであの洞穴にいました。」
「へー、そうなんですか。」
あのー、
そろそろ次に行きますぜ。