冬の風物詩、氷瀑。
残念ながら、2年続けて見る事が出来ていない。
近場で言えば、難所ヶ滝や四王寺の滝が有名だが、今年もまた、氷瀑の便りは聞こえてこない。
何だか焦れてきた。
どうせ暇だし、行くだけ行ってみるか。
ひょっとしたら少しぐらいは、凍っているかもしれないじゃないか。

てな訳で、難所ヶ滝を目指し、昭和の森河原谷登山口へ。
駐車場に停まっていたのは、私の車以外は一台だけである。
この光景は、氷瀑が絶望的である事を私に認識させるに十分であった。
仕方ない。
とにかく、出発するか。

暫くは林道を歩く。

どん詰まりまで林道を進むと、連結するように登山道が延びる。

三郡山系は花崗岩の山である。
特にこのコースは、ほぼ花崗岩のガレ場と言って良い。
途中、上から降りてくるオジサンが居たので、状況を訊ねてみた。
「どうでした?」
「ハハハ・・・」
引きつった笑いを浮かべるオジサン。
「その笑いだけで全部分かったよ。てことはアイゼンなんか・・・」
「あーもう、とてもとても。まるっきり、全然、完璧に、情けない程に要らんです。」
やれやれである。

渡渉ポイントを過ぎると、

急登が始まる。
このコースの氷瀑は2か所、それぞれに『大つらら』『小つらら』と呼ばれている。
暫くガレ場を行くと、小つららが右手に見えてくる筈だが・・・

これが、小つららと呼ばれている筈の滝である。
つららのつの字も無いではないか。
呆然と仰ぎ見る私。

あんまり残念なので、一昨年の画像を添えておく。

いつまでも呆然としていても仕方がない。
次の大つららへと進もう。

難所ヶ滝分岐。

この傾斜を登った先にあるのが、

大つらら、通称難所ヶ滝である。
覚悟してたとは言え、あまりにも情けない光景である。

ここでも、一昨年の大つららの様子を、未練たらしく添付しておく。
立派なもんである。

それが今年はどうだ。
どう見ても、ただの濡れた壁だ。

滝の下の方は、少しだけ凍っていた。


こんなつららじゃねえ。
このまま帰る訳にはいかぬ。
せっかくだから、三郡山まで登るとするか。

難所ヶ滝を横切り、そこから延びる急登を登って行く。

このコースは初めてだ。
前に行くオバ・・・あ、いや、山ガールの話し声を聞いていると、どうやら三郡山を目指している様だ。
ちゃっかり、後ろから着いていく事にした。
この山ガールズ。
後ろで聴いていると、とにかく賑やかである。
「坊がつるで、キャンプした時は、テントで日本酒ば飲んで・・・ワハハハ。」
「そうそう、そうやった。」
「こん帽子、よかろうが。冬山はこれが一番よ。」
「よかねえ。ほんなこてぬっかごたる(本当に暖かそう)」
急登にも拘らず、一秒たりとも、お喋りが途切れない。
大したスタミナである。
こちらは、ハーハーと、息を切らして着いて行くのがやっとなのに。
急傾斜の登山道を喘ぎ喘ぎ登って行くと、

漸く、見慣れた縦走路へ合流した。

ここからは、気持ちのいい稜線散歩となる。

三郡山の山頂が見えてきた。

頂上到着。

三郡山の象徴、航空路監視レーダー。
山頂で昼食を済ませたら、下山である。

帰りは、頭巾山経由で昭和の森へ降るコースをとった。
縦走路をとっとと進み、

頭巾山山頂を通過すると、

激下りが待っていた。

日頃は膝など何ともない私なのだが、最後の激下りを終える頃には、かなりの違和感を覚えたほどである。

昭和の森キャンプ場通過。

相棒が見えてきた。
到着である。
さてさて、
あの滝の様子では、どうやら今年も、このまま凍る事無く、シーズンを終えるのではなかろうか。
来年まで待つとなると、3年越しである。
全く持って、『遥か遠き氷瀑』
と、言うしかない。
ならば、一言だけ叫んで、この投稿を終えたい。
暖冬のバカたれ!!