突然、鰻が食いたくなった。
矢も楯もなく、鰻をガツガツと口中にかき込みたい!
こうなると我が脳内は瞬く間に妄想に支配される。
鰻の蒲焼の艶々とした姿。
あのタレが焦げる香ばしい匂い。
「オイ、昼飯は作らんでよか。今から鰻食いに行くぞ!」(私)
「はあ?何ね、いきなり。」(家内)
何を言うか。
今年は土用の鰻を食していないではないか。
ちゅうか、土用の丑の日には、私は北海道にいたが、
更に言うなら、土用に鰻を食す習慣など元々ないが、
いずれにせよ、随分とご無沙汰ではないか。
「とっとと、支度せんか。」
目指したのは、
ここだ。
初めての店である。
店の前に、『予約の客しか対応出来ない、云々』との看板が。
念のため、店の隣の駐車場から電話してみた。
「もしもし。今から行きたいんだけど。」
「予約ですね。お二人で?有難うございます。」
30秒後に店の暖簾をくぐった。
「あ、予約の・・・」(店員)
果たしてこれが、予約と言えるのかどうか。
いずれにせよ、無事入店できたのは幸甚と言わねばならない。
その後2組が、入店を断れていたのを目にしたからである。
テーブルに案内されメニューを開いた。
鰻わさ丼が一番人気と書いてあった。
ほほう。
たまには、違うものを注文してみるか。
「これを。」
「お待たせしました。」
あ、
要するにひつまぶしね。
目の前に置かれたのは、短冊に切った鰻の蒲焼に、タップリのネギと、ワサビを溶かし込んだタレをかけた丼だった。
ではでは。
もぐもぐ
う~ん。
いや、美味しいんだけどね。
鰻を細かく短冊に切ってる事と、しかもそれがネギに隠れている事で、どうもゴージャス感に欠けるというか。
やはり鰻は、オーソドックスに行くべきのようである。
食べ物に超保守的で、尚且つドケチなヤツは、相も変わらずせいろ蒸し(並)である。
でも、間違いなくヤツの選択が正しかったのは認めざるを得ない。
「・・・少しくれ。」
「あー、なにすっだ!!」