昨日
朝から無性に食べたくなったものがある。
イカだ。
それも飛び切り新鮮なイカが食べたい。
「呼子に行こうか。」
「いつ?」
「今から。」
毎度の事ながら、私の一日は、朝の思い付きで始まるのだ。
雨がそぼ降る中、遥々と呼子へと車を走らせた。
呼子到着。
目当ての店の営業開始までには、ちょいと時間がある。
朝市通りで時間を潰す事に。
こんな天気だ。
沿道にトロ箱を並べるオバチャン部隊はいないが、海産物を売る店は営業している。
私は干物が好物である。
店先には、イカや鰯、鯵にカマスにカワハギ等が並ぶ。
「これとこれとこれとこれと・・・」
「毎度あり~。」
大量の干物に海藻類、おまけに、
「今なら、イカ焼売が3パック千円でよかよ。」
「買った!」
いいカモである。
鯨組主中尾家屋敷。
かつて呼子は、捕鯨基地だった。
往時の捕鯨の様子や、中尾家の繁栄と衰退の歴史がパネル展示されている。
残念ながら室内は撮影禁止との事。
程良き時間となった。
「そろそろ行くか。」
河太郎。
呼子大橋が正面に見える。
生簀が据えられた1階フロアは既に満席。
私達は、別室に通された。
「ご注文は何にしましょう?」
「えーっとね。」
無論、注文したのは、
カレーライスではない。
カツ丼でもなければ、焼肉定食でもなく、更に言うなら、焼きそばの筈はなく・・・
え?
分かっているから先に進めろって?
ゴホン
無論、注文したのは、
「アラカブ(オコゼ)でーす。」
と、この場に及んでも、別途注文のから揚げでフェイントをかけといて、
「イカの活き作り定食でーす。」
この透明感。
先程まで、生簀で泳いでいらっしゃったのだ。
いただきまーす。
パクリ
ウヒヒヒ
もう、笑うしかない。
コリコリを通り越してパリパリだ。
この他吸い物に、何故か温泉玉子にイカ焼売。
汁物かぶりで赤だしの味噌汁とご飯と香の物。
最後にデザートだ。
イカ刺しが残り2~3切れとなった頃、オバサンがやって来た。
重ねて言うが、私達は別室にいる。
オバサンに、私たちの食事の進行状況が分かる筈はない。
この間の取り方、只者ではない。
名人芸である。
「ゲソとミミはどうします?天麩羅とか煮たりとか出来ますけど。」
「天麩羅でお願いします。」
「天麩羅お待たせしました。」
イエーイ
呼子大正解!
河太郎万歳!
帰る頃には雨も止み、綺麗な虹がかかっていた。
ご馳走様でした。