今年もまたやって来た。
もみじ寺こと柳坂山永勝寺。
その歴史は古い。
天武天皇勅願により、680年に薬師寺として創建。
宗派は変遷し、現在は曹洞宗となっている。
今年は少し時期が遅かったようで、若干、見頃は過ぎてしまったようだ。
「あ、でも、後ろ側はまだ残ってますよ。」(副住職)
副住職が言う『後ろ側』とは、本堂裏の高台の事である。
「そうですか。ちょっと後ろに行ってみます。」
「あらまあ!」
高台へと続く石段の左斜面が崩落している。
その時に流されたのだろう、羅漢堂が無くなっていた。
展望台から。
柳坂曽根の櫨並木は、完全に紅葉は終わってるようだ。
なるほど。
この辺りだけは、副住職の言うとおり、まだ残ってるね。
境内に戻ってきた。
「どうでした。まあまあでしたでしょ。」(副住職)
「ええ、展望台付近は残ってました。櫨並木は終わってますね。」(私)
そのまま副住職と長話となる。
今年の紅葉の事、大雨被害の事、はたまた天武天皇まで話が進む。
その時チラッと、老住職の姿が。
家内はこの老師が大好きである。
「あ、いらっしゃた!パチパチパチ」
思わず拍手をする家内。
「拍手いただきました。ハハハ」(副住職)
副住職、大ウケである。
住職は嬉しそうに頭をぺこりと下げ、車の助手席に乗り込むと、どこかへと出かけられた。
・・・ったく、天然記念物に会えたみたいに。