西鉄久留米駅近くの不動産会社に、家内が印鑑を押さねばならない書類があり、二人して出掛けた。
「社長、お久しぶりです。なんか、痩せられましたね。」(担当者)
と言う感想が出るってことは、リタイヤして初めて会うんかい?
そうだっけ。
まあ、元気に楽しくやってるよ。
書類の説明を一通り受け、家内が署名捺印し、用件は終わりである。
西鉄久留米駅付近など、近い割には滅多に来る事は無い。
丁度昼時だ。
飯でも食っていくか。
駅の2階には、久留米の名店が軒を連ねていた。
高校、大学の頃には散々ここへ足を運んだものだ。
丼物ならあそこ、カレーならここ、中華なら、お好み焼きなら、うどんならと定番の店が並んでいた。
久々の【味のタウン】は、半数近くの店が撤退し、新しい店になっていた。
それでも、歴史ある人気店も数多く残っており、そんな店では順番待ちの客が通路まで並んでいる所も。
【古蓮】ここも久留米の名店中の名店である。
古蓮と言えば、甘味処のイメージが強いが、ちゃんと定食物なんかも置いている。
「お、すぐ座れるぜ。ここでよかやん。」
「お待たせしましたー。」
チョイスしたのは、ニュー麺と鶏そぼろ丼セットである。
頂きまーす。
ズルズル
あら、上品なお味ですこと。
私の口には・・・
オホホホ。
家内が目の前で食べている生姜焼定食が視界に入る。
殊の外旨そうである。
あんまり悔しいので、ヤツの皿から肉の三分の一程掠め取ってやった。
「あー、なにすっだ!!」(家内)
その代わりと言っちゃなんだが、セットのデザートは私の方が断然豪華である。
何てたってこっちは、白玉ぜんざいの海に抹茶アイス島が浮かんでいるのだ。
それに比べて、ヤツは抹茶アイスのみの貧乏臭さである。
ヤーイ
すっかりスイーツ男子となった私。
得意満面の笑みを浮かべるも、
「白玉貰うけんね。」(家内)
「あー、なにすっだ!!」
久留米岩田屋。
久留米で唯一となった百貨店である。
オホホな奥様御用達である。
デパ地下に降りてみた。
和洋中の高級総菜がズラリ。
どれも美味そうだなぁ。
ここにある総菜を片っ端から買っていき、我が家のテーブルに総菜のピラミッドを作りたい。
「まずは、この高級カキフライ買って。それから、あっちの・・・」
私の殺気を感じたのか、高級カキフライを買うや否や、
「もうよか。とっとと、帰るぞ。」(家内)
オホホな奥様には、ヤツは生涯なれぬだろう。