3月26日日曜。
年に一度だけ、陸上自衛隊久留米駐屯地の桜が、一般に開放される日である。
この観桜会。
長らく久留米に住んでいて、実は初めてである。
自衛隊車両の背後を飾る満開の桜。
同じ桜でも、駐屯地の景色はちと違う。
ただし、私の関心事は、実は桜ではない。
軍都と呼ばれた久留米には、国軍最強を謳われた旧陸軍第18師団を始め、何個もの師団が編成されている。
その名残りがどこかに・・・
ほらあった。
菊龍館
《菊》は第18師団、《龍》は第56師団の称号だ。
何てことない表札に、かつての名残が。
これ見ただけで、もう胸が一杯である。
なんなら、これで帰ってもいいくらいだ。
「何でみんな、この前で記念撮影せんのやろ?」
「そんなんで感動しとるのは、オッチャンだけたい。」
売店棟
中に入ると、普通にコンビニである。
酒類なども売られていて、少々びっくりする。
こちらも売店で、その名も『ボエコス』。
Tシャツやバッグ類など、様々な自衛隊グッズが置かれている。
南北朝時代の塚跡で、『十三塚』とある。
『参勤交代の諸大名は、乗り物を降り、容儀を正して通過云々・・・』
と書かれている。
幹部浴室
隊員食堂
広報館
終戦直後、ここに九州大学の分校が作られた事を初めて知る。
入口の照明は、久留米偕行社の門灯を移設したものらしい。
大砲に龍のステッカーみっけ。
西部方面混成団となった今でも、部隊のマークは《菊》と《龍》なのだ。
お気づきだろうか。
花の手前の葉っぱに、「く・る・め・さ・く・ら」と読める。
この日のために、植えられたものだ。
駐屯地内は飲食禁止。
シートを広げて、宴会を始める人とて無い。
こんな花見も、中々良いものだ。