F夫妻とは、20年以上前、お二人が福岡在住の折に、キャンプを通して知り合った。
その後夫妻は名古屋転勤となり、そこで定年を迎え、先だって「九州に帰ってくる」との連絡を受けた。
「帰ってくる」と言っても、二人とも九州は故郷ではない。
それが何故か、大分に住む事となった。
なんにしても、私らとすれば、嬉しい限りである。
F夫妻はキャンプの他に、山登りも趣味のひとつ。
「取り敢えず、くじゅうに登ろうよ。」
「いいね。」
「そんじゃ、マンサク見に行こうか。」
てな訳で、ここである。
一番水登山口
祖母山系を背景に出発だ。
ルートはいつものように、一番水~朽網わかれ~佐渡窪~鉾立峠~立中山。
帰りは同じ道を引き返す予定である。
「ところで、何でまた大分に?」
「ハハ、それはね。」
移住の顛末、家族の現在、旅行のこと、山のこと、そしてこれからのこと。
積もる話が多すぎる。
朽網わかれ(山桜はまだまだである)を過ぎ、杉林を抜け、つづら折りを登っていく。
見上げると、稜線が見えてきた。
峠に近づくと、マンサクの鮮やかな黄色がお出迎えだ。
鍋割峠到着。
ツクシショウジョウバカマみっけ!
佐渡窪を眼下に。
佐渡窪から眺める山肌。
「わあー、綺麗ねえ。」(F夫妻)
「今年はマンサク、綺麗っちゃね。」(家内)
「ふむ。異論はなか。」(私)
雲ひとつ無い青空に映える黄色。
佐渡窪を抜ければ、登山道は馬酔木が目立ってくる。
鉾立峠到着。
「鉾峠って書いてあるやん。」(家内)
「知らん!細かいこと聞くな。何しろここは鉾立峠たい。」(私)
峠で一休みしたら、立中山へ。
あとひと登りだ。
ミヤマキリシマをかき分けながら進むと、
立中山到着である。
野焼きで黒々となった坊がつる。
ミヤマキリシマに囲まれ、山飯である。
「このカップ麺、うめえな。」(私)
「ほほう、言ったな。なら、これからそれにしよっと。」(家内)
どうやら、このカップ麺は他に比べて安いらしい。
この瞬間、ヤツが買ってくるカップ麺が、同じブランド一辺倒になると覚悟した私である。
山飯を食って、一服したら下山である。
ハルトラノオ
フキノトウ
野焼きされた草原に、キスミレが一斉に芽吹く。
登山口についたら、すぐ傍の温泉へ。
チャポン
あ~、極楽極楽。
続く