リタイヤして以来、髙良山に登るのが日課となった。
その間ざっと計算しても、700~800回は登っているだろう。
それでも、未だに小さな発見があったりする。
しがない低山とは言え、中々奥が深いのだ。
数ある登山口のうち、今日は後谷コースを選択。
やがて登山道は、髙良山林道と合流する。
林道を左に折れてすぐに、
最近になって見つけた、山地図にも載っていない登山道がある。
一見すると、とてもこれが登山道とは思えないのだが、
よく見ると、人の手で作られた段差がある。
このルートを発見した時は、拳でポンと掌を打ち、誰かに教えたい気分になったものだ。
殆ど知る人もないこの尾根道が、最近のお気に入りである。
登山道はやがて石段に代わる。
月見山到着。
髙良山とは、耳納連山西端の山系を総称する呼び名だが、その中でも月見山は超マイナーだ。
当然、誰とも会わない。
このまま奥の藪に向かって突き進む。
僅かな踏み跡を頼りに藪を突破すると、耳納連山縦走路と合流する。
縦走路は県道を縫うように延びている。
縦走路と県道とを織り交ぜながら進むと、兜山分岐に到達する。
分岐を左に折れると、
兜山である。
続いて県道に戻り、耳納山入口から右に折れたら、
耳納山到着だ。
ここまで誰とも会わない。
久留米人の象徴ともいえる髙良山。
登る人も多い。
だが、今日のこのコースならば、まずもって人と出会う事は無い。
縦走路から県道に合流するポイントで、
何たる事か、
蔓に足を取られ、
オットットット・・・
まるで歌舞伎役者が踏む六方である。
にわか歌舞伎役者は、数秒間はその姿で持ち堪えたが、ついに堪えきれず、
ズデーーン!
イテテテ
派手にすっころんでしまった。
幸い柔らかい枯れ葉の上であり、両手と両膝が汚れただけで、怪我などはしていない。
被害と言えば、眼鏡が飛んで行き、若干変形したぐらいである。
あー、みっともない。
でも、
誰も居ない山だからこそ、怪我なんかしなくてよかったぜ。