貴重な梅雨の晴れ間。
「臼杵まで行くか。あれ食うぞ。」
鼻歌を歌いながら、大分道を快調にすっ飛ばす。
「愛する人よ♪ 親愛なる友よ♪ 星影に響くはエール♪ とくらあ。」(私)
「あんまり飛ばさんでよ。捕まるよ。」(家内)
「だーいじょうぶ。心配すんなって。」(私)
由布岳PAを過ぎた頃。
何気なくバックミラーを見ると、白いクラウンがしつこく追いかけてくるではないか。
えーい、しつけーな。
くそったれ!!
ブイーーーーン
どうかしてた。
いつもなら、この手のセダンが追尾してきたなら、真っ先に思い浮かべるべきは、
・・・そうあれだ。
だが、この時の私の頭の中は、これから食う予定の御馳走で占められていた。
ヒュイーーーーン
え!?
悄然と白いクラウンに拉致される私。
「運転手さん、えらく飛ばされてましたね。急いでられました?」(警察官A)
「られました。昼飯が頭の中で・・・」(私)
「え?昼飯がどうしました?」(A)
「あ、いや、なんでも。」(私)
「由布岳PAの少し手前で、私らを追い越したでしょう?気づきませんでした?」(警察官B)
「・・・・・・・」(私)
「では、ここにサインを。」(B)
切符を切られて微笑んでいられる程、私は人格者ではない。
忽然と怒りが込み上げてきた。
「大体がだ。覆面なんてズルイじゃんか。この卑怯者!」(私)
「ハイハイ。えーっと、ハンコは持ってないですよね。そしたら、左の人差し指をここに。」(B)
「これが白黒のパトカーだったら、土台が追い越しもしとらん。あんたらのした事は、違反ばひとつ増やしただけたい!」(私)
「まあまあ、そう怒らんで。ひとつよろしくお願いしますよ。」(A)
「な、何がよろしくだ!警察によろしくされても、俺にはどうもできん!」(私)
「ほんなごつですね。」(A,B)
ガハハハ(一同爆笑)
何故か最後は、笑いに包まれるパトカー車内。
無力感
切符を握りしめ、トボトボと我が愛車に戻る私。
ガチャリ
「だけん言ったろが、こんバカモンが!!」(家内)