天之道其猶張弓與。「天の道はそれ猶(な)お弓を張るがごときか。
無為自然の天の道は、弓に弦を張るときと似ている。
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・老子「第七十八章「道徳経と伊勢白山道」徳経
第七十七章
*老子を英訳http://www.chonmage-eigojuku.com/magetan/roushi08.html
・原文 「書き下し文
天之道其猶張弓與。「天の道はそれ猶(な)お弓を張るがごときか。
者抑之、下者擧之。「高き者はこれを抑え、下(ひく)き者はこれを挙(あ)ぐ。
有餘者損之、不足者補之。「余りある者はこれを損(そん)じ、足らざる者はこれを補う。
天之道損有餘而補不足。「天の道は余り有るを損じて而(しか)して足らざるを補う。
人之道則不然、損不足以奉有餘。「人の道は則(すなわ)ち然(しか)らず、足らざるを損じて以(も)って余り有るに奉(ほう)ず。
孰能有餘以奉天下。唯有道者。「孰(た)れか能(よ)く余り有りて以って天下に奉ぜん。唯(た)だ有道の者のみ。
是以聖人、爲而不恃、「ここを以って聖人は、為(な)して而も恃(たの)まず、
功成而不處、其不欲見賢。「功成りて而も処(お)らず、それ賢を見(あら)わす欲(ほっ)せず。
現代語訳
無為自然の天の道は、弓に弦を張るときと似ている。
上の部分は下に引き下げ、下の部分は上に引き上げる。
弦の長さが長すぎれば短くし、短すぎればつぎ足す。
この様に天の道は余った所を減らして足りない所を補っているのだ。
しかし人の世の道はそれとは逆で、足りない所からさらに奪って余っている所に補っている。
自らに余るものを人々に分け与える者は誰であろうか。それは「道」を知った者だけである。
そうして「道」を知った聖人は、何かを成し遂げてもそれに頼らず、
過去の功績にいつまでもしがみつかず、自分の賢さを人に誇る事も無い。
英訳文
Heaven's way is like to string a bow. You lower the upper part and lift up the lower part. If a string is long, you shorten it. If it is short, you add to it. Heaven takes from the haves and gives to the have-nots. But human world is opposite of it. It takes from the have-nots and gives to the haves. Who is able to give people his fortune? Only a person who knows "the way". So the saint who knows "the way" does not rely on his success, does not cling to his achievement, does not boast of his wisdom.
*すべては水平に戻されます 2012-12-28 伊勢ー白山 道
記事全文http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou/d/20121228
老子の言葉 第七十七章
(独自の超訳)
天界が行う方法(道・真理・法則)とは、弓に弦を張るときと似ています。
高い所は押さえ込み、低い所は持ち上げます。
弦の長さに余りがあれば短くし、弦が短くて足らなければ継ぎ足して補います。
天界の方法とは、このように余ったものを減らして、足らないものを補うのです。
しかし、人間が行う方法はそうではなくて、足らない方を更に減らして、有り余る方に奉納してしまいます。
どんな人物が、自分の有り余るものを社会の困る人々に奉仕するのでしょうか?
それは道徳心を身に付けた者だけが、これを出来ます。
だからこそ聖人は、何かを成し遂げても要求はせず、大きな功績を上げてもそれに安住はせず、
自分の賢さを他人に見せることを嫌がります。
原文
天之道、其猶張弓與。者抑之、下者擧之。有餘者損之、不足者補之。
天之道、損有餘而補不足。人之道則不然、損不足以奉有餘。
孰能有餘以奉天下。唯有道者。
是以聖人、爲而不恃、功成而不處、其不欲見賢。
(感想)
「高い所は押さえ込み、低い所は持ち上げます」
「天界の方法とは、このように余ったものを減らして、足らないものを補うのです」
「人間が行う方法はそうではなくて、足らない方を更に減らして、有り余る方に奉納してしまいます」
これはまさに、コノ世での金の流れ、税金の流れを老子が表現しています。
大海の海面とは、海底がどんなに深かろうと浅かろうと、常に高さが一定に調整されています。
これが法則であり、天の意志だということです。
しかし人間界では、金持ちには更に金が集まり、貧乏人からは更にお金が逃げる仕組みに成っています。
しかし、天の意志とは、どこまでも細部にまで貫徹しており、水平を完璧に取ります。
金銭が突出して多ければ、他の物事(健康・寿命・家族関係・・・・)などをもって調整され、
金銭が少なければ、自分が気付かない物事の自由が与えられているものです。
それぞれにおいての一長一短をもって、水平が保たれています。
だから、コノ世でコッソリと得をしたと思っていましても、自分が気付けない物事で調整「されて」いるのです。大海を水平に保つほどの法則から、人間自身の生き方も逃れることは絶対に出来ません。
これが見えない分からないために人間は、他人を見ては心配心や怒り、不平不満を持ちます。しかし、そんな必要は一切無いし、それは限定時間(人生)においては損なことなのです。
だから、何が有ろうとも現状に感謝が出来る人間が、コノ世では最もお得(徳)です。
この自分が気付かない内に、天により完璧に調整されている事実とは、人間が最も畏れるべきことなのです。
天が何事も水平にする力を緩和する方法が、道徳心を持って行う「行為」であり、自分自身を最終的に助けることに成ると老子は示唆しています。
人間は短い人生の間に、どんなに何かにおいて突出しようが、最下層に居ようが、すべての人間が平等に死を迎えて裸に剥かれて水平に戻されます。なんと畏れるべきことでしょうか。
長い視点で見れば、やはり完璧に平等なのです。死後の世界も含めれば、一厘まで帳尻も合わされます。
結局は、生きる間はどんな境遇でありましても、その中でも感謝をしていることが最も尊い生き方であり、最善なのです。
そして、原文の最後に有りますように、「謙虚であれ」ば大丈夫なのです。
生かして頂いて ありがとう御座位ます
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