とうとう始まる地銀再編、取り残される銀行はどこか?
THE PAGE
11月20日(木)7時0分配信
[写真]10月1日には東京都民銀行と八千代銀行が経営統合した
(写真:鈴木幸一郎/アフロ )
このところ地方銀行の経営統合が相次いでいます。
直接のきっかけは金融庁長官による再編を促す発言なのですが、
その背景には、急速に進む人口減少があります。
2014年11月10日、熊本県にある肥後銀行と鹿児島県の鹿児島銀行が、
経営統合に関する協議を進めることを明らかにしました。
また14日には、地方銀行大手の横浜銀行と、
東京を地盤とする東日本銀行が経営統合すると発表しました。
10月には東京都民銀行と八千代銀行が経営統合し、
新しい持ち株会社を設立しています。
これまでも地方銀行に対しては、業界再編の必要性が指摘されていました。
しかし、経営が苦しくなった銀行を救済するというケースを除いては、
具体的な動きはほとんど出てこなかったというのが現実です。
こうした状況に業を煮やしたのが金融庁です。
昨年12月には、地方銀行の収益力と市場動向を分析したペーパーを配布、
1月に入ると、当時の金融庁長官が地方銀行の経営統合について
言及するという事態になりました。
金融庁の「本気度」を察した地銀業界が
経営統合に向けて一気に動き出したというわけです。
特に金融庁が配ったペーパーは衝撃的だったといわれています。
そのペーパーには、横軸に地方銀行の収益力、
縦軸に人口動態から推計した地域市場の規模が記されており、
具体的な銀行名こそ伏せられていたものの、
どの銀行の経営が将来苦しくなるのか明白になっていたからです。
よく知られているように、日本は今後、
急激な人口の減少に見舞われます。
内閣府が今年3月にまとめた予測では、50年後の労働力人口は、
出生率が大幅に回復し、北欧並みに女性や
高齢者の労働参加が進んだとしても1,170万人減少し、
現状維持の場合には2,782万人も減るとしています。
しかも人口減少のスピードは一律ではありません。
地方から都市部への人口移動が発生するため、
地方における人口減少の加速が懸念されているのです。
地方銀行のビジネスは基本的にその地域の人口に依存しますから、
今後、経営が苦しくなる地銀が出てくることはほぼ確実な情勢です。
皮肉なことに、再編劇は地方銀行の中でも体力のあるところから始まっています。
横浜銀行は都市銀行並みの体力を持つ地銀ですし、
東日本銀行は東京が地盤ですから、
あまり人口減少の影響を受けません。
肥後銀行は熊本県では最大手、鹿児島銀行も鹿児島県ではトップ行です。
このまま再編劇が進んでいくことになると、
再編の波に取り残されたところが、
やがて消滅していくというシナリオになる可能性が高いでしょう。
本来、こうした業界再編は企業自らの判断で進めるべきものです。
しかし、長年の護送船団方式に慣れ切ってしまった日本の金融業界は、
当局からの指示がないと動けない状況に陥っています。
このところ地方経済の著しい疲弊が指摘されていますが、
経済の血液ともいうべき銀行がこの状態なのですから、
これも致し方ないことなのかもしれません。
(The Capital Tribune Japan)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141120-00000001-wordleaf-bus_allより
THE PAGE
11月20日(木)7時0分配信
[写真]10月1日には東京都民銀行と八千代銀行が経営統合した
(写真:鈴木幸一郎/アフロ )
このところ地方銀行の経営統合が相次いでいます。
直接のきっかけは金融庁長官による再編を促す発言なのですが、
その背景には、急速に進む人口減少があります。
2014年11月10日、熊本県にある肥後銀行と鹿児島県の鹿児島銀行が、
経営統合に関する協議を進めることを明らかにしました。
また14日には、地方銀行大手の横浜銀行と、
東京を地盤とする東日本銀行が経営統合すると発表しました。
10月には東京都民銀行と八千代銀行が経営統合し、
新しい持ち株会社を設立しています。
これまでも地方銀行に対しては、業界再編の必要性が指摘されていました。
しかし、経営が苦しくなった銀行を救済するというケースを除いては、
具体的な動きはほとんど出てこなかったというのが現実です。
こうした状況に業を煮やしたのが金融庁です。
昨年12月には、地方銀行の収益力と市場動向を分析したペーパーを配布、
1月に入ると、当時の金融庁長官が地方銀行の経営統合について
言及するという事態になりました。
金融庁の「本気度」を察した地銀業界が
経営統合に向けて一気に動き出したというわけです。
特に金融庁が配ったペーパーは衝撃的だったといわれています。
そのペーパーには、横軸に地方銀行の収益力、
縦軸に人口動態から推計した地域市場の規模が記されており、
具体的な銀行名こそ伏せられていたものの、
どの銀行の経営が将来苦しくなるのか明白になっていたからです。
よく知られているように、日本は今後、
急激な人口の減少に見舞われます。
内閣府が今年3月にまとめた予測では、50年後の労働力人口は、
出生率が大幅に回復し、北欧並みに女性や
高齢者の労働参加が進んだとしても1,170万人減少し、
現状維持の場合には2,782万人も減るとしています。
しかも人口減少のスピードは一律ではありません。
地方から都市部への人口移動が発生するため、
地方における人口減少の加速が懸念されているのです。
地方銀行のビジネスは基本的にその地域の人口に依存しますから、
今後、経営が苦しくなる地銀が出てくることはほぼ確実な情勢です。
皮肉なことに、再編劇は地方銀行の中でも体力のあるところから始まっています。
横浜銀行は都市銀行並みの体力を持つ地銀ですし、
東日本銀行は東京が地盤ですから、
あまり人口減少の影響を受けません。
肥後銀行は熊本県では最大手、鹿児島銀行も鹿児島県ではトップ行です。
このまま再編劇が進んでいくことになると、
再編の波に取り残されたところが、
やがて消滅していくというシナリオになる可能性が高いでしょう。
本来、こうした業界再編は企業自らの判断で進めるべきものです。
しかし、長年の護送船団方式に慣れ切ってしまった日本の金融業界は、
当局からの指示がないと動けない状況に陥っています。
このところ地方経済の著しい疲弊が指摘されていますが、
経済の血液ともいうべき銀行がこの状態なのですから、
これも致し方ないことなのかもしれません。
(The Capital Tribune Japan)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141120-00000001-wordleaf-bus_allより