時の栞

何を見て、何を思い、どう表現したのか。
私の欠片であるコトバで綴った、私自身の栞です。

三匹のおっさん * 有川 浩

2009-08-20 13:05:13 | 読了備忘録
地元ゼネコンを定年退職後、系列会社のアミューズメントパーク「エレクトリック・ゾーン」に嘱託として再就職した剣道の達人、清田清一(きよたきよかず)こと「キヨ」、柔道家で“酔いどれ鯨”という居酒屋の元店主、立花重雄(たちばなしげお)こと「シゲ」、無敵のメカマニアで愛娘にはめっぽう弱い工場経営者の有村則夫(ありむらのりお)こと「ノリ」。 『三匹の悪ガキ』と呼ばれていたアラ環の同級生3人が、ジジィ扱いさ . . . 本文を読む

プリンセス・トヨトミ * 万城目 学

2009-08-11 18:37:05 | 読了備忘録
「鴨川ホルモー」では京都、「鹿男あをによし」では奈良、「プリンセス・トヨトミ」は大阪という関西三都物語。 万城目さんのことだから「鴨川ホルモー」や「鹿男あをによし」のキテレツな面白さの流れで、どんだけ抱腹絶倒なお話になるのかと期待して読むと、うーん、となってしまうかもしれません。 とまぁ、こう書くと、あまり面白くはないのかと思われるかもしれませんが、そんなことはなく、やはり万城目さんならではの . . . 本文を読む

オロロ畑でつかまえて * 荻原 浩

2009-07-06 12:26:59 | 読了備忘録
人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった!ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる―。第十回小説すばる新人賞受賞、ユーモア小説の傑作。(「BOOK」データベースより) 面白かっ . . . 本文を読む

床下仙人 * 原 宏一

2009-06-26 15:46:53 | 読了備忘録
原宏一さんの本、もう1冊読みました。 「床下仙人」、「てんぷら社員」「戦争管理組合」「派遣社長」「シューシャイン・ギャング」の5話が収録。 ◆ 床下仙人 「家の中に変な男が棲んでいるのよ」妻の訴えを、おれは一笑に付した。念願のマイホームに入居して二カ月、そんなバカなことがあってたまるか!長距離通勤で疲れているおれをからかわんでくれ!だが出張から帰宅したある日、おれは我が目を疑った。リビングで . . . 本文を読む

かつどん協議会 * 原 宏一

2009-06-26 15:46:33 | 読了備忘録
先月、読了備忘録に書いたトイレのポツポツの作者、原宏一さんの本です。 「かつどん協議会」、「くじびき翁」、「メンツ立ゲーム」という3つのお話が入っていました。 ◆ かつどん協議会” 主人公の蓑田は失業中。 学生時代からお世話になっている大衆食堂のおかみさんから、入院したおやじさんの代理人として同業者の会合に出てくれないかと頼まれる。 代理人として出席した会議のメンバーは、肉や卵、醤油など食材 . . . 本文を読む

ザ・万歩計 * 万城目 学

2009-06-16 12:27:16 | 読了備忘録
少し前の本ですが、『鹿男あをによし』、『鴨川ホルモー』と読み、著者自身に興味がわいたので読んでみたのですが、かなり面白く、とても心地良いエッセイ集でした。 多角的な視点と洞察力、そして独特の表現と秀逸な文章力。 この人はどうしてこう考えることが出来るのだろうと感心しきり。 使われる言葉には嫌味も卑下もなく、品のよさを感じますし、深く心に沁みこむものがあります。 エッセイを掲載した本がいろい . . . 本文を読む

CC: カーボンコピー * 幸田 真音

2009-06-08 13:22:08 | 読了備忘録
タイトルの“CC:カーボンコピー”とは、メールを複数の人に送る機能のこと。 いち早くトラブルを察知するために、メールを取引先と直属の上司に送る社内のコミュニケーション・システムを改変した中堅の広告代理店が舞台。 バツイチの山里香純・41歳は、元夫である一憲が社長を務めるナガサワ・アド・エージェンシーで離婚後も仕事を続けていた。 ある日、取引先である極東生命に勤める、かつての恋人・広崎研吾が昇進し . . . 本文を読む

タロットの迷宮 * 小笠原 慧

2009-06-02 01:17:58 | 読了備忘録
国家財政の破綻、経済格差の拡大と治安の悪化により恐怖と暴力が幅をきかす、近未来の日本が舞台。 孤児として育った麻生利津は、暗躍する権力者の逮捕に一役買ったことが災いし、逆に狙われる身となった。 ターゲットとなった利津を心配した上司は、犯罪を犯した精神障害者を収容する西日本医療観察センターへしばらく行くように告げる。 世間から隔離されたその施設では3週間前に何重もの鉄扉の奥、最も危険度の高い病棟で . . . 本文を読む

鴨川ホルモー * 万城目 学

2009-05-19 14:03:32 | 読了備忘録
京都大学の新入生が、葵祭の帰り道で渡されたビラに書いてあった文句に誘われて出向く。誘われてやってきたうちの一人、安倍は、そこで出会った女性の鼻に心を奪われて…。 祇園祭の宵山を皮切りに京都のいたるところで行われる“ホルモー”。 伝統と戦いと、恋バナ、なぜかチョンマゲ。 TVドラマ化された“鹿男あをによし”はドラマも原作も面白かったので、これも読んでみたのですが、呆れるほど楽しく、とてつもなく阿 . . . 本文を読む

トイレのポツポツ * 原 宏一

2009-05-18 21:33:44 | 読了備忘録
中堅食品メーカー、鴨之木製麺工業は社長が一代で築き上げ、池袋に本社、埼玉に最先端の無菌工場を持つ会社。 この鴨之木製麺工業の実態が、主人公を変え6つの連作長編で明らかになって行きます。 営業部で派遣社員が電話番をしていると、部長が「何だ、あのトイレのポツポツは!」と怒鳴りながら現れ、その部長から命じられて派遣社員が全部員に送った1通のメールが問題に…。 とまあ、どこの会社にもありそうな話から . . . 本文を読む